小林恭二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新聞で広告を見て買い求める。著書の俳句評論の本は久し振り。
「実用 青春俳句講座」や「俳句という遊び」「俳句という愉しみ」の今に生きる俳人たちのへの評論や句会の実況は、ジュ―ジュー肉の焼ける音が聞こえるようで、取れたての生きの良さが素晴らしかった。
虚子から兜太までの名句鑑賞の本書には、そんな面白さは望むべくもないかなと手にしたときは思ったのだが、ちゃんと読み始めると、この読書はもう快感としか言いようがない。
例えばこんな一句を語る文章。
寒卵 どの曲線も かえりくる
(前略)そもそも生物というのは、多かれ少なかれ騒がしいもので、無機質の静かな落ち着きぶりとはまったく異世界にあります。しかし生物の根源である卵は妙にしんとしている。そのしんとした感じと冬という季節はよくあっている。なんとなれば、冬は地球本来の静けさが蘇る季節だからです。(後略)
俳句業界用語もサラっと出てくるが、僕のような素人にも判りやすく、俳句を読む楽しさを伝える文章。自由律、前衛俳句の口語体が、実は表現のバラエティに乏しいという刺激的な論述などもそこここにあり、一気に読んでしまった。ゆっくり読み返したほうがいいかな。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
頽廃の香り漂う江戸・幕末。
現代の渋谷に遊ぶ若者ふたりをしたがえ作者ともどもその時代へタイムスリップ。
「運命悲劇」の傑作・河竹黙阿弥の「三人吉三」をテキストにして、歌舞伎の愉しさをたっぷり味わってもらう趣向。
「月も朧に白魚の…」などの名セリフを織りまぜながら、幕末の風俗、時代背景、歌舞伎をめぐる諸事情、そして江戸庶民の哀しみまでをも活写する。
悪の魅力に酔いしれながら、歌舞伎が持つ力を現代に甦らせた、著者入魂の新しい歌舞伎論。
[ 目次 ]
第1章 いざ、幕末江戸の芝居小屋へご招待(まずは形から;いざ出発 ほか)
第2章 「稲瀬川庚申塚の場」(稲瀬川庚申塚の場;真女形・岩井条三郎 ほか)
第3章 「葛西が谷夜鷹宿の場」&「高麗寺前の場」(パロディ;おとせと十三郎 ほか)
第4章 「御輿が嶽吉祥院の場」(次第に明らかになる真実;お坊、死ぬ決意をする ほか)
大切
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
読売新聞夕刊で連載されていた小説だそうです。
とにかくダダダッと読み進められたのでビックリ!
舞台を見ているようなリズム感があって
ドンドン読みたい、と思わせてくれる。
宮部みゆきさんなんかもそうなのですが、
彼女の場合、読み終わった後に、充実感はあれど
なにかその小説から得られるものが少ない気がします。
この小説は印象的な台詞も多くていろいろと考えさせられました。
ただ、この小説に関しては、読む人の環境や状態によって
印象にも随分とブレがあるように思います。
僕も来年読んだらどうかわからないし、
もちろん去年読んでいたら、感想もだいぶ違ったのでは
ないかな、と思います。まあ、テーマや主張の
しっかりとした小説はそういうもんなのかもしれません。
そういう意味でも「舞台のような」小説でした。
ま、舞台は受け取る側だけでなくて、発信する側にも
ブレがあるから面白いので、この小説も舞台にしたら面白いかも。
キャストは… 若いタレントはよくわからないので思いつきませんけど。
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Posted by ブクログ
東京・下高井戸に造られた、
アミューズメントパークを巡る、
皮肉で壮大な偽歴史物語。
大人向けの快楽を追求したアトラクションは、兎に角振り切れている。
自分の顔がどんどん変形して、自殺や同性愛を体験できるアトラクションや、巧妙な心理作戦によって、最後は発狂するまで追い詰められるホラーアトラクション。
個性豊かでニヒル、あるいは芸術に取り憑かれたアトラクションデザイナーたちが生まれ、アトラクションを生み出し、スターになり、時代を彩る。
私利私欲にまみれた政治家たちが危うげにそれらを運営する。
その中にも、時折カリスマや覇者が現れ、パワーバランスが変化する。
まさに民主主義の成り立ちの経緯と、衰亡を、アミューズメントパークという、エンターテイメントでキッチュな舞台で描くという究極の皮肉。
そんな狂った世界で起きるエピソードは、あまりにもリアル。
今この瞬間にも社会や地域のコミュニティや、友人知人、TVのニュースの中などで、頻繁に目にするような、ごくありふれた出来事ばかり。
(それは、政治的なことから、恋愛に至ることまで)。
なのに、現実の日本とは似ても似つかない「日本」がこの本の中に存在する。
壮大で、イテリジェンスで、大真面目なブラックジョークを、延々と聞いたような気分。
ちょっと長い。