黒田研二のレビュー一覧
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ネタバレ直樹の怨嗟は加速度的に増していく。それは同じ中学校の教職員や無関係な生徒にまで及んでいた。全てを恨み尽くした直樹の心にはもはや誰の声も届かない。学校を第二の監獄へ作り替え、皆殺しにせんとする、直樹を果たして止められるのだろうか?
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青鬼ノベライズの最終巻。『異形編』では多くが救われない絶望的なエンドを、そしてその流れのまま『怨霊編』に入り、一応無事に脱出できたが何一つ解決しないまま終わってしまっていた。今までは、その巻だけで丸く収まっていたので、この展開には驚いていた。
しかし、この最終巻に至るための必要なものだったのだと納得した。今回の巻では様々な登場人物がそれぞれの特性を生かして、脱出と救出を目指して奔走しており、まさに最終巻という感じ。自分たちのできることを懸命に考え、導き出し互いに協力していた。前の巻がそういったシーンが控えめだったのでより楽しめた。 この巻では、裏で暗躍していた直樹が前面に出てきており、またその事によって直樹がどんなことを考え、どんな思いを抱いているのかというのがやっとわかった。今まではただ怨念を抱き復讐にとらわれる人物で、常軌を逸している風だったので、なかなか直樹に同調できず、邪魔ばっかりをしてくるので、正直うっとおしいと感じていた。だが、『無終編』で直樹が生前抱えていた鬱積している苦しみや悲しみ、絶望が感じられ、生身の人間としてみることができた。聞けば聞くほど、直樹が抱えていたものは深く重くひたすらに辛い。自分をいじめているのは町の権力者の息子であるばかりに、教師には見放され、いじめを見て見ぬふりをするクラスメイトからは距離を置かれ……。自分がその立場に置かれたら発狂してしまうかもしれない。
教師云々の方はともかくとして、クラスメイトから距離を置かれた理由は単なるボタンの掛け違えのような、すれ違いだったのだがそれがより一層事態を悪化されているのも悲しかった。何とかしたいと思えば思うほど空回りすることってあるよなぁ。 直樹が自分の知らないところで起っていたこと、ほかの人がどう思っていたかということを、会話によって得ることにより、復讐にとらわれていた心が徐々に解放されていくさまもよかった。このまま、直樹の暗く沈んだ心も救われ、犠牲を払ったもののどうにか犠牲が少ないまま終わるかと思っていたが、やっぱりそうはいかなかった。真の黒幕が姿を現し、直樹が完遂できなかった復讐劇を遂げようとする。そこからはひたすら悲劇を突き進み、無関係な犠牲も増え続け、世界に絶望の種がふりまかれる、という所まで行ってしまい読んでいて気が気じゃなかった。最後は直樹がギリギリのところで残した助言によって事なきを得た形になったが心臓に悪すぎる……。 解決策がなかなかに強引で、面食らったが、すべてが解決し円満に終了したラストを見たら、みんなが幸せになれたんだからいいんだ!と思えた。
再びすべてがなかったことになった所為で記憶がなくなってしまっていたが、今まで得たものは消えていない様子で嬉しかった。惨劇を乗り越え、多くを得た彼ら自身は同じ未来を歩まないだろうと思う。ただ、それは彼らが自分たちの手によって作り出してしまった惨劇の未来というだけであって、他からの干渉があった場合は果たして……?という含みのあるラストだった。
最終巻ということもあり、謎多き青鬼がどの様にして生まれたかがやっとわかった。根本的な部分は明かされていないので、すべてが判明したわけではないのだけれど。 青鬼の根底にあるものは何なのか、それは読み手次第で感じ方が変わると思う。私は読んでいて異端の神の話が出てきたり、気味の悪い生物が出てきたりしていたので、一番にクトゥルフのような邪神を思い浮かべた。(旧支配者たちが人間に恨みを持って復讐を企てるかどうかは別としてであるが)
ノベライズ版青鬼はオリジナル要素が結構入っているので、元祖青鬼かと言われればやや違う感じもする。ゲームはあくまで脱出するまでが目的であるから、物語にしようとするとそうなるのだろう。 しかし、そんなことが問題にならないほど非常に面白い作品だった。一気に最終巻まで読み切ってしまうほどだった。この作品は今月第一巻の文庫版が出たとのこと。今現在『断章編』が中古でしか手に入らない(店舗によっては残っていることもあるかも)ので、『断章編』まで文庫化されるなら、文庫で揃えなおそうかしら。 -
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ネタバレ再び起こった惨劇。多くの犠牲を払い、平和な日常を取り戻した。シュンはゲームとジェイルハウスが連動していることを確信し、館に迷いこんだ人間が外部と連絡をとれるようにプログラミングを施す。しかし、その行動が更なる悲劇を巻き起こす……。 *** 卓郎の活躍により前回の惨劇から脱出し、さらに一週間ほどが経ったある日。依然登校拒否を続けるシュンのもとを再び訪れる杏奈。その際、シュンはジェイルハウスが取り壊され、卓郎の父がホームセンターを建てるという話を聞かされる。あの館は初めからそのつもりで購入していたのだから、今更驚くことではないが、あの館に誰かが侵入する事態は避けなければならない。卓郎も説得を試みたが、父親は聞き入れてくれなかったようだ。もはや館の解体は止めようがないが、予想される惨劇を指をくわえて見ているわけにはいかない。館に侵入するのを止めるのは無理でも、侵入し、閉じ込められた後のフォローはできるはずだとシュンは急いでゲームのバージョンアップを進めていく。幾多のバグを乗り越え、無事ゲームを完成させたシュンであったが、この時はまさかこのバージョンアップが今後にかかわるほどの問題を孕んでいたとは、文字通り命を懸けて、惨劇を乗り越え主人公たちが人間的に成長している一方で青鬼もまた進化している様子。前作までは人間を食らうことしか頭にない、力ばかりがある野蛮な生き物という様に描かれていた青鬼であったが、ここにきて飛躍的な進化を遂げていた。知性はもちろんだが、その知性を応用する能力を持ち合わせていることも驚き。館から無事脱出できた人間や、ゲームの作成者であるシュンが過去の出来事から学習し、青鬼に対抗する能力を少しずつつけていっているように、青鬼もまた過去の出来事を覚えているのか?
この度は、事前にシュンが対抗策を打ち出し青鬼の上手を行けたと思ったのだが、現実はそんなに甘くはなかった。最初の部分で、青鬼が学習し、習得した内容をさわりだけではあるが知ることができたのだが、その部分だけでもなかなか絶望的だった。そんな力を使われたらどうしたらいいのだろう。さて、今まで以上の悲劇が予想される今作だが、主要人物として取り上げられているのは、やはりたけしだった。ゲームではキャラクターアイコンが一人だけ微妙、ビビりでクローゼットに閉じこもり、がたがた震えるさまを『マナーモード』とネタにされていた彼。小説版でも体は小さく、卓郎の腰巾着で、肝が小さく極度に憶病……。と小説版でもなかなか不遇な立場に置かれている。小説の第一巻、第二巻でも他の登場人物の足を引っ張り、ひどい言い方なのは百も承知であるが、割とお荷物といった感じ。そんな彼がどの様な活躍を見せてくれるのかと、楽しみに読み進めていった。今回もたけしという人物について掘り下げられており、彼という人物が果たしてどういう人物であるのかを知ることができた。
卓郎とつるんでいるせいで、変にチンピラのようなポジションについているが、その根っこはやや気弱で、人を思いやれる人物らしい。非常に家族思いだとも感じた。心根は優しいはずなのに、やや過剰ともいえる憶病な性格のせいで、卓郎のような強力な後ろ盾がないと不安で仕方がないせいでずいぶん損をしている。たけし自身もその古語をよく理解しており、心の中にある葛藤を見て読んでいて苦しかった。 本編でも、その性格のせいで随分不憫な役回りだった。
やっぱり活躍できるのは行動力のある卓郎と頭脳派のひろしなのかなと思って読んでいてが、最後の最後でやっと皆を見返せるだけの活躍をできたことはうれしかった。(しかし、活躍するまでのいきさつとその結末を考えると素直に大喜びはできない)今作は今まで以上に様々な要素が絡み合っている。絡み合いすぎて混乱したが、やがて一つの結末に至りその結末も予想できていたとはいえ、現実のものとなりショッキングだった。
今までは犠牲を払ったが、なんとか元通りになって、はーやれやれといった感じだったが今回は丸く収まらなかった。果たして犠牲者たちはどうなったのか、今後どうなるのか……。不安ばかりが残る最後だった。 -
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ネタバレシュンが学校へ来なくなって一週間。ひろしは杏奈と彼のもとへ赴く。元気そうな様子に安心した2人だったが、ジェイルハウスには近づくなという、突然の警告に戸惑う。あの館に何があるのか……。それを知るのは、惨劇の記憶がある彼だけだった。
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青鬼ノベライズ第二弾。前回の惨劇から一週間。ひろしが無事脱出した後、あの凄惨な出来事自体が無いことになってしまい、シュン以外の人間は惨劇の記憶すら失ってしまっていた。その謎の現象によって青鬼に殺されたクラスメイト達が助かったこと自体は喜ぶべき事実だが、理由が分からない。単身、原因を探っていたシュンは、自分が作っているジェイルハウスを舞台にしたゲームと現実世界とがリンクしている事実を突き止める。自分でもあまりに突拍子もない結論だと思いながらも、そうとしか思えない事実に戦慄した。再び同じことが起こるとも限らない現象を止めるため、シュンは惨劇の犠牲者たちである、ひろしと杏奈にジェイルハウスに近づかないように懇願した。しかし、その警告もむなしく、何かに導かれるように前回の犠牲者たちは再びジェイルハウスへと足を踏み入れることになる。
前回も楽しめたが、今回も非常に楽しめる内容になっていた。ゲームを知っている人間はニヤッとするような、知らない人物でも小説として純粋に楽しめるという風に、ゲームにはない要素と、原作とオリジナルとが見事に融合していたように感じた。また、より今回の惨劇が起こるに至った原因に踏み込んでおり、残っている謎が解明される(すべてではなくごく一部)という楽しみもあった。また、青鬼の正体とされていた、直樹もストーリーに積極的に絡んできていよいよ盛り上がってきている。
こちらの青鬼シリーズはおそらくではあるが、一冊毎に取り上げられる登場人物がいる様子。前作はシュン+ひろし。今作は卓郎+ひろしだった。取り上げられた人物は、人物像が深く掘り下げられていく。それがゲームとはまた違う側面を見ることができ、そのおかげで非常にキャラクターに魅力を感じられる。小説の卓郎の人間性はかなり最悪だが、今作ではなぜそのような人間性になってしまったのかや、卓郎が抱える問題や感情、再び起こった惨劇を経て人間として成長した卓郎などが見れてよかったと思う。
(でもなかなか最悪のイメージは払しょくできそうにないが) 青鬼にいつ襲われるかわからないという緊張感も保ちつつ、青鬼に打ち勝って脱出して見せるという登場人物たちの決意もより一層見て取れて、登場人物たちを思わず応援してしまった。ゲームと違い、最終的にだれが助かるのかが予想できないので、最後まで気が抜けない。正直あのキャラクターは補正でやられんだろと思っていたキャラクターですらすんなり殺されてしまい割とショック。こちらの作品でもまた、負の連鎖を断ち切ることはできず、また、直樹がまだ諦めていないことからまだまだ続きそうな予感。 終わり方から察するに、次の主人公はたけしになりそう。たけしはゲームの中ではなかなか不遇なのでどのような描かれ方をするのか今から楽しみである。
小説版青鬼の魅力はグロくてハラハラする展開もそうなのだが、この人物たちの人間模様を見て取れるところだと思う。 -
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ネタバレシュン達は化物屋敷と噂されるジェイルハウスの中を逃げ惑っていた。捕まれば、あの化物に食い殺されるに違いない。建物から逃げ出そうと玄関へ向かうがドアは固く閉ざされている。果たして、彼らはこの屋敷から見事逃げきる事が出きるのだろうか……。
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有名な脱出系フリーホラーゲームのノベライズ版。ゲームの青鬼を下地にし、映画や漫画など様々な媒体で活発に発信されていたのは知っていたが、小説が存在していたことは知らなかった。
表表紙と裏表紙を見るとゲームに登場するキャラクター以外に見慣れない登場人物が二人いるのが分かる。ややオリジナル要素が入っているのだなと思い読み始めると、結構がっつり内容が違っていて驚いた。まず、主人公が『ひろし』ではなく表紙にいる黒髪の少年『シュン』だったこと。物語の挿入部も登場人物の設定もだいぶ違っており、青鬼らしさが出てきたのは館にたどり着いた後だった。思わぬ展開に面食らったが、なかなか新鮮で面白い。青鬼は一つのバージョンをプレイして怖くてそれでやめてしまったが、初代からやっている人はニヤリとする設定もあったかもしれない。館の中に入ってからは、青鬼にいつ捕まり食い殺されるかという緊張感が常に漂い、ハラハラしながら読んでいた。原作と違って完全にグロテスクなパニックホラーとして書かれているので、謎解き要素がほぼなかったのが残念だったが、登場人物の背景やどんなことを考えているかという部分が(この小説内の設定で)掘り下げられており、ゲームとは別の意味でのめりこみ一気に読み切ってしまった。
一応結末を迎えたが、残っている謎も気になる点もあり、かつ不穏な終わり方だったので、平和な結末を迎えるまでは遠い道のりのようだ。ゲームのコアなファンが受け入れられる小説かどうかはわからないが、(さらっとやったことがある自分ですら、なんだそれ、となった部分があったので)青鬼を踏襲したこういう作品だと思って読むと十分楽しめると思う。あと、割と人体が徹底的に容赦なく破壊される描写が散見されるのでグロが苦手な人は要注意。そのあたりは原作沿いだったな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ原作ゲームが好きでずっと読んできたシリーズ。
とうとう完結です。
前巻のラストから続きが気になって気になって仕方がなかった!
舞台が中学校に変わりちょっと新鮮でした。
青鬼の真相はもちろんですが、個人的には直樹の心の変化が良かった。この作品で一番救われて欲しかったのか彼なので…。
密かにお気に入りだったカズヤ君も再登場してくれて嬉しい限り。しかもそこそこ重要な役を担ってくれています。
そして最後のカラーイラスト!
卓郎たちが青鬼化した辺りからハッピーエンドは無理そうと思っていたので、見開きイラストに感動しました。
…不穏な最後のページは見なかったことにします。
「無終」ってそういうことなんですね。 -
Posted by ブクログ
借り物。
すごく読みやすく、先の展開が気になったので、あっという間に読み終わってしまった。
クレーマーって怖いな。
こういう対処の方法があるんだな。
前半のクレーマー対応の部分だけで一つのお話ができそうで、それはそれで読んでみたいなと思えた。
どんでん返しの説明が始まったところでは、まったく想像していなかった話をされたので、同じところを何度か読み直して理解した。
たしかにおかしいなと思ったところはあったし、なんとなく理解できていたところもあったのだが、それをさらに上回る事実があったために、「おぉー」となんだか感心してしまった。
・・・しかし、マンビーの解決の方は、最後にちらっと出てきただけだったのは残念だった。
タイトル通り、内容はクレイジー。
狂っている部分に気持ち悪いと感じる人がいるかもしれないので、注意が必要。
私もそういうものは苦手なのだが、これくらいなら耐えられる。
さらっと読める文章が救ってくれていたのかもしれない。
黒田研二さんの作品は初めてだったが、他のものも読んでみたいなと思えた。