あらすじ
バブル全盛期、日本はその強大な経済力を持って世界を席巻しようとしていた。そんな時代に書かれた抱腹絶倒のコミカルなパロディー小説集。
表題作は日本に脅威を抱く各国は多国籍軍を組織して対抗し、日本は影響力をなくしていくその顛末を描く。
そのほか巨大化する力士のためか日本の伝統的スポーツ大相撲の滅亡を描いたり、車社会の「神」の存在や、受験教育のひずみなど、日本の社会が抱える問題は抉り出す。
バブル全盛期に書かれたものだが、21世紀、令和になっても、日本の状況はそれほど変わっていない、いや、もっと深刻になっている、と考えさせられる。
作家の想像力、創造力の偉大さを感じずにはいられない一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本の姿を風刺的に描いたSFチックな短篇集。筒井康隆を彷彿とさせるパロディとユーモアとナンセンスが偽悪的に炸裂しており、素晴らしい想像力に脱帽。風刺めいた作品を編み出す技術と知力と鋭い分析力を持つ著者にはこういった短篇集を何冊も上梓して欲しい。その時期に決して遅すぎるということは無いのだから。
Posted by ブクログ
この著者の本を初めて読んだが、とてもとても面白かった。短編集なのだけど、どの作品も笑った笑った。
ある種の日本人論も含め、どの作品も自虐的ギャグっぽい内容で、皮肉が利いている。
ユーモア系のSFってもともと好きなのだけど、筒井康隆氏のブラックユーモアに通じるなあと思いました。
特に気に入ったのは「大相撲の滅亡」と「酒乱クラブ」
Posted by ブクログ
相変わらずの大ボラシミュレーション大会。それぞれが短篇のため物語性はイマひとつだが、パロディとしては充分笑える。謎の病気がそのターゲットとなる日本人のカテゴリーを不条理に変えていく「懐瘋譚」、人生を旅に捧げ仙人化(?)していく人間を描く(なんとなく旅の本質を描き出しているような気がしなくもない)「千年観光団」がとくに面白かった。