【感想・ネタバレ】2084 世界の終わりのレビュー

あらすじ

2084年、核爆弾が世界を滅ぼした後、偉大な神への服従を強いられる国で、役人アティは様々な人と出会い謎の国境を目指す。アカデミーフランセーズ大賞受賞のディストピア長篇。

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Posted by ブクログ

この本を読んで進撃の巨人を思い出した。人間を内側と外側から容赦なく捕食する得体の知れない「何か」、あるいは人を疑うしか能のなくなった半狂乱の民衆はあの獰猛な巨人と重なる部分がある。訳者の言う通り、オーウェルの『1984』では現代の説明に齟齬が生じるようになってきた。20世紀まで支配していた目に見える戦争の脅威は目に見えない神聖なもので人を支配する時代に取って代わられた。それが何なのかはテレビや新聞で絶えず情報を取り入れている現代の先進国の人々にとっては明白なことであろう。壁の外にあるものが何なのか、ヨラー、アビ、グカビュルは何者なのか。その疑問は自由が故に生まれる反抗意識の前兆である。トーズは「戦争が起きる」と言った。それは自由を取り戻すための戦いである。同時に、アビに使える導師、コアの祖父がバリスから宗教を守るための聖戦に大量の死者を出したのと同じ戦いである。「正しさ」はとっくの昔に失われてしまった。もはや私たちの将来で待っているのはアビスタンのように砂漠とゴツゴツとした無機質な機械や安っぽい建物しかないのだ。あとはトーズのように昔のノスタルジーに縋るのか、はたまたさらなる争いによって終わりのない苦しみと引き換えにインスタントな自由を得ようとするのか。それは分からない。分かることは私たちの「本質」が今まさに変わろうとしていることだけだ。私たちにできることはそれを認識し続けることだけなのかもしれない。

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2017年10月19日

Posted by ブクログ

オーウェルの1984へのアンサー作品とも言うべきディストピア小説。唯一の一神教が全ての世界を描いている。作者はアルジェリア人であり現在の体制から睨まれている。描かれている宗教はイスラームを想起されるが、この前にトッドのシャルリとは誰かを読んだせいか、いわゆる自由主義陣営に身を置く我らとて、深く考えず、分かりやすく単純な事に身を委ねる危険と隣り合わせではなかろうか。

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2018年01月25日

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