中路啓太のレビュー一覧

  • 木霊の声 武田勝頼の設楽原

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    知っている地名ばかりなのと登場人物も少ないので集中して読むことができた。
    設楽原の戦いの無茶振りは違っていたとは、家臣らの対立や裏切りがなければ勝頼は生き残っていたのだろうか。。

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    2025年09月30日
  • 木霊の声 武田勝頼の設楽原

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    武田勝頼の物語。
    信玄の死後、武田家の棟梁になるが長篠の戦いで織田・徳川軍に三段撃ちの鉄砲に敗れ滅亡する。これが学校で習う一般的な認識だと思うし、私もそうだった。
    三段撃ちは江戸時代に書かれた「信長記」に記載があるのみ、長篠の戦いから武田家が滅亡する天目山まで7年もある事などは知らなかった。
    勝頼の覚悟や葛藤も描かれており興味深い。

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    2025年09月11日
  • 昭和天皇の声

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    二・二六事件を中心に昭和天皇をテーマとした短編集。戦後世代の作家でこの時代をここまで描けるという想像力に大きなな感嘆。

    最初は繋がりのないような短編が、鈴木貫太郎と昭和天皇の絆にじわじわと繋がってくる連作。

    終戦記念日を前に読んで良かった。

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    2022年08月10日
  • 革命キッズ

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    2022-2/8-15この時代には子供やった。なんか騒然とした時代で、高校の姉が学校封鎖で帰ってきたりしてたなあ。純粋で未熟な若者と熱い想いを持ち続けるロートルの友情もまた熱い。昭和の短い青春が凝縮してました。久々の星五つ

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    2022年02月08日
  • ロンドン狂瀾(下)

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    良いフィクションというものはジャンルに関係なく、今の人の生き方や世界の在り方を問うものもあるように思うけど、この『ロンドン狂瀾』も今の世界や人の在り方を問うような重厚な物語だったと思います。

    上巻でロンドンでの軍縮会議を終え、話は国内へ。条約の内容を受け入れられない、日露戦争の英雄、東郷平八郎をはじめとした海軍関係者、政変を狙う野党、そして大きな影響力を持つ枢密院。
    米英との軋轢を避けるとともに、軍縮による財政健全化と不況脱却のための減税を実現したい浜口内閣は、各方面に粘り強い交渉を進めていくが……

    歴史的な記述の詳細さは上巻でも健在。特に天皇の政治的な部分に関しての当時の人々の思考の再現であったり、憲法解釈をめぐる攻防であったり、そこをめぐっての展開が丁寧になされていたと思います。

    要所要所で感じられるのは、国益であるとか、国民を置き去りにしていく政治家たちの様子。政権交代をもくろむ野党は、国全体のことを考えず自分たちの権力拡大のために内閣を攻撃し、内閣は内閣で不答弁の戦術を繰り返す。今も昔も政治は何も変わっていない。

    そしてメンツやプライドから妥協点を見出せくなっていく、海軍司令部や東郷平八郎。浜口総理大臣に対し、嫌がらせのような質疑を繰り返し、条約批准を防ごうとする枢密院。国益や、日本の国際的な立ち位置などを度外視し、自身の立場からしか物事を考えられない権力者たち。思想が凝り固まった人間たちの厄介さというものを、いやが応にも感じさせられる。

    下巻では浜口総理大臣の姿が印象的。自身の命に代えても、国のため、国民のため条約を絶対に批准させるという信念がすさまじかった。それは軍部との対立だけでなく絶対的な力を持った枢密院との対立も辞さない姿勢にも表れていると思います。
    小説によると、国内は不景気にあえぎ、上記したように軍部の反対論も根強かったものの、内閣や浜口総理に対する支持率は高かったそう。それもこの信念の強さや、国を想っての行動というものが、伝わったからではないかと思います。

    だからこそ物語のラストの展開、そしてその後の日本のたどった道筋を含め皮肉というほかない気がします。1930年の軍縮会議もむなしく、その後満州事変、515事件や226事件で軍部の力は強まり、そして太平洋戦争へ。
    こうした日本の流れも、この『ロンドン狂瀾』を読んでいると、すでに予兆はあったのだなと感じます。国民の政治家への失望と、一方で勇ましい軍部への期待。軍縮会議で掲げられていた協調と和平は彼方へ遠ざかり、日本は戦争へとひた走っていく。

    最初に『ロンドン狂瀾』も今の世界や人の在り方を問うような重厚な物語と書いたけど、政治不信と救世主への待望は、アメリカのトランプ大統領をはじめ世界中で起こっているし、日本の政治不信ももちろん深刻な状態で、それが今と重なったからこそ、こう書いたのだと思います。

    人は歴史から学ぶのか、それとも歴史は繰り返されるのか。

    1930年激動の時代を描いたこの『ロンドン狂瀾』は、単に歴史上の出来事を小説に落とし込んだだけでなく、今の時代に対し問いかける物語でもあった気がします。

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    2021年01月25日
  • ロンドン狂瀾(上)

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    『人は上に昇れば昇るほど、濁ってゆかねばならんのだ――。』


    『ロンドン狂瀾』の下巻の帯に書かれていたこの言葉にただならぬものを感じ、著者も作品の評判も満足に知らないまま購入しましたが、上巻を読み終えた段階では、その選択は大当たりでした。とにかく抜群の読み応え!

    1930年、日米英など五大海軍国によるロンドンでの軍縮会議が間近に迫り、外務省の雑賀は軍縮会議への随員を命じられる。しかし会議の首席全権候補の筆頭である若槻は、困難が予想される会議で責任を負うことを拒否。雑賀は若槻の説得を始めるが……

    米英との軋轢を避けるとともに、軍縮による軍事費の削減は、不景気に沈む日本にとっては何よりも必要なもの。一方で日露戦争の勝利後、発言力を増す海軍関係者は軍縮に対し、日本の主張が認められないならば、軍縮の条約を結ばないこともやむなし、と徹底的な反抗を示す。

    一方で米英は日本の財政事情を知っていて、最終的には軍縮の条約を結ばざるを得ないと考えているため強気に交渉を進めてくる。
    海軍の顔を立てつつ、いかに妥協点を見出すが軍縮会議の大きなポイントとなってきます。

    歴史的な記述が多いので、最初は少しとっつきにくさは感じましたが、当時の国内外の政治や海軍の状況を詳細に小説に組み込み、話を展開していく手腕はとても巧く感じました。相当取材を重ね資料を読み込んでいることが伝わってくるし、それによってより読み応えが増している。

    歴史的記述だけでなく人間模様も読ませる。国益、国民を第一に考え粘り強く交渉に臨む雑賀や若槻。二人に信頼を寄せる浜口総理の決意など、彼らの気概や、矜持もともても熱い。

    当時は今以上に政治家の命が狙われることの多かった時代。それでも自身の命の危険すらも顧みず、国のため国民のため行動し、そして決断する。そうした彼らの心理も読みごたえの一つ。一方の海軍側の動きも詳細に描かれていて、内容はより濃くなっていきます。

    発言一つで交渉が不利になり、共に会議にやってきた海軍側の人間は若槻や雑賀に再三圧力をかける。そして国内の軍関係者も不穏な動きを見せるなど、軍縮会議は波乱万丈の展開が続きます。

    上巻でロンドンでの軍縮会議は終わるものの次に待つのは、様々な反対派が待ち受ける国内での条約の批准をめぐる攻防。
    下巻も読みごたえのある展開が期待できそう。

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    2021年01月24日
  • 己惚れの記

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    中路啓太!
    なんとも興味の募る作家に出会ってしまいましたよ!

    この作品、すでに日本史でご存知のとおり、改革に失敗、老中の座を陥落した人。水野忠邦の改革の頃、その家臣でもある物集女蔵人が主人公。

    主君の志を叶えるべく奔走、しかし途中でその甥、水野主馬の陰謀で島送りになる。

    そこで出会ったヤクザ、源九郎と共に島抜けする。

    改革に至るまで、そして頓挫し勢力闘争。
    そんな中に再び身を投じる蔵人。
    だが蔵人も源九郎も主君、水野忠邦側、その政敵側双方から追われる。

    信じられるのは己の忠義の志。それは正しいと自惚れる武士の本懐。それを応援する妻。男、蔵人に惚れ込む商家の主人。

    不器用な生き様を己の本懐のために命を削る男の物語は壮絶ですざまじい。
    涙が何度も波のように繰り返し流れるのを我慢できない。


    この作家、今まで時代小説作家が踏み入れない分野にも、名作が多いようで、これはたまらない!

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    2021年01月08日
  • もののふ莫迦

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    「本屋が選ぶ時代小説大賞」との帯に誘われ読んでみたらめちゃくちゃ面白かった。こんなに心踊る話は久々。どこまで史実に則っているのかな?

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    2017年08月14日
  • うつけの采配(下)

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    “関ヶ原合戦”は、散々に時代モノの題材になっている事件だが、マダマダ「色々な切り口」が在るのであろう…本作はテンポも好く、謀略や勇壮な合戦や、広家が愛した夕霧という女性の件や、主従の枠を超えて行くような広家と伊知助との“同志的関係”等、色々な要素が織り込まれていて、本当に夢中になる!!

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    2015年06月30日
  • うつけの采配(上)

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    “関ヶ原合戦”は、結果的に誘い出された西軍が、東軍を囲むように戦って殲滅を図ろうとしたものの、西軍の将兵の多くが日和見し、挙句に寝返りが在って東軍が勝利したことが伝えられる。その「西軍の将兵の多くが日和見」という結果になった動きの“プロデューサー”が吉川広家だったのだ…
    その吉川広家が主人公の小説。面白い!!

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    2015年06月30日
  • うつけの采配(下)

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    ここにも日本の恩人がいました。

    吉川広家。

    歴史好きといいながら、適当な時代や人物をつまみ食いにしてきたので、知らないことがたくさんあります。
    吉川広家の父の吉川元春はよく知っていましたが、広家のことは名前くらいしか知らず(^_^;)
    関ヶ原で動かなかった毛利勢という薄い認識しか。

    毛利元就の孫同士、従兄の輝元が器をわきまえずに西軍の総大将に担がれ、毛利家は滅亡寸前。
    そこを広家の執念で毛利の家名を守り通す。
    領地は三分の一になるものの、関門海峡に沿う位置に毛利家を存続させたことは、260年後の明治維新につながる。

    大河ドラマ「花燃ゆ」とつながるんですよ。
    長州藩の城地を日本海側の萩に置くことになったのも関ヶ原の一件から。

    偉大なる祖父、元就。
    毛利の両川と言われ名将の名高い、父、吉川元春と叔父小早川隆景。
    毛利家の伝説的存在の3人への劣等感から逃げていた彼が、叔父と太閤秀吉の死をきっかけに立ち上がり毛利家を守っていく。

    う〜ん。
    ここにも日本の恩人がいました。

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    2015年02月10日
  • うつけの采配(上)

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    主人公が吉川広家で興味があり手に取った。小早川隆景や吉川元春、毛利元就はよく知られているが。関ヶ原以前と以後の広家が良く分かった。

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    2015年01月18日
  • 昭和天皇の声

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    ネタバレ

    昭和天皇の声とはいうものの、実際に出てくる台詞は少なく、逆にその一言一言を、様々な背景や側面から描いている。戦前から戦後にかけての政情不安定な時代でもあり、短編集だが登場人物や背景が繋がっているのも面白い。そして、開戦と終戦における天皇の責任と、そのときの思いが全体の大きなテーマとなっていることに徐々に気づいていき、自分が生きている時代にはいなかった人物だが、人となりを少しでも知れた気がした。

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    2026年02月28日
  • 南洋のエレアル

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    日本の自虐史観に一石を投じていた。
    西欧列強の植民地から解放してくれたと感謝するパラオ人との友情を軸に物語は構成されている。
    これまで残忍な日本軍の本ばかり読んでいたので、新しい戦争への視点で興味深かった。(いばり散らす嫌な人物や、全体主義の空気も描かれながら、一般の日本の兵隊の善良さも描かれている。)
    白人の奴隷であった有色人種の中で唯一一矢報いた日本。ということが強調されており、戦争しなければ支配されていたじゃないかと語られる。
    植民地支配についても現地の発展に尽くしたと好意的で、パラオの日本人への感謝と憧れがベースとなっている話。
    戦争の悲惨さもしっかり描かれており、戦前の日本人の美徳を現代日本と絡めて描いているが、決して今流行りのナショナリズムに帰結することなく、過去から目を逸らさず、明日を生きろというメッセージがよかった。
    パラオのシゲルの人物像がチャーミングで素晴らしい。

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    2025年10月10日
  • うつけの采配(下)

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    広島に住むことがきっかけでこの作品を読んだが、毛利家についてもっと知りたくなった。

    おのれが元就や元春、隆景とは違い、うつけに過ぎないことを隠そうとして、逃げ出すような真似だけはしなかった。かえっておのれのうつけぶりを、堂々と、存分に世に見せつけてやれたのだ。だからこそ、曲がりなりにも毛利を滅亡の危機から救うことができたのだろう。

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    2024年04月16日
  • うつけの采配(上)

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    仕事の都合で広島にて暮らすことになったので、ご当地所縁の作品として手に取る。
    命が懸かっているので事の重さは違うものの、半沢直樹シリーズのような感覚。後半の展開に期待。

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    2024年04月10日
  • ゴー・ホーム・クイックリー

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    終戦当時のエリートたちがいかに苦心して日本国憲法を作り上げたかがうかがえる本で、非常に勉強になりました。

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    2023年07月16日
  • 南洋のエレアル

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    22戦争と防衛と侵略。21世紀になったら冷戦も紛争も無くなってると思ってた。美しい島々を破壊してその結果としての平和は誰が築くのか。権力者とは何か、考えてしまう。

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    2023年02月23日
  • 革命キッズ

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    長い長いお話だったけど、最後まで楽しませていただきました。
    この時代の話はいいよなーと思ったら、著者は僕とほぼ同じ同い年。
    この時代に生まれた方なので、僕と同じようにこの時代に感じるものがあるのかも

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    2022年11月08日
  • 昭和天皇の声

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    純粋な陸軍中佐・相沢三郎が統制派の首魁・永田鉄山に狂刃を振るう場面で始まる「感激居士」。2.26事件の裏のドラマを描く「総理の弔い」、「澄みきった瞳」。ある共産党員の魂の遍歴を辿る「転向者の昭和二十年」、そして実質的表題作ともいえるラストの「地下鉄の切符」。男たちの耳にこだまする幾つもの「天皇の声」、感涙の最終話で明らかにされる真実とは?

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    2022年08月22日