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「俺は見境をなくすほどに己惚れている」。侍の世も終わりに近づいた天保年間。たとえ愚か者と罵られようとも、己の信じた道を貫き通す男がいた。誰よりも武士らしくあろうとした男の、手に汗握る一代記!
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Posted by ブクログ
中路啓太! なんとも興味の募る作家に出会ってしまいましたよ! この作品、すでに日本史でご存知のとおり、改革に失敗、老中の座を陥落した人。水野忠邦の改革の頃、その家臣でもある物集女蔵人が主人公。 主君の志を叶えるべく奔走、しかし途中でその甥、水野主馬の陰謀で島送りになる。 そこで出会ったヤクザ、...続きを読む源九郎と共に島抜けする。 改革に至るまで、そして頓挫し勢力闘争。 そんな中に再び身を投じる蔵人。 だが蔵人も源九郎も主君、水野忠邦側、その政敵側双方から追われる。 信じられるのは己の忠義の志。それは正しいと自惚れる武士の本懐。それを応援する妻。男、蔵人に惚れ込む商家の主人。 不器用な生き様を己の本懐のために命を削る男の物語は壮絶ですざまじい。 涙が何度も波のように繰り返し流れるのを我慢できない。 この作家、今まで時代小説作家が踏み入れない分野にも、名作が多いようで、これはたまらない!
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中路啓太
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