小林恭二のレビュー一覧

  • ゼウスガーデン衰亡史

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     20数年ぶりに再読した本。


     ロス五輪が開催された年、華やぎとは縁のない下高井戸の地にうらぶれた遊技場がオープンした。メインアトラクションはペンキの剥げた錆だらけの回転木馬。他の施設も倒産した地方の遊園地の不要品ばかり。客は全く入らない。好景気に湧き、バブルへと世の中が絶頂へ向かおうとしているときに、ひっそりと産声をあげたこの廃墟のような遊技場。しかし、この遊技場こそ、後に日本中を狂乱の渦に巻き込み、内乱へと導いたゼウスガーデンの前身だった。


     子供の夢を形にした遊園地は数あれど、大人の欲望を実現させる遊園地はかつてなかった。プリンセスになりたいとか、ヒーローになりたい、なんて夢は長

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    2017年08月15日
  • ゼウスガーデン衰亡史

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    これは、是非みなさんに読んで欲しい本です。 小林恭二氏は小説の人ではないのですが、この一発だけでもう充分に小説のお仕事を果たしました。はい

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    2009年10月04日
  • 悪への招待状

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    歌舞伎の堅苦しいイメージが簡単に崩れます。
    江戸時代にタイムスリップしたみたいだ!!
    とっても読みやすい新書です。

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    2009年10月04日
  • 電話男

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    「電車男」ではなく「電話男」。

    実は、この小説は15年以上も前に書かれたもので、これは2000年に角川ハルキ文庫から再び出版されたもの。
    <電話男>それは電話相手の話をただただ聞くだけの存在、報酬も求めず、相手に自分の話をすることもない。顔はわからず、素性も一切わからない。
    しかし、全国に数多くの電話男が存在し、人々は彼らに電話することで心の孤独を埋めようとする。
    それは次第にエスカレートし、社会全体の問題となっていく。
    この小説のすごいところは、現代においてもそれが当てはまるところだろう。
    インターネット時代が到来し、人々はメールや、サイトによってコミュニケーションをとるようになった。

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    2009年10月04日
  • したたるものにつけられて 自選恐怖小説集

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    「自選恐怖小説集」とあるように恐怖が根底にある文庫オリジナル短編集。収録作に共通しているのは、登場人物が何らかのある考えに捕らわれており、その固執した自意識によって状況が一転してしまう点。その執念に捕らわれたら最後、まさに恐怖である。こけおどしのスプラッターホラーなどはなく、人間の意識によって日常が歪んで狂っていく恐怖を味合わせてくれるという上質な一冊。

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    2023年09月11日
  • 日本国の逆襲

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    日本の姿を風刺的に描いたSFチックな短篇集。筒井康隆を彷彿とさせるパロディとユーモアとナンセンスが偽悪的に炸裂しており、素晴らしい想像力に脱帽。風刺めいた作品を編み出す技術と知力と鋭い分析力を持つ著者にはこういった短篇集を何冊も上梓して欲しい。その時期に決して遅すぎるということは無いのだから。

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    2022年11月23日
  • 日本国の逆襲

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    この著者の本を初めて読んだが、とてもとても面白かった。短編集なのだけど、どの作品も笑った笑った。

    ある種の日本人論も含め、どの作品も自虐的ギャグっぽい内容で、皮肉が利いている。

    ユーモア系のSFってもともと好きなのだけど、筒井康隆氏のブラックユーモアに通じるなあと思いました。

    特に気に入ったのは「大相撲の滅亡」と「酒乱クラブ」

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    2014年09月21日
  • この俳句がスゴい!

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    新聞で広告を見て買い求める。著書の俳句評論の本は久し振り。
    「実用 青春俳句講座」や「俳句という遊び」「俳句という愉しみ」の今に生きる俳人たちのへの評論や句会の実況は、ジュ―ジュー肉の焼ける音が聞こえるようで、取れたての生きの良さが素晴らしかった。
    虚子から兜太までの名句鑑賞の本書には、そんな面白さは望むべくもないかなと手にしたときは思ったのだが、ちゃんと読み始めると、この読書はもう快感としか言いようがない。

    例えばこんな一句を語る文章。
    寒卵 どの曲線も かえりくる
    (前略)そもそも生物というのは、多かれ少なかれ騒がしいもので、無機質の静かな落ち着きぶりとはまったく異世界にあります。しかし

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    2015年12月19日
  • この俳句がスゴい!

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    スゴい!シリーズにとうとう俳句が出た?切れ味鋭く、名句?の解説をしてくれるので、初心者にも読みやすい。まずは、何が凄いのか理解出来ないと始まらないからね。

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    2012年09月28日
  • 電話男

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    吉祥寺の古本屋さんで見つけ、最初は「『電車男』をもじったみたい」という印象で購入。

    奇妙な設定によって不思議な世界観に引き込まれました。

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    2012年05月29日
  • ゼウスガーデン衰亡史

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    壮大な法螺話。500ページあるが、すいすい読める。アトラクション・イベントの紹介という形をとりながら、著者の奇想を次々と披瀝しつつ、「快楽」について哲学する。比較するのは適当でないかもしれないが、乱歩の『パノラマ島奇談』を思い出した。『ゼウスガーデン』の方がクールだが、『パノラマ島』の方がねっとりして印象的だ。それぞれの作品が背景としている時代が違うからだろうが。

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    2012年03月06日
  • 宇田川心中

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    ピース又吉の『第2図書係補佐』より
    2012/2/24-29
    小説?は最近読み始めたものの、これはなかなか面白かった。
    ただ、歴史系は全然なので、とっつきにくかったが、面白かった。
    最後に全部つながるというのも、なかなか面白かった。
    これ映画になったら面白そうだなと思った。
    ドラゴンボールみたいな感じで、つながったのは面白かった

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    2012年02月29日
  • 悪への招待状

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    歌舞伎を解りやすく解説するため、現代の若い女性と男性がタイムスリップしたという少し物語仕立てになった本です。歌舞伎だけではなく、幕末の流行ファッション(?)なども学べる異色の一冊。オチに驚きました。

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    2011年11月25日
  • 悪への招待状

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    [ 内容 ]
    頽廃の香り漂う江戸・幕末。
    現代の渋谷に遊ぶ若者ふたりをしたがえ作者ともどもその時代へタイムスリップ。
    「運命悲劇」の傑作・河竹黙阿弥の「三人吉三」をテキストにして、歌舞伎の愉しさをたっぷり味わってもらう趣向。
    「月も朧に白魚の…」などの名セリフを織りまぜながら、幕末の風俗、時代背景、歌舞伎をめぐる諸事情、そして江戸庶民の哀しみまでをも活写する。
    悪の魅力に酔いしれながら、歌舞伎が持つ力を現代に甦らせた、著者入魂の新しい歌舞伎論。

    [ 目次 ]
    第1章 いざ、幕末江戸の芝居小屋へご招待(まずは形から;いざ出発 ほか)
    第2章 「稲瀬川庚申塚の場」(稲瀬川庚申塚の場;真女形・岩井

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    2014年10月26日
  • 宇田川心中

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    桜丸がいいお兄ちゃんすぎて素敵すぎる。陰間でも惚れるわ……。途中は時代とか誰の視点かとかころころ変わって結構分りづらかったんですが最後まで読むと大体つながります。

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    2009年10月10日
  • 宇田川心中

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    読売新聞夕刊で連載されていた小説だそうです。

    とにかくダダダッと読み進められたのでビックリ!

    舞台を見ているようなリズム感があって

    ドンドン読みたい、と思わせてくれる。

    宮部みゆきさんなんかもそうなのですが、

    彼女の場合、読み終わった後に、充実感はあれど

    なにかその小説から得られるものが少ない気がします。

    この小説は印象的な台詞も多くていろいろと考えさせられました。

    ただ、この小説に関しては、読む人の環境や状態によって

    印象にも随分とブレがあるように思います。

    僕も来年読んだらどうかわからないし、

    もちろん去年読んでいたら、感想もだいぶ違ったのでは

    ないかな、と思います

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    2009年10月04日
  • 電話男

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    脱線した部分の文脈や無駄話、言葉遊びなどが秀逸だった。大真面目にふざけているというような印象で良かった。
    プロット自体は、ほぼ何も動かないストーリーだが、電話男の概念、独特な価値観など、世界観の掘り下げが見事だった。確固たる価値観を持つ理解できない人たちとの会話は、暖簾に腕押しというか水と油というか、むず痒さと恐怖を感じた。カルト宗教が成り立っていく様を見ているような。
    大衆が電話男を排除しようとする世論の流れは、頭のない怪物を想起させた。
    終始よく分からないが何だかジワジワと面白い、不思議な作品だった。

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    2023年10月29日
  • 日本国の逆襲

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    相変わらずの大ボラシミュレーション大会。それぞれが短篇のため物語性はイマひとつだが、パロディとしては充分笑える。謎の病気がそのターゲットとなる日本人のカテゴリーを不条理に変えていく「懐瘋譚」、人生を旅に捧げ仙人化(?)していく人間を描く(なんとなく旅の本質を描き出しているような気がしなくもない)「千年観光団」がとくに面白かった。

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    2018年10月15日
  • 日本国の逆襲

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    大相撲の滅亡、日本人の「病気」、画一的で残業大好きで経済が発展して少子化で支離滅裂で大衆的で…
    日本、日本文化を風刺しパロディとユーモアに溢れる短編集でした。

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    2018年07月16日
  • この俳句がスゴい!

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    上から下まで全部足しても十七音。畸形的短さの文藝が俳句。これを支えるのが膨大な過去の韻文の蓄積。一言一言が深い意味を齎す。イメージの蓄積は俳句の表現の精度を極限にまで高める。ジャンル内における表現の切磋琢磨の賜物である。しかるに放っておくとすぐに閉塞してしまう側面もある。それゆえ一定のサイクルで必然の改革が起きる。自足、閉塞、改革の歴史を念頭に置きながら代表的作家の手練を味わった。尾崎放哉の「足のうら洗へば白くなる。」が心に深く滞り残った。

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    2014年05月15日