久世光彦のレビュー一覧

  • 卑弥呼

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    再読本
    大好きな本
    あらすじだけ見てこの本を敬遠する人は少なからずいるのではないだろうか
    本が好きなひとこそ読んでほしい。最初の方で、ん?苦手な感じ…と思っても読み進めてほしい
    主人公のふたりよりも周りの人たちが魅力的すぎて、ずっと読んでいたい
    カオルのおばあちゃんが繰り出す本の知識に圧倒される
    昔の本は有名なものでもあまり読んでこなかったけど、この本を読むと途端に読んでみたくなる

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    2021年08月29日
  • 卑弥呼

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    私にとって久世光彦さんと言えば「寺内貫太郎一家」ではなく「時間ですよ」でもない。
    私にとって久世さんと言えば「刑事ヨロシク」だ。
    当時肩をカクカクさせながら「冗談じゃねねえよコノヤロウ」とかを速射砲的早口でまくし立てていた主演のビートたけしと、小刻みにギャグを間に挟んだかと思えばジェットコースターのように場面を転換させる久世の演出法とが絶妙に合っていたと当時思ってたけど、その演出法が世間より少し先んじていたのか、大ヒットとまでは至らなかったと記憶している。

    この「卑弥呼」でも、久世さんの自分の興味と知識と、現場や私生活で積み上げたアレコレとのテンコ盛りな展開がスピード感を伴ってすごく気持ちよ

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    2019年01月03日
  • 触れもせで 向田邦子との二十年

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    ネタバレ

    再読。二人の関係を男と女にあてはめるには下世話だし、仕事仲間というには濃すぎるし、親友というには隠した部分が多いし、二人は二人でしかなく、それがとてもうらやましい。全編に向田さんの不在と喪失が顔を出し、「ああ、この人は若くして急にいなくなってしまったんだなあ」と泣けてくる。こんなふうに向田さんを失った久世さんは、その後をどんなふうに生きてきたのだろうか。

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    2018年12月30日
  • 卑弥呼

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    言葉のリズムが絶妙。
    大学時代に方言と民俗学の講義をとっていたせいなのかはわからないが、ぐいぐいきた。

    久々に、読んで声を出して笑った。

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    2013年12月23日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    久しぶりにぐいぐいひきこまれる小説を読んだなあと思う。乱歩は短編集1冊しか読んだことのない自分でもとても楽しめた。あまりのおもしろさに友達に勧めまくったけどヘンタイチックな表現が多々あるので、なんだかちょっと気まずいような……笑

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    2013年03月21日
  • 夢あたたかき 向田邦子との二十年

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    この本を書いた著者ももはや亡き人に。
    彼はきちんと向田邦子に出会えたかしら?

    そもそも興味を引かれたのは
    彼のスキャンダルです。
    あの顔からそんなことをしたとは到底
    想像もつきませんでしたが…
    おそらくいけないこと、と言う旨の明記がされていたのならば
    間違いないのでしょう。
    意外だなぁ。

    面白かったのは
    ホームドラマ以外にもなにやら
    作ろうとしていたらしいこと。
    結局頓挫したみたいですが…
    もし彼女が生きていたら
    夢はかなったのかな。

    もっと彼女の作品、
    あってもよかったのかも。
    死んだのが惜しい作家でした。

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    2012年05月08日
  • 雛の家

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    一番、大切な本の次にはこれが好きと言える。
    三姉妹の凛々しくて、強かな姿。霧の中を、ただ一点だけを見詰めて歩き続ける後姿。
    秘めた決意であったり、狂おしい恋情であったりを胸の内に仕舞って、互いにそれを静かに見ている距離感が凄く好き。
    三者三様の恋愛模様もいい。真琴の恋愛には、あまり共感できなかった(好みの問題)けれど、菊乃が鶴吉と対峙するときやゆり子と結城の最後の逢引なんかは本当にドキドキした。
    鶴吉や結城の息遣い、菊乃やゆり子の胸のざわめきなんかが聞こえてきそうな文章だった。

    濃厚な物語。薄い頁が人肌みたいで、細い文字が吐息のように思える繊細な文章。
    とても綺麗。狂おしさが生きている。

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    2012年03月18日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    乱歩ファンが乱歩を主人公に乱歩作品を書くというすさまじい実験作。特に作中作での描写が妖艶ですごいのだが、乱歩はもちろんポー、クイーン等の解説と、未来からの予言(既に今は過去)の段で幾度と無く現実に引き戻されるのが難点。乱歩作の短編(除く少年探偵団)は9割方読んだよ、と言う人にオススメ。ジャンルむずかしー。

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    2012年02月09日
  • 桃

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    色気のある文章で綴られた短編集です。官能的な物語の中にも静謐な美しさがあります(官能小説ではありません)
     
    これも智内兄助の表紙ですね。物語の世界を良く体現していると思います。

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    2017年08月15日
  • 一九三四年冬―乱歩

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     久世輝彦さんの傑作中の傑作です。

     1934年の冬、極度のスランプに陥った乱歩は行方をくらまします(事実)このことに着想を得た著者は、この間に乱歩がホテルの一室にこもり「梔子姫」という新作を書き上げたという話を作り上げました。ただこれだけの話です。ただこれだけなのに久世さんはものすごく面白い話にしてしまいました。
     乱歩の人物描写が秀逸ですが、それ以上にすごいのが「梔子姫」という小説です。乱歩が書き上げたことになっていますが、もちろん久世さんのオリジナルです。妖艶で奇怪なストーリーは、もう言い切ります! 乱歩以上にすごいです!

     もう亡くなってしまわれたのが残念ですが、久世さん以上に、妖

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    2017年08月15日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    もうこんなペダンティックな文章で書かれた新しい小説は二度と読めないと思うと、残念というより悶え苦しむほど口惜しいのです。

    まさしく自らの嗜好と性癖と偏向に呪縛されたイマジネーションの産物以外の何ものでもない、ピーンと張ったひとすじの妖しい耽美的感覚は、至上の喜びであると同時に戦慄の恐怖でもあるのです。

    5年前の2006年3月2日、久世光彦は心不全で忽然と逝ってしまいました。享年70歳。

    実際にひどいスランプになったことがある江戸川乱歩ですが、はるか80年を経た後年、自分が主人公にされて、環境の変化を求めて麻布の張ホテルで缶詰になり、そこで探偵小説狂いの人妻や謎の中国青年に悩まされつつも幻

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    2011年07月21日
  • 触れもせで 向田邦子との二十年

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    数ある作家のエッセイの中で一番好きな本かもしれない。
    向田邦子とのエピソードがとても綺麗な日本語でつづられていて、著者の向田邦子への思いが伝わってくるし、読み終わった後も、さわやかな気分がする。向田邦子は飛行機事故で亡くなってしまったけれど、この一冊には彼女とのエピソードの一つ一つに楽しい思い出やその人柄がぎっしり詰まっていて、著者の悲しみよりも愛や感謝が伝わってくる良い本だった。

    料理研究家のコバヤシケンタロウさんがある雑誌でこの本を薦めていたのをきっかけに読みました。

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    2018年09月10日
  • 雛の家

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    東京の老舗人形店の美人3姉妹の恋愛話です。すごく個性的な3人の女性が時代背景の中で結構どろどろの恋愛を繰り広げますが・・・老舗お嬢の品格保ちつつ美しく描かれてます。私は好きです!

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    2011年04月03日
  • 桃

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    熊本の老舗・長崎書店のユニークな文庫本キャンペーン
    「La!Bunko」で、セレクターの一人として推薦させてもらったのが
    この本。
    むせ返るようなエロティシズムの中にも知性と上品さを感じさせる
    久世ワールド満載の短編集。

    この世界を新作で味わえなくなったのが惜しまれてならない。

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    2010年09月19日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    とっても面白かった、いろんな本の話がでてきて興味深い、濃密で妖しい空気に酔った。品切重版未定とは…買っといてよかった、危なかった。

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    2010年03月05日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    ネタバレ

    ― 1934年(昭和九年)冬、東京。
     雑誌「新青年」に頼まれた小説の原稿が進まず、衝動的に逃亡を図った江戸川乱歩(40歳・作家)。
     都心のホテルに一時避難し追手からは逃れたものの、このままでは作家の名が廃る。
     何としてもこの「梔子姫(くちなしひめ)」(←タイトルだけは決まってる)、完成させなければ… ―

     (※この作品に登場する「乱歩」はほぼ著者の妄想の結晶に近く、実在する「江戸川乱歩」とは多分に異なる人物である恐れがあります)


    何というか、一言で率直に申せば、萌えました。

    乱歩氏のどこまでも等身大の40歳な感じといい、華栄青年の絶妙な魅力といい、
    昭和初期のやや陰のある独特の雰

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    2016年11月24日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    江戸川乱歩の、ある冬の四日間をエロティックな文章で描く。作中、乱歩は「梔子姫」という小説の執筆に取り掛かる。本編と同時進行的に、この作中作が完成に至る過程を追っていくのだが……。この「梔子姫」がとにかく凄い。乱歩の完全な模倣、というより乱歩以上に乱歩的な作品に仕上がっている。久世光彦氏の筆力に驚き呆れました。

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    2009年10月04日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    深刻なのかお気楽なのか、揺れ幅がおもしろい乱歩先生。
    雰囲気のあるホテルにて両手に花状態。乱歩でなくてもキュートで艶っぽい翁青年にはクラクラします。
    明治大正の名立たる文人・作家の影がサッとよぎるのもよいです。

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    2009年10月13日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    スランプの末、突如行方をくらました超売れっ子作家・江戸川乱歩。謎の空白の時を追いながら、乱歩の奇想天外な日々を照らす。

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    2009年10月04日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    主人公は白いモノが目立ち始めた40男の乱歩。
    作家としての後ろめたさを言い訳しつつ逃げ込んだある宿での隠遁中に起こる幻想と妄想。
    久世光彦の描く乱歩は乱歩の小説以上に乱歩の世界観を浮き上がらせてくれます。
    中国人の美青年や美しき人妻に心惑わされ、若い頃の生き生きとした文章を生み出していきます。
    「梔子姫」を挿入することで、現実と妄想が交じり合い、それでいて読みやすい構成には脱帽。
    是非ご一読を。

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    2009年10月04日