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Posted by ブクログ
アイヌとは北海道に孤立した民族だと思っていた自分には衝撃的な本。
古代から和人・渡来人・大陸とグローバルに交流し、交じり合い、影響しあう人々の生き生きとした姿が描かれます。
アイヌの風俗に和人が及ぼした影響、義経伝説の影響、日本語起原のアイヌ語、驚くべきアイヌの躍動する姿。いやあ、知らなかったことばかり!
それにしても、現代でもアイヌがおかれた厳しい状況、貧困、学歴といった問題にも驚き。こういったことはある意味隠されているんだなぁ。
ただ、内容は筆者の仮説にとどまるものも多く注意が必要です。
アイヌとはどのような人びとか
縄文―一万年の伝統を継ぐ
交易―沈黙交易とエスニシティ
伝説―古代ローマからアイヌへ
呪術―行進する人びとと陰陽道
疫病―アイヌの疱瘡神と蘇民将来
祭祀―狩猟民と山の神の農耕儀礼
黄金―アイヌは黄金の民だったか
現代―アイヌとして生きる
第3回古代歴史文化賞
著者:瀬川拓郎(1958-、札幌市、考古学者)
Posted by ブクログ
“アイヌ”というのは、壮大な交易を行っていた人達で、アイヌが伝えてきた様々な文物には、古来からアイヌが自身で産み出しただけではない、日本等の隣接する他文化の顕著な影響を認めざるを得ない部分も在る。また日本で古来から珍重された様々なモノの中には、アイヌがもたらしたと考えられるモノも実は色々と在るという。そんな物語を考古学や近年の歴史研究の成果を踏まえて綴ったのが本作である。アイヌは文字を持っておらず、文書記録が「間接的なモノ」になってしまって限定的なので、「北海道辺りの歴史」にはマダマダ“不詳”、“不明”が多いことが否めないのだが、そういう部分を埋める様々な物語が本作の中には在る。
アイヌが壮大な交易の中に生きた民であったという物語が、本書には判り易い型で収められている。「必読!!」という感…面白かった!!
Posted by ブクログ
【内容】
アイヌの人々の様々な風俗とその歴史について分かりやすくまとめている、まさに題名通り入門的な内容の本。最初にこれまでのアイヌ研究について検証し、それらがステレオタイプ的な誤ったアイヌのイメージ形成に繋がってしまったと批判している。その上で言語、交易、小人神話(コロポックル)、呪術、疫病への対応、祭祀、黄金採取といった7つの主要な観点について、続縄文文化、擦文文化、アイヌ文化(筆者はニブタニ文化という名称を提唱している)の変遷の中での様態とその変化を説明している。アイヌの歴史の中で、ある部分では和人の影響を受け、ある部分では大陸やオホーツク文化等周辺の影響を受けており、そういった影響を一つずつ分析することで、さらにその根底に息づく縄文時代から受け継いでいる文化、思想を読み解くことが出来ると筆者は説く。
本書では縄文時代をそのまま引き継ぐものでもなく他民族とどこかで入れ替わるものでもなく、断続的に相互に影響し合いながらも独自の文化とアイデンティティを形成していったアイヌの人々の姿がいきいきと描かれている。また最後に現代のアイヌの生活にも触れ、筆者の知人のA氏との対話からアイヌの人々が差別により苦労してきた歴史やアイヌとしてのアイデンティティの苦悩を描いている。
【印象に残った点】
コロポックル伝説の正体の一案としての、千島アイヌ正体説。一方でその内容の一部は遠くローマから伝来してきた言い伝えが大陸から伝わり影響を受けている可能性も示唆している。
北海道における砂金の採取が、奥州藤原氏の時代やさらにそれ以前から本州に影響を与えていた可能性。及びアイヌの人々が交易の品目として砂金を採取、精錬していた可能性も指摘している。そこでは、貨幣経済の枠外にある自然と生きる人々といった従来のアイヌ像とは異なる姿が示唆される。
あとがき、渡来系の人々が5世紀後半からアイヌの人々と交流し、北海道にまで渡っていた可能性。
【感想】
蝦夷とアイヌの関係や違いもわかっていない、続縄文文化という響きになんとなく後進性を感じてしまう程度の初学者である私にとっては、概説書としても今後の興味への入口としても最適な入門書であるように思う。また著者のアイヌに対する思想の押し付け等がなく、客観的かつ真摯な姿勢に好感を覚えられ、少なからずセンシティブな要素がある分野にも関わらずストレスなく読み進められた。
本書ではアイヌに影響を与えたものとして本州の陰陽道や呪術、修験道等にも触れられているが、そういった知識も不足しているため知識習得の必要性を感じた。
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