瀬川拓郎のレビュー一覧

  • アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史

    購入済み

    知らなかった日本史

    縄文文化の流れ、北海道からサハリン、アムール川流域、カムチャッカ半島までの広い文化圏と民族の動き、殯の風習など一冊で知ることが多く、日本史の見方が変わりました。素晴らしい力作だと思います。

    0
    2022年10月09日
  • 縄文の思想

    購入済み

    縄文びとが残したもの

    過去の民俗学や文化人類学の遺産である民話や伝承と、最新の考古学が合わさって、雄大な物語を読むように感じました。日本人の起源がアイヌと不可分であること。海民の旅のスケールが昔から非常に大きかったことなど有史以前の世界が目の前に蘇るようです。

    0
    2022年09月02日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    アイヌのことを知りたくて、その時の気持ちが「入門」という書名に惹かれて購入。独自の言語体系と祭祀、習俗を持つ民族でありながら、北海道に定住していたために江戸時代以降、本土からの移民に謂れなき差別を受けた。しかし、樺太や千島列島への民族的な広がりと、青森を含め本土とも交易や文化交流の史料が残り、アイヌ研究の面白さを感じた。今度はアイヌ語に特化した入門書が読みたくなった。

    0
    2021年12月04日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    アイヌは、我々が忘れ去った縄文文化の記憶を深くとどめている。しかし、それは、アイヌ文化が進化しなかった、ということでは決してない。
    アイヌは、和人や他の民族と密接に交流し、自らの文化や世界観を変化させた。和人や他の民族からたくさんの文化を吸収し、また、和人や他の民族の文化にも多くの影響を与えてきた。そのダイナミックさは、我々の想像を超える。
    アイヌは文字を持たなかったゆえに、その歴史は未解明なところが多い。だが、我々が縄文から脈々と続く真の歴史に迫るためには、さらに深くアイヌを知らなければならないのである。

    0
    2020年05月28日
  • 縄文の思想

    Posted by ブクログ

    貧富の差のない縄文時代に、農業がもたらされて弥生時代が始まった。こんな直線的な理解を打ち砕く名著。

    南方から渡来した原日本列島人=縄文人のもとに農業がもたらされる。縄文人は農業を部分的に受け入れ、渡来人と混血しつつも沿岸部を拠点とする「海民」として幅広い交易で繁栄する。縄文と弥生は長く併存するのだ。

    沖縄とアイヌの共通の文化的属性、DNAの解析、山陰と東北の言語的共通性などから「日本人の源流」が浮かび上がる(ここで、奥出雲弁と東北弁が非常に似ている、ということが推理のカギとなる松本清張「砂の器」を思い出す人はするどい)。

    日本各地の神話で、海にある洞窟はなぜ山の頂上につながっているのか。

    0
    2019年01月01日
  • 縄文の思想

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アイヌ学からの流れで。
    縄文の沈黙貿易や解体場所の隔離が国家と階級の回避への必死の試み、という感覚はとても納得しやすかった。男女間の役割分担にその平等性への志向はあったのだろうか。

    0
    2018年11月12日
  • アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    漂海民は魚などが銭で変われることを好まず、陸上の知人に贈り物として与え、その返礼として催事に招待をしてくれることを良しとし、そうした関係を親戚とよんでいました。この親戚は、漂海民にとっての疑似親族、中立地帯であり、彼らはこの親戚を通して外部の商品経済との関係を保とうとしていた。アイヌが守り通そうとした縄文思想とは人々を親戚として結びつける連帯の原理であり、商品交換を忌避したのは、それが人々を不平等化し差別化していく原理だったから。縄文の思想を知る意味とは、非対称化していく歴史のなかで原郷の思想である連帯と平等をかたくなに守り通そうとしてきた人々が今なお私たちの目の前にいること、さらには漂海民の

    0
    2018年11月01日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    アイヌとは北海道に孤立した民族だと思っていた自分には衝撃的な本。
    古代から和人・渡来人・大陸とグローバルに交流し、交じり合い、影響しあう人々の生き生きとした姿が描かれます。
    アイヌの風俗に和人が及ぼした影響、義経伝説の影響、日本語起原のアイヌ語、驚くべきアイヌの躍動する姿。いやあ、知らなかったことばかり!
    それにしても、現代でもアイヌがおかれた厳しい状況、貧困、学歴といった問題にも驚き。こういったことはある意味隠されているんだなぁ。
    ただ、内容は筆者の仮説にとどまるものも多く注意が必要です。

    アイヌとはどのような人びとか
    縄文―一万年の伝統を継ぐ
    交易―沈黙交易とエスニシティ
    伝説―古代ロー

    0
    2019年11月14日
  • 縄文の思想

    Posted by ブクログ

    この本では、あわゆる縄文時代に日本列島のほぼ全域に住んでいた人びとを縄文人と呼んでいますが、その縄文人の核ゲノムの解読によれば、かれらはアフリカ、ヨーロッパ、東ユーラシア(中国、日本、ベトナムなど)の人びとのいずれにも属さない、孤立的な遺伝子的特徴がある、現生人類のなかでも古層の集団なのだそうです。なんと!
    そして現代の「本土人(本州の人)」の中にはその縄文人のDNA的特徴が10数パーセントも残っているそうです(アイヌや南島の人びとはもっと)。なんだか、とてもうれしい!

    0
    2018年04月21日
  • 縄文の思想

    Posted by ブクログ

    考古学者が、縄文人の生き方を律した思想、あるいはかれらの他界観や世界観といった、生々しい観念の世界に新たな発想・アプローチの仕方で、われわれ日本人の鬱なる「縄文性」に迫った著作です。
    その方法ですが、芸術的な感性などではなく、考古学と神話から具体的な資料にもとづいて縄文の思想を明らかにしたのです。
    内容
    はじめに
     生き残る縄文/なぜ共通する神話/伝説があるのか
     周縁・まれびと・修験者/アクチュアルな生の思想
     なぜいま縄文なのか
    序章 縄文はなぜ・どのように生き残ったのか
    第1章 海民と縄文――弥生化のなかの縄文
     1 残存する縄文伝統
     2 海民の誕生
    第2章 海民とアイヌ――日本列島の

    0
    2018年03月08日
  • 縄文の思想

    Posted by ブクログ

    縄文時代から現代に至るアイヌと日本の海民との神話的連続性を、微に入り細に入り読み解いた労作。
    私も大学の卒論で同じテーマを考えたことがありましたが、伝承が共通していることを同起源の証拠とするわけにはいかない難しさがあるだけに、慎重に冒険する立場が必要ですし、これはその基準をクリアしていると思います。

    0
    2017年12月31日
  • アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史

    Posted by ブクログ

    おもしろい!
    サブタイトルの通り、「もうひとつの日本の歴史」が鮮やかに描かれている。
    ひとつひとつ実例を混じえ論理を積み重ねていきつつ、
    全体としてとてもダイナミックな構成となっている。
    古代から中世にかけて日本にに数々の民族が存在したことを、
    恥ずかしながらよく知らなかった。
    彼らの文化、言語、DNAが今の日本人とどうつながっているのかなどは、
    非常にわかりやすく興味深い。
    また、交易や埋葬についてはかなりページが割かれており、
    その民族の文化の中で相当重要な位置を占めていたこともわかった。
    複雑な話をここまでわかりやすく描ける筆力もあるのだろう。
    アイヌや縄文というキーワードだけでなく、民

    0
    2017年09月16日
  • アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史

    Posted by ブクログ

    アイヌと縄文 瀬川拓郎 ちくま

    同じ縄文人を祖先に持つからと言って
    2千年以上も異なる歴史を歩んできた私たちは
    互いに補い合う精神的な文化を選んだアイヌと
    権利を主張し合い知識による文明を目指す弥生文化を選んだ本土人を
    同一視することはできない

    しかし現代の日本人として縄文的精神文化を振り返り
    彼らが大事にしてきたお互いの関係に自主的な参加をする全体感という
    総合的な生き方を取り戻すことが可能なのだとつくづく思わされた

    それにしてもアイヌと一口に呼べないほどこの二千年は多様であり
    意思を貫きながらも生き延びるために
    互いを補い合う譲渡の文化と駆け引きによる交易の二刀流を使い分けた

    0
    2017年03月07日
  • アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史

    Posted by ブクログ

    北海道にはシベリアあたりの生き方もずいぶん入ってきている
    昔々から大陸の生き方だってずいぶん入ってきている
    そう思うとなんだかうれしい
    縄文の遺跡はあちこちにあったということは食べて生きていく程度のことならばどこでもできることの証
    商品化の時代ってのが厄介ね
    「よりよいものを」と求めてきたのが人間なのね
    「よりよく、より争わない生き方を」求めるのがこれからの人間でしょう(^_-)-☆
    アイヌの生き方に倣うところ大きいぞ

    0
    2016年10月05日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    アイヌ民族について、世間に広く流布しているイメージ・ラベリングされた既存の概念を丁寧に剥がして、解説、訂正しておられると思います。タイトル通りの入門的な読みやすさですが、内容はしっかりと濃いです。

    0
    2016年09月20日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    これまた、新しい視界を提供する良書と思います。この年齢になってもまだまだ発見です。アイヌ民族は、ダイナミックに外の世界とつながり、発展してきた「海のノマド」だというのです。外界への働きかけと受容の相互作用が新しい地平を切り開いていくということを実感します。

    0
    2016年08月10日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    “アイヌ”というのは、壮大な交易を行っていた人達で、アイヌが伝えてきた様々な文物には、古来からアイヌが自身で産み出しただけではない、日本等の隣接する他文化の顕著な影響を認めざるを得ない部分も在る。また日本で古来から珍重された様々なモノの中には、アイヌがもたらしたと考えられるモノも実は色々と在るという。そんな物語を考古学や近年の歴史研究の成果を踏まえて綴ったのが本作である。アイヌは文字を持っておらず、文書記録が「間接的なモノ」になってしまって限定的なので、「北海道辺りの歴史」にはマダマダ“不詳”、“不明”が多いことが否めないのだが、そういう部分を埋める様々な物語が本作の中には在る。
    アイヌが壮大

    0
    2015年04月19日
  • アイヌ学入門

    Posted by ブクログ

    今までにはなかったトータルに知ることができる良書だ。
    人に薦めるということで「5」の評価。
    OKI DUB AINU BANDのCDを久しぶりに聞く。

    0
    2015年04月05日
  • アイヌの歴史 海と宝のノマド

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    羽をまとう蝦夷 聖徳太子絵伝 安城市歴史博物館
    鳥居龍蔵 阿夷奴研究, 2, 1917 聖徳太子絵伝蝦夷降伏の絵に就いて

    交易に焦点をあてている。
    擦文文化,トビニタイ文化,青苗文化に分けている。
    人の唐子,日ノ本,渡党の3つの分類について解説をしている。
    北海道とアイヌの分析が立体的になる。

    0
    2012年11月04日
  • アイヌの歴史 海と宝のノマド

    Posted by ブクログ

    前近代のアイヌ文化やそれに先立つ擦文文化などを担った人びとの生業や生活形態、行動範囲や集団形成のあり方など興味深い分析でいっぱいです。著者は、既存の研究やアイヌ文化を理想化させる言説などに釘を指しながら、能動的に他者と自然とに働きかけた人びととしてのアイヌや擦文人たちを描いていきます。

    0
    2013年01月19日