奥野修司のレビュー一覧
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東日本大震災以降、つぎつぎと亡くなった方の霊に憑依されたある女性の話。
その女性は小さい頃から霊感が強かったようで、自分で除霊のようなこともできていたようでした。それが震災後1年位してから次々と霊に憑依されるようになり、一度に何人もの霊に憑依される。
自分ではどうしようもなくなって、なんとかお坊さんのところに助けを求めて転がり込む。そしてお坊さんに亡くなった人がどういう人が、どういう状況でなくなったのかをできるだけ伝えて(憑依されるとその霊の感じ方を共有できるようなのです。自分の体をその霊にあけわす。すると憑依した霊が女性の身体をかりて話しだす。
お坊さんは既になくなっていること。未練を残さ -
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ネタバレ本来、自然界に冬のイチゴは存在しない。季節に逆らって加温しながら育てるから、植物にとってはストレス。病気にかかりやすくなるから、農薬をたくさん使う。
今の農薬の特徴は浸透性。内部に農薬が浸透している。
ビニールハウスの劣化した部分が落ちてきて作物が吸収する。
農薬の毒性があらわれるのは、10年先、20年先、半世紀も先。症状としてあらわれても、長い時間が経っているため、本当に農薬が原因かどうか調べようがない。
スーパーの都合で陳列棚に並べやすいサイズの野菜が作られるようになった。均質で傷がなく、きれいな野菜こそ高級品という価値観。
ネオニコチノイドは270度以上で分解されるため、焙煎が -
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私の中では日本を代表するノンフィクション作家の一人として信頼している奥野修司が、東日本大震災で愛する家族を亡くした人々の身に起こった霊体験とも呼ぶべき不思議な事象をまとめあげた一冊。
出てくるエピソードは第三者から見ればそれが真実かどうかを判断することはできない。しかし、本人たちが科学的には説明が付かないような事象を主観的に経験したという事実だけは残り続ける。
科学的に正しいかどうかはある種どうでも良い。徹底的にその主観性のみにフォーカスし、その経験によって彼らが多少なりとも心の傷を癒すことができた、そういう事実を知れるだけで本書の価値は十分にあると思う。 -
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ネタバレ愛する人を失った哀しみを、過ぎる時は慰めてくれない。でも、もし魂があるなら、それは唯一の救いだ。
私がそれまで縁もゆかりもなかった岩手の大学に進んだのは、柳田國男の『遠野物語』を読んで、「昔話とか言い伝えとかって、学問になるんだ」と、衝撃を受けて、民俗学を民俗学が生まれた地で学んでみたいと思い立ったからだ。
卒業して東京に戻ってからも、岩手で出会った人たちとの交流は続けているし、遊びにも行っている。
岩手は私の第2の故郷だ。
だから、あの日、テレビに映された光景に、悲しみと不安と焦りと絶望が渦巻いた。
何度もテレビで流された黒い波がガードレールを越えて道路を覆い被さるように襲う場面。
岩手 -
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奥野修司(1948年~)氏は、立命館大経済学部卒のフリージャーナリスト。2006年に『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で講談社ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。
2011年3月11日の東日本大震災は、1万8千余人に上る死者・行方不明者(このように数字で書くのは憚られるが)を出した、日本の歴史でも稀に見る大きな自然災害であった。
本書は、著者が、震災後3年ほど経った頃から3年半に亘り、震災による死者・行方不明者にまつわる「不思議な体験」をした人びと16人(組)に話を聞き、月刊「新潮」と別冊現代「G2」に掲載したものまと -