瀬川拓郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
縄文時代の習俗、文化、思想について、著者の研究を紹介した本です。
この国の多くの人々の遺伝子にその痕跡が残り、文化にも大きな影響を与えている縄文人がどのような思想を持っていたのかに興味を持ち、本書を読んでみました。
ゲノム解析によって解明された人類の軌跡を綴った「種の起原」という本によると、縄文時代に遺伝的に均一な集団が日本列島に住んでいたわけではなく、縄文人と分類されている人々は多様なグループから成っていたそうです。よって縄文文化とは何かを画一的に論じることはできないでしょうし、そもそも文字を持たなかった彼らの文化を精緻に知る事は不可能だと思います。こうしたことに注意が必要という前提付き -
Posted by ブクログ
序章 アイヌとはどのような人びとか
3つのポイント
①変わってきたアイヌ
本土との交易(毛皮、鮭など)のため乱獲したり、居住地が偏る等
元々あった敬虔さと、生きていくための現実との葛藤
→アイヌを「変わらない存在」として祭り上げず、同じ人間として「共感」すること
②変わらなかったアイヌ
縄文時代はゴミを一箇所(貝塚)に捨てていたが、アイヌは分類し階層化していた等
③つながるアイヌ
異民族と盛んに交易(戦闘)するという、ヴァイキングとしての側面
和人との交流によって、「神」観念の一部が形成されてきた
アイヌ独特の文様は北東アジアの諸民族から影響されて生まれ、本土の漁師の労働着や歌舞伎の衣装として -
Posted by ブクログ
瀬川拓郎 「 アイヌと縄文 」
アイヌ文化に保存された 縄文思想(日本の原郷としての)を 抽出しようとした本。
面白い。日本の原像を探ろうとする 人類学者、歴史学者、作家等が 縄文時代に 惹かれる理由が わかる気がした
アイヌが 日本列島のみでなく 北東アジアの交易(商品交換)により、富と権益を拡大しながら、アイヌ同士では 贈与交換により社会を維持していたことに驚く。日本人のバランスの良さを感じる
アイヌ文化に保存された 縄文思想(日本の原郷としての)
*贈与交換の社会〜親戚のような連帯性
*個人へ富の集中させない→権力や階級を生じさせない→心の連帯を求める集団
縄文時代
*縄文文 -
Posted by ブクログ
アイヌについては、自然と共生する人々だとか、縄文時代から変わらない文化を残しているとかいったイメージがあった。この本では、そうしたアイヌ観を丁寧に解きほぐしていく。
たとえば、アイヌは閉じた民族なのではなく、和人やニヴフ、モンゴルや中国の人々との交易を盛んに行ったグローバルな交易民だった。その証拠に、アイヌ小人の伝説のなかには。古代ローマの博物学者プリニウスの『博物誌』からの影響がみられる。また、アイヌは北海道だけに住んでいたわけではなく、和人との交易のために東北まで南下した時期もあり、そのため東北にはアイヌ後の地名が残っている。
このように、アイヌは交易民として多民族と交流するなかで、そ