大野舞のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵略戦争について、ロシア側の論理を説明した本。
著者はフランス人だが、反米・反EU。同意できない点もあるが、多面的な視点を提供してくれるという点で、読む価値はある。
著者が「第三次世界大戦」という言葉を使うのは、この戦争は、実際には米国とロシアの戦争―米国によるウクライナでの「代理戦争」―だからだ。
ウクライナの裏で米国(とNATO)が糸を引いている、ということはみんな知っている。著者曰く、米国や西欧の主張はまったくグローバルではなく(この点は完全に同意する)、むしろ世界の嫌われ者である。よって、今回の戦争でロシアを支持する国は多いだろう、という。
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Posted by ブクログ
エマニュエル・トッドの読書論という感じで、普段日本人の読書論にしか触れていないために新鮮。著者は、ソ連崩壊を予測したデータサイエンティストの一面も持ちながら、しかし、小説も含めてあらゆる本を読みながら、真理、仮説を導き出していくキュレーションのような作法も用いるという。この点は、読書の仕方が自分に似ていて単純に嬉しかった。尚、ソ連崩壊を予測するに役立ったデータの一つは、乳児死亡率との事。相関係数を分析しながらもデータの読み解きが出来なければ、意味が無い。そのため、論説の肉付けをどうするか、思考地図という表現で解説している。
話は本著から逸れるが、地獄とは、脳が苦しみを感受、持続する状態であり -
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Posted by ブクログ
学者さんが書いたこの種の本を読むのに慣れていないせいか、少し読みづらい気はしたが、思考の流れはよく理解でき、主義思想でなく歴史やデータを重要視する研究姿勢や、ルーティンから脱却して視点を変えてみる必要性は共感できた。
目次とは別に冒頭のページにあった「思考の見取り図」がわかりやすかった。
インプット→着想→検証→分析・洞察→予測
・歴史とデータによる経験主義
・膨大なデータ収集し事実(ファクト)を蓄積
・ルーティンから脱却してのアウトサイダーの視点
自分自身に置き換えると、インプット→着想を数多くやってもその先が不十分だから考えが深まらないことを、痛感した。
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Posted by ブクログ
エマニエル・ドット氏にインタビューをした内容をまとめて、昨年(2020年)7月に発刊された本。自国であるフランスを中心に欧米と日本の政治と民主主義について述べられている。貧富の格差の拡大と教育に加え、保護貿易化、移民の反対等により、国家が分断されていると主張している。参考になった。
「今や高等教育は学ぶ場というよりも、支配階級が自らの再生産を守るためのものになっており、お金がある家庭は、子どもたちがある分野で成功するための保証として家庭教師を雇います」p26
「データを見る限り、中等、そして初等教育においても学力が低下していることが確認されていました。これはフランスだけではなく、もしかすると -
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Posted by ブクログ
ちょうど社会に出るころ、日本では小泉、アメリカではブッシュが政権を取っていたということもあり、深く考えもせずに自由貿易に対する肯定的な思いを持ってきていた。
しかし、現実にはニュースで日々報道されるような状況となっていて、そのねじれについてイマイチ理解できずにいた。
トッドは一貫して自由貿易には反対の立場をとってきているが、それはあくまで自国での民主主義を守ることを一義に考えていたからだと理解した。
民主主義にしても自由貿易にしても、すべてが同じ条件で、プレイヤーは合理的な判断を行うという、非現実的な前提のうえになりたっている以上、現実に落とし込むにはどこかでカスタマイズが必要ということな