中村佳子のレビュー一覧
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ネタバレ一つの人間が生きて誰かを愛して愛そうと思って、老いてゆくありふれた生の中に、永遠の命を科学的に成立させられる宗教があり、そしてその永遠の命を獲得した1人の人間のコピーが一つの島の中で終わっていく話。
ウェルベックを読むのは闘争領域の拡大に続いて2冊目。
人によって好き嫌いが分かれるのはわかる。
金を手に入れた人間の性への執着がすごい。やたらとセックスセックス、フェラチオフェラチオ、と語彙が並ぶ。多分ここがダメだと絶対中盤でむりだと思う。
けど、いくらセックスをしても、足りないし満たされない。ウェルベックが話の主軸にしているのは愛なのではないか
「いくら誰もがある程度の抵抗力を持っているといっ -
Posted by ブクログ
この本を読んで進撃の巨人を思い出した。人間を内側と外側から容赦なく捕食する得体の知れない「何か」、あるいは人を疑うしか能のなくなった半狂乱の民衆はあの獰猛な巨人と重なる部分がある。訳者の言う通り、オーウェルの『1984』では現代の説明に齟齬が生じるようになってきた。20世紀まで支配していた目に見える戦争の脅威は目に見えない神聖なもので人を支配する時代に取って代わられた。それが何なのかはテレビや新聞で絶えず情報を取り入れている現代の先進国の人々にとっては明白なことであろう。壁の外にあるものが何なのか、ヨラー、アビ、グカビュルは何者なのか。その疑問は自由が故に生まれる反抗意識の前兆である。トーズは
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読み応えのある、読む価値を感じる作品。
ウエルベックの作品はすべて読もう。
著名お笑い芸人ダニエルの人生記と、それを確認し、注釈を加える2000年後の彼のクローンたち(24代目と25代目)の物語。
ダニエルは辛口で卑猥な芸風で世間の人気を得、二人の女性を真剣に愛するものの、老いには逆らえず、愛に振り回される。カルト宗教団体エロヒム会に入り、遺伝子を残す。
エロヒム会は独自の研究で遺伝子からクローンを作り出すことに成功し、子供を作らずクローンのみで世代を繋ぐ新しい人間を構想する。新しい人間は口から食べ物を摂取することもなく、排泄もせず、一定の期間を経て肉体が衰えると、次の世代に交代する。感情の -
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この手の穏やかながら深い波のある小説を久々に読んだ。
主人公は徹底的に世の中を俯瞰した風に見て、あらゆる人間を小馬鹿にしているように見えつつ、自身の欲求に素直な、所謂普通のやつ。
ヴァレリーという20代の女っぷりのいいキャリアウーマンというザ21世紀の女性と一緒にいることで幸せ全開。
性産業をビジネスチャンスと捉え邁進するところに、金儲けだけではなく、西洋人の欲求追求の姿勢(西洋人は資本主義社会にいて、物質的幸福を追求する一方、彼らだけで性の満足を得られなくなっている。ある意味それは非文明国よりも哀しいことでもある。だからアジアで自身の性を解放する旅行には着実なニーズがある。)を深く見据えてい -
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人と感想を話すことって大事だなーと思う
特に本の入り口が、「人からお勧めされた」時は感想を必須で誰かと話さないと自分の中にモヤモヤが残ってしまう。
これ面白いね!だけじゃなくて、これ気持ち悪いね、、って時は特にそう。
ウェルベックはめちゃくちゃハードル上げられた本だった。でも、2005年にこれが出てきたのが凄いことだなって思うだけで、本当に深いことを語っているのか?となってしまった。
中年男性のセックスに焦点を当てすぎているし、その描写が無理だったとかではないんだけど、シンプルにもっと短くその惨めさを描くことはできたんじゃないかと思う。描きたいことに対して冗長だと思ったんだ。あでも「人生 -
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ネタバレ現代社会は、経済だけでなく、「性愛」も自由化され、富めるものとそうでないものの格差が拡大している。このような話は、しばしばSNSで話題になっている「弱者男性」問題にもつながっており、ここ数年は熱をもって議論されていることだが、ウェルベックがこの問題を30年も前に小説のテーマにしている点が興味深い。主人公は容姿がよくない同僚のティスランを心の中では散々馬鹿にしており、実際にティスランは性愛に関してひどい目に遭ってしまう。ただ、主人公の心情描写から、自由恋愛の世の中に果敢に立ち向かっていき、最後には不慮の死を遂げる彼を、著者は心の奥底では敬意を払っているのではないかという印象を受けた。愛を得られな
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22.11.12〜12.19
快と不快のバランスがゼツミョーだった。ウエルベックの作品はいつもそうかもしれないけど。
Back2Backな構成だから形式は『素粒子』に似ているけど、この小説は構造として『人生記』があるから、全体的にカッチリしてる印象を受けた。
アイデアとしての人生記の面白さと、書き手であるダニエル1たちが定義する彼の人生の滑稽さと悲しいまでの正直さ。人生記には書かれなかったダニエル1の顛末、ままならなすぎる。
ネオヒューマンは自分自身のことが分かりすぎていてやけにサッパリしているから、その孤独な生き方に滑稽さも含まれているような感じがした。
読んでいてウエルベックは正直な人だな -
Posted by ブクログ
やはりわたしにはライフオーガナイズ的な片付けが性格に合うようで、読んでて、
あーわかる!わかる!それ!
ってのがたくさんあった。
これはなかなか片付けられない男の子のしかも子ども向けに作られてるけど、片付けられない大人!こういうところから始めてもいいのかも!?
片付けられないのは何も子どもに限ったことではない!!!!この一番初歩から一歩一歩積み上げていけば大人でも大丈夫だし、子どものために噛み砕いて説明しているのも、とてもわかりやすいし大人だけど、
40歳過ぎたけど、
この子どもの気持ちわかるよな。ってなことあるある。
面倒くせー今やりたくねー
とかね。笑
毎朝くじ引きで勉強