【感想・ネタバレ】電話男のレビュー

あらすじ

電話男とは何者であるか。小説内では、こう書かれている。
「電話男はなんの報酬も求めませんし、逆にあなたに向ってグチを言ったりすることも決してないのです」
電話男は、以下のような存在らしい。
「どんな話にも耳をかたむけることになっています。だから話がつまらないからといって途中で電話を切ったり、話の内容に非難がましいことを言ったりすることは決してありません」
どうすれば、こんな素敵な電話での話し相手が得られるか。
「電話男の電話番号さえ入手すればいい。それだけです」第三回海燕新人賞を受賞した、小林恭二の記念すべき第一作である。
1984年に書かれた当時、「現代人のコミュニケーションを求める姿を暗示している」などと評論され、絶賛された。この時の現代の姿は、何十年と時が過ぎた「現代人」にも当てはまるのではないか。
つまり、この小説が発表された当時、時代を先取りした小説であったが、それは今も、時代を先取りした小説ということなのだ……。
あなたは、この小説をどのように読み解くだろうか。

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Posted by ブクログ

「電車男」ではなく「電話男」。

実は、この小説は15年以上も前に書かれたもので、これは2000年に角川ハルキ文庫から再び出版されたもの。
<電話男>それは電話相手の話をただただ聞くだけの存在、報酬も求めず、相手に自分の話をすることもない。顔はわからず、素性も一切わからない。
しかし、全国に数多くの電話男が存在し、人々は彼らに電話することで心の孤独を埋めようとする。
それは次第にエスカレートし、社会全体の問題となっていく。
この小説のすごいところは、現代においてもそれが当てはまるところだろう。
インターネット時代が到来し、人々はメールや、サイトによってコミュニケーションをとるようになった。
それは簡単で、手軽な関係である。
しかし、そこには現代のコミュニケーションの希薄感、弧絶感が存在する。
そんな、時代がくるのを15年前にすでに予知していたかのような内容。
今の時代だからこそ読むべき本ではないかと思います。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

吉祥寺の古本屋さんで見つけ、最初は「『電車男』をもじったみたい」という印象で購入。

奇妙な設定によって不思議な世界観に引き込まれました。

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2012年05月29日

Posted by ブクログ

脱線した部分の文脈や無駄話、言葉遊びなどが秀逸だった。大真面目にふざけているというような印象で良かった。
プロット自体は、ほぼ何も動かないストーリーだが、電話男の概念、独特な価値観など、世界観の掘り下げが見事だった。確固たる価値観を持つ理解できない人たちとの会話は、暖簾に腕押しというか水と油というか、むず痒さと恐怖を感じた。カルト宗教が成り立っていく様を見ているような。
大衆が電話男を排除しようとする世論の流れは、頭のない怪物を想起させた。
終始よく分からないが何だかジワジワと面白い、不思議な作品だった。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

100000tにて発見した一冊。

電話が好きだから電話男になる人、何気なく電話男になることが運命であった人、それぞれが日常生活とは逸脱した

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2010年11月09日

Posted by ブクログ

 聞き役であり、自分から電話を切ることはなく、なんの報酬も求めず、かけてきた人にグチを言うこともなく、話の内容をダシに脅すこともない電話男。「電話男」では、実際の電話男の例とともに電話男の歴史やU研について。「純愛伝」では、突然電話男になってしまった妻をもつ主人公の話。
 とるこ日記で紹介されていたので読んでみました。この話を15年以上前に書いたというのがすごいなぁと思いました。知らない相手だからこそ、つい周りに言えない話をしてしまう。ちょっと難しかったですが、考えさせられる話でした。

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2009年10月07日

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