久世光彦のレビュー一覧

  • 卑弥呼

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    裏表紙に『・・・おかしくも切なく、卑猥にして気高きビルドゥングス・ラヴ・コメディ』とある。が、それだけじゃない。読んでみたくなるような本が、作中にちょいちょい出てくる。行きたくなる場所も。近所の摩耶山に摩耶夫人像があるらしい。知らんかった。ぜひ見に行きたい。でも見たら、松任・行善寺の摩耶夫人像も見たくなるんやろうなぁ。評価は3と4の間くらいかな。

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    2016年09月06日
  • 触れもせで 向田邦子との二十年

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    著者が向田邦子について書いた最初の作品を再読。本作では、向田さんに対する親愛の情(の、ようなもの)が素直に表現されているように思うが、2作目の"夢あたたかき"ではその部分が薄まった気がしてギャップを強く感じた。それが事故からの時間の経過のせいなのか、それとも久世さんが敢えて離れようと努力した結果だったのかは知る由もない。

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    2014年09月20日
  • 雛の家

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    昭和16年前後の物語。16年までの、荒れ始めた世間を知らずに安穏と過ごす姉妹。16年からの嫌が負うにも世間の荒波にさらされていく姉妹。自分たちの生き方の変化と世間の変化のリンク。助け合い、語らず、そして助け合う姉妹。男性作家が何故、このようなきめ細かい女性像を書けるのであろうか。

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    2013年04月09日
  • 陛下

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    2・26事件にまつわるお耽美小説。
    北一輝は義眼に”とある細工”をほどこしている、という凄まじい演出が。知的なエロスとは彼のことを言うと思った!笑
    未知のものへの恐れと崇拝が高じて、敬愛なのか恋愛なのかよく分からなくなってくる……そんな倒錯的なストーリー。なんていうか……スキャンダラスでした。

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    2013年08月12日
  • 卑弥呼

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    ネタバレ

    女の子は赤い風船である。ちゃんと糸の端を持っていてくれないと、指の間をスルリと脱けてどこかへ飛んで行ってしまう。でも、ほんとうは、飛んで行きたいのではなく、飛ばないように糸をしっかり持っていて欲しいのだ。

    この文章に感心しました。

    そうだといいなー。

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    2011年07月06日
  • 一九三四年冬―乱歩

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    スランプ気味の乱歩さん、美青年のボーイのいる長期滞在型ホテルに逃げ込んで…えらい妄想にふけりつつ『梔子姫』という小説を書き上げる…という話。
    「禿げてるくせに甘えてみる」とか
    「美青年と一緒に異国の曲を聞く-こんなことなら着替えてくれば良かった」
    「別にやつれていなくたって、伏し目がちでなくたって、人妻というだけでエロティックだ」とか、40歳を目前に人妻と美青年に目がない乱歩さん。
    なんか怪奇小説の巨匠とされているけれど、かなりお茶目というか何というか。
    乱歩の小説を読み込んでいるわけでもない私ですが、久世光彦が乱歩として書いた『梔子姫』だけでも「乱歩っぽいな」とそれとなく浸れました。乱歩ファ

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    2010年07月13日
  • 雛の家

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    東京日本橋の老舗人形屋の美人三姉妹の恋と生き方を、昭和14年から昭和20年の東京大空襲まで描く。


    菊乃の二人の姉への疎外感や、三姉妹の祖母・お吟さまのパリッとした態度が、脳梗塞をきっかけに徐々に衰えていく様子や、お吟さまのという大黒柱の死や三姉妹の悲恋、戦争が熾烈になっていくにしたがって寂しくなる家の様子の表現は逸脱。

    《以下ネタバレ》
    ようわからんかった。

    はじめは、華やかな三姉妹がキャッキャしているけれど、だんだん暗い話になっていく。
    長女・ゆり子は年の離れた右翼の男と関係を持ち、男の起こした事件により警察から嫌疑をかけられる。男が殺される現場に居合わせ、自殺を図る。
    次女・真琴は

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    2009年10月04日
  • 雛の家

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    三人姉妹に惹かれます。そして頭師に惹かれます。なんでこんなに妖しいんだ。で、鶴吉の美少年っぷりが凄いらしい。想像がつかない…。

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    2009年10月04日
  • むかし卓袱台があったころ

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     特に毒気を孕んだ美の香る「瓶の中の悦楽」、すれ違ったたくさんの人が描かれた「詩人のいた店」、大人の秘めたる少年心を覗かせる「少年の聖域」を面白がりながら読んだ。

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    2009年10月04日
  • 陛下

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    久世氏の作品、唯一拝読したのがこの作品だというのはかなり偏ってしまっている気がします。アットフォームなドラマの演出をされる方が、こんな小説を書くのかぁ。と驚きました。
    「陛下」は1930年代の青年将校の姿を描いた作品ですが、2.26事件を主題に沿え、あの時代に倦んだ滅びの美学、殉じることへの陶酔感が生々しく描かれています。

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    2009年10月04日
  • ニホンゴ キトク

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    最近あまり使わなくなったけれども、日常感あふれる語句についてのエッセイなの。
    「辛抱」だとか「時分どき」だとか「邪険にする」だとか、聴いてて気持ちがよいですな。
    mitiも作るは、こしらえる。とか、結構気を使えるところは使うです。

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    2009年10月04日