豊崎由美のレビュー一覧
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1900年から2010年まで、100年間のベストセラーに最強の書評家2人がツッコミまくる。もー、電車の中で読んでて何度くすくす笑いを抑えるのに苦労したことか。バカ本には容赦なく、しかしいい点はきちんと評価していて、書評家としての実力を感じるだけでなく、基本的にこの2人は、人間としてものすごくまっとうな人たちだなと思います。自分中心で他者に想像力が及ばない未熟な精神、女性や障害者に対する偏見、自分に都合よく事実や論理をねじまげる牽強付会をきちんと見抜いて批判できるのは、成熟した精神の読み手にしかできないことですから。
それにしても、「読みやすいけどどっと疲れる」とお二人が言われるように、近年に近づくほどにベストセラーの質の劣化が激しくなるのは、まさに目を覆うばかり。その分水嶺が1960年代にある、というのは重要な指摘で、産業社会において求められる「人材」の育て方と無縁でないのかもという気がしますね。
解説の呉智英がそのあたりの分析をつっこんでやってくれたらよかったのに、なんだこのつまんなさは。芸のない解説より、誤読ならぬゴトクをもってきた表紙の方がおもしろいぞ。 -
Posted by ブクログ
書評家による書評論。
「たとえば女性誌から映画欄をなくしても、自分たちは映画産業の人じゃないから痛くもかゆくもないかもしれない。だけど、書評欄はちがいますよ。仮にも出版社なんですよ、その雑誌を出しているのは......。」(p.212 大澤聡氏との対談から)
真摯にして痛快。本好き、読書好きなら必読です。
ただwebに蔓延する素人書評を「営業妨害」と断罪するのには違和感を覚える。
本や消費者にとってはやっぱり商品なんですよ。限りある時間とお小遣いを費やす価値があるものか、不安要素がないかどうかをやっぱり知りたい。
卑劣な組織票や内容のない罵倒が横行してても、やっぱり「ふつうの人がどう思ったか」は知っていたい。時には罵倒が逆説的に参考になることだってあるんだし。 -
Posted by ブクログ
著者豊崎氏のプロとしての書評感を海外との比較、ネタばらしの範囲、粗筋紹介、書評の読み比べといった切り口で展開。かなり過激で危ない論調もありハラハラしながら読んだ。後半には我々素人に対する厳しい指摘も用意されている。自分が理解できていないだけなのにつまらないと断じる自分の頭と感性が鈍いだけの劣悪な書評ブロガーの文章がネット上に多々存在する。批判は返り血を浴びる覚悟があって初めて成立するのであって浅薄なだけの悪意ダダ漏れの感想文は誰の心にも届かない。著者への冒涜と営業妨害以外の何物でもない。どうしても書きたいというのなら愛情をもって紹介できる本だけに限定すべきである。思わず本に向かって「はい」と返事をしてしまった。言辞は辛辣まことに耳に痛いが本というものに対するこのうえない温かな愛情も感じた。
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著者は書評家として有名なようだ。(読んだときは知らなかった)
市民講座も講師をしているようで、独自のスタイルがあるようだ。書評の書き方として、ネタバレをしない(ミステリ)、批判的な書評はしないなど、があげられていた。また、ブックレビューはガター&スタンプであるとも。読者に楽しみを与える、本が読みたくなるような書評が良いと説く。
しかしながら、本書の後半、書評に対しての書評スタイルには批判を控えないようである。他者のスタイルを本という出版物で行うのはよくない事と思われる。それもかなり、大掛かりであると思うのだが。
批評と書評のちがい。また、感想文とのちがいも大まかには分かった気がしてきた。参考となった。 -
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ネタバレ評家の著者が現代日本の書評事情について意見する。
「書評」と「批評」は同じようなものと思っていたが、定義が違うらしい。「書評」は基本として本の発売前に紹介するもので、「批評」は読後の評価である。書評は時間や内容に制約があり、一定の文字数で読者に興味を持たせる紹介文を書くことが求められている。(それが評者の力量になる)昔はあらすじの紹介もある程度許されていたが、現代の特にミステリー系やエンタメ系の分野では「ネタバレ」と言われ、度々問題視される。特にベテランの純文学系の書評家には、そういう文章を書く人が多い。著者はある程度のあらすじの紹介は必要と考えているが、どこまで紹介するのかの匙加減が難しいと考えている。。。と、ここまで感想を書いてきて、自分もネタバレをやっているような気がする。(著者もネットで匿名の個人での批判的な書評を問題視している)
その他にも書評を巡る多くの問題について著者の見解が書かれているが、文学をあまり読まない自分には、よく判らない意見も多かった。ノンフィクション好きには、あらすじや内容の紹介は購入の決め手になるので、有り難いと思いますけど。 -
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書評を生業にしているブックレビュアーという肩書きを持つ豊崎由美による、書評に関しての考察。
批評は作者・著者を、書評はこれから本を読もうとしている読者を対象に書かれている文章であるという基本的な定義の基、「ネタばらし」「援用」「粗筋」に焦点をあてて、日本と海外、プロとアマチュアの文章を比較することで「良い書評とはどのようなものであるか」を明らかにしている。
ネットにアップされている素人の書評を「匿名性に依然した粗悪なモノ」と断罪している点はそこまで言う必要があるか疑問の生じるところではある。
また、書評・批評に加え感想文にも言及しているが、おおむね感想文は素人の書くもの的な意識があるようだが、プロの書く感想文にも触れて欲しかった。
読み終わってみると、本書は「これから書評を書こうと思っている人へのいわゆる教則本」的なものなのか、「書評の読み手に良いもの粗略なものを見極める力を養って欲しい。書評にはこれだけレベルの差があるのだから」ということを教示しているのか、少々曖昧な点が感じられた。おそらく筆者は、「書評を書くならマシなものを書きなさいよ」と言いたいのだろうが・・・ -
Posted by ブクログ
本について書かれたものを読むのは楽しい。本についてあれこれ言ったり書いたりするのも、これまた楽しい。そういうシロート感覚と、プロの考えていることは(当然ながら)ずいぶん違うものだなあと思った。我ながら間抜けな感想だけど。
自分が「書評」をどんな風に読んでいるか振り返ってみると、次の3パターンあるようだ。
1.ブック・ガイドとして。
2.読み物として。
3.読み終わった本について評を確認。
もちろん1が本来のあり方なのだろうが、書評って読むこと自体が楽しいものだ。特に私は3が大好きで、たなぞうでも他の方の感想を必ず読む。同感できる感想を見つけると「おお、同志よ!」と嬉しくなってしまう。
豊崎さんが言うように、特にネット上の評には、悪意ダダモレだったり、自分の賢さをひけらかすだけのイヤーなものもある。でも「人口の少ない多民族国家」である本の国の住人にとって、身近で話の通じる人を見つけるのはなかなか難しいのだ。
私は「本の雑誌」本誌の全体に流れる「本が好きだ!」という雰囲気をこよなく愛しているし、それがある程度反映していると思うから「たなぞう」を使わせてもらっている。好きな書評家さんは何人かいるけれど、そのおすすめ本をいつもいつも面白いと思うわけじゃあない。それは当然のことだろう。それでも書評を読むのは楽しみなことなのだ。