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Posted by ブクログ
久世輝彦さんの傑作中の傑作です。
1934年の冬、極度のスランプに陥った乱歩は行方をくらまします(事実)このことに着想を得た著者は、この間に乱歩がホテルの一室にこもり「梔子姫」という新作を書き上げたという話を作り上げました。ただこれだけの話です。ただこれだけなのに久世さんはものすごく面白い話にしてしまいました。
乱歩の人物描写が秀逸ですが、それ以上にすごいのが「梔子姫」という小説です。乱歩が書き上げたことになっていますが、もちろん久世さんのオリジナルです。妖艶で奇怪なストーリーは、もう言い切ります! 乱歩以上にすごいです!
もう亡くなってしまわれたのが残念ですが、久世さん以上に、妖しく美しく日本語を編み出せる作家はたぶんいません。
Posted by ブクログ
もうこんなペダンティックな文章で書かれた新しい小説は二度と読めないと思うと、残念というより悶え苦しむほど口惜しいのです。
まさしく自らの嗜好と性癖と偏向に呪縛されたイマジネーションの産物以外の何ものでもない、ピーンと張ったひとすじの妖しい耽美的感覚は、至上の喜びであると同時に戦慄の恐怖でもあるのです。
5年前の2006年3月2日、久世光彦は心不全で忽然と逝ってしまいました。享年70歳。
実際にひどいスランプになったことがある江戸川乱歩ですが、はるか80年を経た後年、自分が主人公にされて、環境の変化を求めて麻布の張ホテルで缶詰になり、そこで探偵小説狂いの人妻や謎の中国青年に悩まされつつも幻惑味たっぷりの新しい短編小説『梔子姫』を書く・・・・・などというまことしやかな物語をでっち上げられるとは、まさか夢にも思わなかったことでしょう。
二度目に読んだ時には久世光彦の息遣いが聞こえてきて、三度目には煙草の匂いがしてきました。そういうふうにして、著者というものは本の世界の中に永遠に生きるものなんだなあ、というより、私って他意識過剰なのかもしれません。
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