奥野修司のレビュー一覧
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映画 『そして父になる』が参考にしたという、赤ちゃん取り違え事件を17年追ったノンフィクション。作者は『心にナイフをしのばせて』 『密貿易の女王ナツコ』など面白い本を沢山書いてる奥野修司さん。
映画がかなり面白かったので読んでみたのだが、そしたら映画の10倍くらいこっちの方が面白かった。映画は子供を交換して上手くいかず、元に戻すのかどうなのか・・・というところで終わっていたが、この本では子供が30歳になるまでを書いているので、様々なドラマがある。
取り違えられた二人の女の子の葛藤はもちろん、その二組の親のなれ初めから浮気、酒浸りでネグレクトな母親、そんな嫁の姉とくっついちゃう夫など、取り違 -
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39歳で若年性アルツハイマー病と診断された筆者の、診断から現在までの道のりを語る。
認知症本人としての経験からくる発言は、こちらの浅い想像力を超えるものばかり。
アルツハイマーの方々がどのように感じているか、その考えに触れられることがうれしい。
病を宣告された時の、丹野さんの絶望。
それは、知識がないことから、認知症=寝たきり、徘徊、廃人のような誤った考え方へ陥ってしまったこと。
同じ病の明るく生きる存在の大きさ、サポートをしてくれる人々、お医者さん。
みな、病と向き合い、足りない事を悔いるのではなく、今できることを見つめる。病とつきあう柔軟性を持つこと、それはあきらめることでもある。
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改めて考えてみると、自分が口にしているものがどのようにして作られているのかを知らないという事実は恐ろしい。
また、「海外で作られているものが日本に入ってくる」という地点でその食品は古いものが多くなるのは必然だろう。同様に、コンビニで売られている日持ちするお弁当、おにぎり、パン。これらも、冷静に考えてみれば、手を加えていなければ不可能である。
学校給食にも平気で中国産が使われているという事実に驚いた。家畜の肥料など成分表示には現れていないものにこそ危険なものが多いのかもしれない。
他人の「気にしすぎやろ?」という言葉になんの責任もない。自分のことは自分自身で守らなければならない。 -
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購入済み
考えさせられます
「そして父になる」の映画が良かったので、原作が気になり購入しました。持って生まれた性格はあるにせよ、育った環境がその人の人格にも人生にも大きく影響するんですね。産みの親と育ての親、とても難しい問題だと思います。なかなか考えさせられます。
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沖縄県久高島にある、山村留学センターでのドキュメンタリー。携帯やゲームのないセンターで、十数名の中学生たちが時にはぶつかりあいながら共に成長していく様子を描く。
子供たちの中には、心に傷を負った子や一般の社会では排除されてしまうような感覚の鋭い子もいるが、この島では「特殊な子」として扱われることがない。それぞれが一つ一つの個性として受け止められ、理解あるスタッフ、温かい島の人々、沖縄の陽気な風土によって、心身共に健康を取り戻し、健全に育っていく。
長期間に渡り、子供たちやスタッフに適度な距離感で寄り添いながら取材を続けた筆者に、敬意を表する。
近年、「不登校」や「発達障害」が取り沙 -
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先日、川崎市で起きた中学生殺人事件の犯人は18歳の少年。彼は少年法によってプライバシーを保護され、国家による無償教育を受けて、数年後に社会復帰する。そして、どんな償いをしたのか、どのように復帰するのかは、社会にも被害者遺族にも明らかにされることがない。
少年による凶悪犯罪が起こるたび、日本の少年法が被害者側の救済と加害者の更生に役に立っているのかが議論される。その参考となるのが、1969年に起きた高校生による同級生殺人事件の被害者、加害者側の30年後を追った本書。
結論を言えば、加害者少年から遺族への謝罪はなく、少年の親も金銭的賠償を途中で放棄する。そして、少年は社会復帰し、結婚し、弁護士 -
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足を踏んだ方は忘れることはある
しかし
足を踏まれた方は決して忘れられない
ましてや
ひとつしかない「命」である場合
その 苦しみ 痛み は
想像を絶するものがあるだろう
一度きりしかない「生命」
を 理不尽な「死」
それも「殺人」という形で
奪われてしまった遺族に
ここまで 寄り添って
書き上げてくださった
奥野さんに頭が下がる
本当に尊い仕事をされたのだ
と 思う
読み進めているだけで
重くて切なくて
途中で投げ出したくなるけれど
今 私たちが生きている
この世の中に 実際に起きていること
読んだ私ができることは
次の読者に手渡すこと
決して忘れてはならないこと
が ここにある -
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「そして父になる」観賞後に読みました。重夫と智子の子、美津子。照光と夏子の子、初子(後に真知子)。取り違えという悲劇にあってから後の15年以上を取材した奥野氏による渾身のドキュメンタリー。実話であるだけに、映画以上に重苦しく、読み進めるのが苦しいほど。美津子と真知子、それぞれが成人し、自立していく頃になってようやく、気持ちが晴れていく。それぞれがこの事件を消化したかのように見えた終盤。書き下ろしの新章こそがとても印象に残った。実の子である美津子に懐かれることのなかった、実の父、照光。彼が奥野氏に送った手紙で美津子への執着をのぞかせる。この章こそが、「そして父になる」の原案であり、父であるが故に