久世光彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私の中で、じわじわとダメージが来るようなニュースがありました。
久世光彦さんの死去。
ふと、読み返したいと思ったのはエッセイ集でした。
「触れもせで。」「夢あたたかき」などなど。
いつかお会いしたいなと思っていた人は、どこか遠くへ出かけてしまいました。
だから、久世さんの大事に丁寧に表現されていたその世界の素晴らしさをどこかで表現していきたいなと思います。
久世光彦 様
あなたがいなくなったことを思うと寂しい気持ちが溢れます。
それは、毎年楽しみだった映像もあなたの選ぶ言葉も見れないからだと思います。
でもきっとほんのちょっとそれは寂しいだけで、私はときどきふと思い出すだけの話です。
例 -
Posted by ブクログ
大人は過去の経験を分類し、記憶にとどめ、その文脈で今の体験に対して判断を下したがる。これは教育を通り越し、自己洗脳といえるのかもしれない。
多くの人は大人になるにつれて忘れてしまっているが、本来誰しも子供のころは持っていたように思う感覚。
この本で著者は、そういった経験知が成立する以前の感覚を表現している。
病弱な子供の頃、布団の中で感じた生死が隣り合わせの感覚。戦時空襲の中で体験した現実と認識の乖離感。
薄暗い白熱灯、障子越しの光と影。水漏れ、隙間風、虚無僧の尺八、隣家の暮らしの音。金木犀、便所掃除口のそばに生えるドクダミのにおい。
社会通念や条件付けられた感情の決まりきった反応ではな