豊崎由美のレビュー一覧
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村上春樹ファンも困る
どちらかといへば、ふたりはSF的な文脈なのだが、やはり小説の整合性にツッコミ。これはそんなツッコミを笑ひ飛ばす本なので表面的といへば表面的だが、まあ構ひません。
メッタ斬りシリーズはむかし愛読したので、これもそれなりに面白かった。『騎士団長殺し』は『ねじまき鳥』に比肩すると最初は云ひつつ、あとで『1Q84』のほうが(エンタメ的に)面白いとかいってて、どっちやねんと思ふものの、まあええか。
村上春樹が長篇作家ではなく短篇作家だと豊崎はいふ。その通りかもしれない。私は『世界の終り〜』と『ねじまき鳥』は読んだものの、そこまでピンときたわけではない。
YouTubeに、最新作『街とその不確かな壁』についてふたりが語ってゐる動画があった。見たら『世界の終り〜』でいいのになんで書いたんだらう、これでノーベル賞は遠のいたと豊﨑がいってゐて笑ってしまった。まるで晩節が汚されたかのやうに。
大森望は初めて『風の歌を聴け』を読んだとき、カート・ヴォネガットが想起されたらしい。日本にもかういふ作家がゐたのか!と昂奮したといふ。 -
Posted by ブクログ
辛口書評家の豊﨑由美さんのエッセイ。
面白い方だとは思っていたけど、想像以上にキテレツ!
ケモノバカ一代で海外文学に造詣が深い豊﨑さんと私は、本の好みは合わないかもしれないが、
私の好きな作家さんの作品も複数でてきて、嬉しかったな。平野啓一郎さん、恩田陸さんなどなど。
さらに、ドリカムの未来予想図IIの歌詞の話、鎌倉殿の13人の菅田将暉の話、あまちゃんの話など、私と共通の「好き」があることも感激。
子供の頃、
水槽のすっぽんに指を噛まれたり、
おでこからオバQが出てきたり、
本来なら笑い事じゃない珍事も、
爆笑!
書評家さんの読書方法についても教えてくれた。線を引いたり、付箋をはったり、
目次を作ったり、時系や相関図を書いたり。もちろん、感想を書きとめたりしながら。そして、その読書量たるや!
ご本人はエッセイは苦手とおっしゃり、最初で最後のエッセイだと。いやはや、需要はあります!だって、こんなに面白いパーソナリティで文章もリズミカルで語彙が豊富で、楽しいんだもん!
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書評と批評の違いについて、なるほど、と思った。
つい先日、加藤典洋の『村上春樹は、むずかしい』を読んでさ。その、「おぉ」と感心する視点に引き込まれると同時に『村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!』で斬りまくっていた記憶のある豊﨑由美について、読みたくなったんだよね。加藤氏については何も触れられていなかったけど、書評と批評の違いについて、わかりやすく書かれていた感心した。
俺自身、こういう文章を書くのが楽しいわけで、ブック・レビューというのが趣味にもなっているだろう。なぜ書くのかといえば、一番の理由は読んだことも忘れてしまうからだ。読んだ感想を何か書き留めておけば、読んだことを忘れていても「ふぅん」と自分を振り返ることができる。そのあたりが理由ではある。
と同時に、もう20年くらい前の学生時代の記憶があってさ。あのとき、俺が自分でつくったホームページ上でアップしたレビューを、びっくりするくらいほめてくれる後輩がいたんだよね。びっくりすると同時に、うれしくて、誰かに向けて「こんな本読んだんだよ」と話したい気持ちが強くなったんだろうな。
そう考えると、読み手あってのブック・レビューという意識は大切だろうね。これからもこういうレビュー書いていきたい。そのうえで、本に対する愛情と、自分の文章を読んでくれる人への礼儀は守っていきたいものだね。 -
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ネタバレまずははじめに。
書評を扱う本の少なさからしてこの様な本を出版された豊崎由美さんに感謝。
私はただの読書好きでありますが、最近は本をどう自分の言葉で紡ぐか、考える為に書評を読んでいます。
この著書の中では様々な書評が掲載されています。それを著書が好い悪いと評するのですが、その切り口を好きと思うか、そうでないか、それがこの本、ひいては著書を好きになれるかの決め手になります。
※引用がかなり多いので、その点は致した方ないですが…。もっと著書ご自身の書評が読みたいのが本音です。
最後に、対談のコーナーがあるのですが、これが大変おもしろく、これからのニッポンの書評を真面目に論じています。
ここだけでも読む価値があるかなと感じています。 -
Posted by ブクログ
再読。最近、加藤典洋とか内田樹の村上春樹本を読んでさ。けっこう面白かったんだけど、一方でメッタ斬りの本もけっこう楽しく読んだ記憶があった。だから、読み比べてみるのも面白いんじゃない、と。結果、こちらもやっぱり楽しめたと思う。思うに、ぜんぜん違う視点から語ってるんだよね。加藤氏や内田氏は村上春樹の小説を読んで、自分の中の思考を掘り進めるステップにしているんじゃないか。一方で大森氏、トヨザキ氏は物語として、そのものを楽しもうとしている、というかなぁ。だからSFとかミステリとかの、ジャンル小説的な視点から批判することになる。いろいろ考えさせられて、面白かったね。(2019年11月16日)
あっという間に読めてしまう、軽く楽しめる本だ。こういう、本の雑談って楽しいよね。もう少し深く突っ込んでほしい気もしたけど、そうなってしまうと、軽快感はなくなるのか。なかなか難しいのかな。もっと読みたかった、というのが正直な感想なのかな。(2017年7月4日) -
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邪道は承知で、「騎士団長殺し」を読まずして「メッタ斬り!」を読む。だって面白いんだもんね。メッタ斬りシリーズを愛読してきたが、このごろとんと紙媒体でお目にかかれない。「仕事を選ばず即参上」がモットーなのに、「なぜかめったにお座敷がかからない」と大森氏が書いている。出版社も「忖度」するんでしょうねえ。いや、ストレートに怒っている方もおありでしょう。私は豊崎由美さんの、天下御免の言いたい放題芸が好きなので、もっと読みたいのだけど。
最後に読んだ村上春樹の長編小説はなんだっただろう。うーん、思い出せない。エッセイのたぐいはほぼ全て読んでるし、短篇も大体読んでると思う。「風の歌を聴け」でのデビューからしばらくの間は、大森氏と同じく「同時代作家」として特別な思いで読んでいた。村上春樹は、「ノルウェイの森」を書き上げたあと「こういうリアリズムの小説はもういいと思った」と書いていたが、私はそれ以降の「非リアリズムの小説」が苦手なんだな。
このことについては複雑な思いがある。まず、すごく残念だ。村上春樹の文章は大好きだから(一番好きな「エッセイスト」かもしれない)。隠喩に満ちた物語を楽しめたらどんなにいいかと思う。でも、正直言って、よくわからないのよね。
前々から疑問なのだけど、「鼠」シリーズとかそんなに多くの読者を獲得するようなお話しだろうか。「1Q84」は読んでないので、あくまで見聞きした評判からの感想でしかないが、あれもベストセラーになるような内容とはちょっと思えない。「小説読み」ってそんなに数が多いんだろうか。単に自分がそうでないものだから僻んでいるのかしらん。でも、書店でバンバン売れていくのを見ると、買ってる人を捕まえて「アナタ、ほんとーっにおもしろいと思ってる?」ときいてみたくてたまらなくなる。
また、これまた大森氏が書いていたが、「SFやファンタジーなんかのジャンル小説への敬意が低い」という指摘が当たっているように思って、これも苦手な理由の一つなんだろう。SF的設定を使う「純文学」作家は結構いるけれど、SFへの理解やリスペクトがあるかどうかってわりにはっきりわかるものだと思う。村上春樹の場合、「そんなこと知らないよ」って感じがする。でもまあ、大森氏が言うように「でもそれでいい。それで許されるのが村上春樹。三十年かけてそういう地位を獲得したわけですよ」ということだろう。
あと、なってこったい!と思ったのは、南京大虐殺が出てくるから、という理由で「騎士団長殺し」を批判する人たちがいるということ。んなバカな読み方があるかい!百田尚樹ってほんとにくだらない。なんであんな奴に本屋大賞を?と怒りが再燃した。