豊崎由美のレビュー一覧
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小説なんて、自分が読んで感じるままでよいのだろうが、他人の見解も気にならないわけではない。こういう本を買うのは、いかにも興味本位っぽくて、自分に自信がなさそうで、ちょっと恥ずかしかったが、好奇心が勝った。
村上春樹を読み込んでいる人は、なるほど、こういう風に読むのかといった参考になる部分もあったし、自分の思ったことは他人も同じように思っているのかと納得できるところもあった。まあ、読んでよかった。
本書は、騎士団長殺しだけでなく、過去に行われた批評として、「田崎つくる」や「1Q84」も取り上げられている。本書の後半を読むために、未読だった「1Q84 BOOK3」を読むという本末転倒的なこともやっ -
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『優れた書評とはどういうものか?』
『書評として存在するために、何を備えておくべきか?』を説く。
以下は本書から抜き取った著者が考える書評の定義。列挙し、通読すると、一種の箴言としても成立している。
◎面白い書評はあっても、正しい書評なんてない。
◎いくら自分の“読み”の深さを誇示したくても、それが作品のネタばらしにあたる箇所と関係があるのなら、断念せざるを得ない。
◎書評にとって、まず優先されるべきは読者にとっての読書の快感であり、その効果を狙って書いたであろう作者の意図なのです。
◎与えられている字数が少ない、締切まで間がない、ネタばらしが許されない、書評はずいぶんと窮屈な文芸ジ -
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書評などというものを、ここに書いてるとは思ってないけど、ネット上で誰でも読むことができるのだから、良識は持っていたいと思っていました。
豊崎さんはれっきとした「書評家」さん。本書の中にいくつかあるけど、文章の構築で読ませてしまう、これも一つの作品なのですね。
今や誰でもレビュアーな時代。
匿名という安全地帯から、(トヨサキさんは、もちろん実名で「返り血」も浴びる覚悟で書かれています)単なる悪意をレビューするのはやめて、せめて愛情を持って進められる作品だけをUPしては?と提案されています。
読んでいて思わず手を打ちました。
ネット書店のレビュー、ひどいなぁ、と思うものが多かったから。自分が好きな -
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「淀長(淀川長治)さんみたいになりたい」。
著者は、巻末に掲載された大澤聡との対談の中で、書評のひとつの理想の姿としてそう語る。
著者にとって、書評は愛と尊敬なのだ。
だからこそ、著者は書評の意味について考え、そして時に辛口にもなる。読者はそれを受け入れる。プロとしての書評家の規範にも納得できる。
その愛は、読者に8割向けられ、作家に2割が向けられている。
気をつけた方がよい。あなたはきっと本書で例としてあげられた本がすべて読みたくなってしまうはずだ。書評とはそういった力を持つものなのだ。
書評とはどのような行為であるべきかを語った書評論および書評批評。 -
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面白かった。
ニッポンの書評と言うことで、書評界を紹介してると思いきや、実は長文の書評です。あ、ネタバレかな。いやいや、認識の問題なので私はそう思うということにしておきます。
各章が短く、小気味よく読めるのがうれしい。それと、難しく書かないようにした構成のため、最後まで楽しく読めて、内容もあり良い本です。
それにしても綺麗な文です。削ってテンポが悪くしないコツをご存知のようで、職人技だと感じました。
豊崎さんのを読むのはこれが初めてですが、愛情ゆたかな人だというのがよくわかります。書評だからでしょうか、読むと心がぽかぽかします。愛にあふれているので、悪口的なこともさらりと書けるため、ス -
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百年分のベストセラーをまとめて一気読みというムチャな企画。ムチャだけど、成功している。パチパチ拍手!一つ一つの作品についての批評だけではなく、「売れた」という共通点だけで並んだまとまりが映し出す時代の顔色もうかがえて楽しい。
読むことについて言えば、岡野・豊崎の二人の鋭く暖かくおもねらない読みに感心することしきり。
作品について言えば、時の試練の重みに居住まいを正したくなる。
もちろん、単なる後出しジャンケンなら誰にでもできるけど、そんな薄っぺらな二人ではない。
ただ、一人の読書人として、これを読んで安心し読んでもいないのに読んだつもりになっている自分がイヤになる。斉藤美奈子のベストセラー一気 -
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<業界騒然!読書家待望! 小説が100倍楽しくなる痛快文学賞ガイド
文学賞ってなによ? 芥川賞・直木賞から、話題のホラー小説大賞、メフィスト賞、ファンタジーノベル大賞まで、50を越える国内小説賞について、稀代の読書家大森望・豊崎由美の二人がアンタッチャブル徹底討論!WEBマガジン「エキサイトブックス」で一大センセーションを巻き起こした掟破りの言いたい放題がさらにパワーアップ。最新受賞作全採点「文学賞の値うち」付き。読む前に、読むべし!>大変興味深く、勉強になった。読みたい本もいくつかできて楽しめた。文学賞のありがたみはちょっと減っちゃったかもだけど(笑)