瀬川拓郎のレビュー一覧

  • アイヌ学入門

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    純粋に面白かった。日本という土地に奇跡のように
    残ったアイヌ民族の成り立ちと歴史。
    隔離されて残った民族ではなく、日本人と
    北アジアの人々と多く交流しそのうえで、自分たちの
    民族のアイデンティティをずっと持ち続けた
    民族ということがいえるのだろうと思います。
    金銀の産出とアイヌと奥州・蝦夷の関係はなるほど
    と思わせるところです。また、コロボックルの伝説
    や千島・樺太のアイヌ民族とその交易の仕方。
    外部や忌から守るすべとその理由など納得させられる
    部分も多くありました。
    最後の現代のアイヌの方のインタビューも心に残る
    言葉があります。

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    2015年05月11日
  • アイヌ学入門

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    2015.4.18 東浩紀さんが勧めてゐて、「先住」をめぐりツィッターで炎上気味になつてゐた本。著者の対象への愛情や真面目な研究の積み重ね、発見の喜びが感じられて気持ちが良かつた。
    アイヌと和人の間に古くから密接な交流があつたことを示す。日本のやうな島国にゐると国境などを固定的なものだと考へがちだが、時間の幅を少し広げて見れば、流動的なものだと分かる。

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    2015年04月18日
  • アイヌ学入門

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    アイヌについての入門書。アイヌと縄文の関係、沈黙交易、金と奥州藤原氏、オホーツク人、元との戦いなどなど、とても面白く読めた。どうしても文字を持たない文化だったから記録はないんだけど、考古学や言語学なんかでいろいろな説が考えられるんだな。

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    2015年02月25日
  • アイヌ学入門

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    本書内でも批判的に取り上げられているが、アイヌに関する学説は多種多様である。理由としては、アイヌは文字を扱わない文化であり、単純に資料が少ないという点がある。本書も「〜ではないだろうか」といった言い回しが多く、あくまで著者の仮説の域を出ないのだろう。

    ただ、アイヌのステレオタイプ(自然とともに生き、縄文時代から大きく変わらず、狩猟採集の暮らしを送るようなイメージ)への異議申し立ての心意気は強い。特に、オホーツク人や和人との交流の視点からアイヌ像を刷新しようという意識があり、本書に限っては成功しているような印象がある。

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    2025年10月23日
  • 縄文の思想

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    縄文時代の習俗、文化、思想について、著者の研究を紹介した本です。

    この国の多くの人々の遺伝子にその痕跡が残り、文化にも大きな影響を与えている縄文人がどのような思想を持っていたのかに興味を持ち、本書を読んでみました。

    ゲノム解析によって解明された人類の軌跡を綴った「種の起原」という本によると、縄文時代に遺伝的に均一な集団が日本列島に住んでいたわけではなく、縄文人と分類されている人々は多様なグループから成っていたそうです。よって縄文文化とは何かを画一的に論じることはできないでしょうし、そもそも文字を持たなかった彼らの文化を精緻に知る事は不可能だと思います。こうしたことに注意が必要という前提付き

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    2024年12月18日
  • アイヌ学入門

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    序章 アイヌとはどのような人びとか
    3つのポイント
    ①変わってきたアイヌ
    本土との交易(毛皮、鮭など)のため乱獲したり、居住地が偏る等
    元々あった敬虔さと、生きていくための現実との葛藤
    →アイヌを「変わらない存在」として祭り上げず、同じ人間として「共感」すること
    ②変わらなかったアイヌ
    縄文時代はゴミを一箇所(貝塚)に捨てていたが、アイヌは分類し階層化していた等
    ③つながるアイヌ
    異民族と盛んに交易(戦闘)するという、ヴァイキングとしての側面
    和人との交流によって、「神」観念の一部が形成されてきた
    アイヌ独特の文様は北東アジアの諸民族から影響されて生まれ、本土の漁師の労働着や歌舞伎の衣装として

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    2022年09月30日
  • アイヌ学入門

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    入門書を、と思い手に取りましたが、思ったより専門的、文化人類学的なのでしょうか。アイヌの交易民、和人との古くからの交流交易、文化的影響等々。まだまだ研究されていないことも多いと知りました。少しずつ学んで行きます。

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    2022年06月20日
  • アイヌと縄文 ――もうひとつの日本の歴史

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    瀬川拓郎 「 アイヌと縄文 」

    アイヌ文化に保存された 縄文思想(日本の原郷としての)を 抽出しようとした本。

    面白い。日本の原像を探ろうとする 人類学者、歴史学者、作家等が 縄文時代に 惹かれる理由が わかる気がした

    アイヌが 日本列島のみでなく 北東アジアの交易(商品交換)により、富と権益を拡大しながら、アイヌ同士では 贈与交換により社会を維持していたことに驚く。日本人のバランスの良さを感じる

    アイヌ文化に保存された 縄文思想(日本の原郷としての)
    *贈与交換の社会〜親戚のような連帯性
    *個人へ富の集中させない→権力や階級を生じさせない→心の連帯を求める集団

    縄文時代
    *縄文文

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    2022年02月18日
  • 縄文の思想

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    九州の地名にアイヌ語起源が残っていたり、古事記とアイヌ神話の共通点など興味深い指摘が多い。大学時代の先生が登場したり親しみも湧くのだが、なんとも硬い論文のような書籍で読み物としては楽しくない。研究者向けなのだろうか。内容的には質が高いと思われる。

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    2017年12月17日
  • アイヌ学入門

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    アイヌについては、自然と共生する人々だとか、縄文時代から変わらない文化を残しているとかいったイメージがあった。この本では、そうしたアイヌ観を丁寧に解きほぐしていく。

    たとえば、アイヌは閉じた民族なのではなく、和人やニヴフ、モンゴルや中国の人々との交易を盛んに行ったグローバルな交易民だった。その証拠に、アイヌ小人の伝説のなかには。古代ローマの博物学者プリニウスの『博物誌』からの影響がみられる。また、アイヌは北海道だけに住んでいたわけではなく、和人との交易のために東北まで南下した時期もあり、そのため東北にはアイヌ後の地名が残っている。

    このように、アイヌは交易民として多民族と交流するなかで、そ

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    2017年03月27日
  • アイヌ学入門

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    ネタバレ

    「はじめに」の章で書かれていたように、
    アイヌは交易のなかで、グローバルな思想に根ざして
    生きてきた民族だったのだということが、
    とてもよくわかりました。
    それは、公・私、官・民の様々なレベルで、
    歴史の中で長きにわたるおこないだったということも
    初めて知るアイヌのすがたでした。

    読み始めると、専門家の文章らしく、
    むむむとなることもありましたが、
    久びさに、あたらしい発見のある本でした。

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    2015年11月14日
  • アイヌ学入門

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    考古学者でアイヌ研究者でもある筆者が、アイヌの事を学ぶ上で、和人にとって遠くて近い人びとなのではなく、日本列島にいた縄文人の特徴を色濃く残した人びとだという認識から、アイヌを理解するために書いた本。

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    2015年11月04日
  • アイヌの歴史 海と宝のノマド

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    私たちが持っているアイヌに対する先入観を切り崩すような本。アイヌと和人、オホーツク人との関わり方が興味深かった。

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    2012年11月07日