中路啓太のレビュー一覧
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新井伝蔵(白石)の若い頃を描いた伝奇小説。中路氏の作品は『ロンドン狂瀾』に次ぐ2作目。
静の『ロンドン〜』とは正反対に、本作は非常に疾走感がある物語。話や構造はシンプルで、伝蔵の心理描写も上手く盛り込まれいるが、展開の強引さと伝蔵のキャラクターへの違和感が強く、読後感はイマイチ。頭脳明晰で侍講を目指すほどにも関わらず、性格は傲慢で冷静さに欠く印象。その癖に自尊心が強く、出世できないのを環境のせいにしている感じが強く、あまり好意を持てなかった。解説では本小説が経済低迷期に描かれ当時の社会と重ねてみることができるとあったが、時代性の違いが上記感想を抱かせるのかもしれない。
徳川綱吉が酷く惨めに -
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ロンドン海軍軍縮会議に臨む外交官、雑賀潤を主人公に当時の日本の政治の裏舞台を描いた作品。
条約締結賛成派の文官・政治家と対米7割は厳守!そうじゃなければ帰ってこい!という反対派の海軍将校たちとの攻防が、もどかしい。
米英との交渉よりも、国内の当時の政治家と軍人の動向を描いており、日本史の教科書でしか知らないロンドン海軍軍縮会議も、その背景にはこんなにドラマがあったのかと思うとやはり歴史は面白いなと改めて思う。
しかし、現実もこんな風に実際に外交に当たっている人たちは我々と違った考えでもって交渉しているのかもしれない。
若槻礼次郎と浜口雄幸がカッコよかった。
無事条約が批准されたが、その後の対米 -
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ネタバレ時代は戦国時代。豊臣政権下での猛将・加藤清正と、一人のこれまた屈強の男・岡本越後守との戦いのドラマだ。舞台は肥後国、そしてそこから秀吉の狂走である朝鮮討伐に巻き込まれて、舞台はさらに朝鮮に移る。
本のタイトルの通り、ここに貫かれているテーマは、岡本越後守が自身の生き方の指標とした「もののふの道」だ。要するに、岡本越後守という男は、「莫迦」という代名詞に置き換えられるほど「もののふの道」にこだわり続け、死んでいく。「莫迦」と呼ばれるほどに信念を貫くところに、ある種の魅力が生まれるのだと思う。
私が読む限り、この小説には他に3人の「莫迦」が登場する。加藤清正は、秀吉に忠誠をつくし続けることを信 -
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ネタバレH28.6.17-H28.6.21
(あらすじ)
始祖・毛利元就や叔父・小早川隆景ら名将たちの遺言を守り、毛利と徳川との全面対決を阻止しようとする広家。だが、安国寺恵瓊の策略により毛利輝元は反徳川勢の総大将に担ぎ出されてしまう。このままではお家滅亡は必定と焦る広家は、なおも戦闘を回避すべくぎりぎりの努力を続けるが、ついに関ヶ原合戦の火蓋が切られることに!
(感想)
恵瓊の策謀の隙を突き徳川と繋ぎをつけ、結果関ヶ原に負けた西軍。毛利は吉川の内応によって所領安堵を約束されていたが…。
あとは知ってのとおりの歴史です。
できるだけ広家を正義に描こうとしていますが、どうしてもモヤッとしたものが残り