奥野修司のレビュー一覧
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普段の食事の買い物をしていると、中国産や、アメリカ産の食品をどれだけ購入しているか分からないだろう。
なぜなら、それほど気を付けて見ている時間が無いと言うこともあるが、表示をしなければならない義務が無いものが多いためである。
中国の加工食品の驚くべき実態は、視察に行っただけでは到底計り知れないであろう。ジャーナリストによる潜入レポートがもたらす情報は計り知れないと考える。詳細は本誌を取って読んでいただきたい。
衛生管理の問題から、食品原料としてこれを使って良いのか?と思えるものまで、様々な情報が提供されている。
実際、私も何度が中国に足を運んでいるが、日本の中央市場に当たる市場や、 -
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これがすべて、ではないけれど、こんな手段もあるんだなと思った。本の帯通り、がんというか病気や死への向きあい方が変わった。もともと、延命処置に批判的だったけど、死への道標が具体的で、漠然とした恐れが緩和された気がする。
在宅死が見えなくなっていて、看取りの文化が無くなってしまった弊害が出ているなんて、思いもよらなかった。「あの世」という存在が、人間の倫理観にも親密に結びついていることに対しても同じ。
宗教を信じることで、生と死が肯定されることに、うらやましさを感じていたけれど、まったくその通りだったな。無宗教は、見えない先はすべて無だから、辛いな。 -
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大切な家族を、ある日突然誰かに殺されてしまったら。
こういう想像を、軽くでなく真剣に我が事として考えてみるひとはいないだろうと思う。
ひとは、殺人事件になど巻き込まれないと根拠もなく思い込んでいる。わたしを含めて。
本書は、高校生になった少年が同級生に無残に殺された事件の被害者を丁寧に取材して書かれた一冊だ。
こういった事件が起きると、わたしたちの関心は加害者の心情や背景にばかり行きがちだ。
そういったものを知ることにより、自分や自分の関係者が加害者にならない術を見つけたい。わたしはそう思うことと、単純な好奇心から事件を扱うルポルタージュをよく読む。
でも結局いつも、加害者の心情を知っても理 -
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沖縄で起こった乳幼児取り違え事件を題材にしたノンフィックション。
取り違えに気付いた5歳時から、子どもの交換を行った6歳時、成人時、そして大人になった後まで、当事者2名とその両家族を長期間取材したレポートである。子供の取り違えという病院を恨んだところで決してやり直しのきかない慄然とした事実に対し、人がどのように対峙していったのかが描かれている。
本書を読んで感じたことは、家族の形というのは本当に一つ一つ異なっており、「こういうことが起こったらこうなるということは決して言えない」という当たり前のこと。
そして同時に、そうは言っても、「家族や子供にとって絶対に重要なこと、絶対に欠かしてはいけない -
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昭和46年の沖縄で実際に起こった赤ちゃん取り違え事件、小学校入学前6才時の血液検査で発覚してから17年後まで追ったルポ。
絶対に子供を手放さないと思っても、実の子がいると言われれば一目会ってみたいと思う親心。育ててきた子と似ている相手家族に会い、自分たちに似ているのに他人を家族と慕う実子を見て、親たちの気持ちは揺れます。そして、いつもとは違う何かを感じ情緒不安になる子供たち。
子供への愛情はあれど子育ての考え方や優先順位の違い、子供同士のライバル意識、と何年たっても解決することができない家族関係は、読んでいて悲しくなりました。
そもそも正解のない事件に巻き込まれ苦しむ家族に付き添い、長く取材を -
Posted by ブクログ
ネタバレ「そして父になった」の福山さんの映画の原作の原作と聞いている。
本当に沖縄で起きた赤ちゃん取り違え事件を取材したノンフィクション。
6歳になった少女二人とその家族は、病院の取り違えから大きく揺らいでいく。ごく普通の家族に起きた事件は、全員に、これからの生き方と、家族のありかたをつきつける。途中読んでいてつらいことが多かったが、乗り越えていく人間の強さ、弱さに引き付けられた。特に智子さんというお母さんの娘たちへの思い、それを受け止めて成長した美津子さんには本当に感動させられた。柳田さんもあとがきで書いているが、程よい距離で、冷静に書かれた内容に、最後にはすがすがしさが残って良かった。 -
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ネタバレ原発事故後の福島で、農業の再生を目指す、稲田アグリサービスという企業がある。
それは事故の前から革新的な農業の再生を実践してきた農業集団であり、その綿密な作物の管理体制がすでに存在していたことが、放射能汚染の検査をいち早く取り入れ、科学的に安全性を検証することが可能になっている。
世界一うまい米をつくることを目標として、農協や既存の農家と過酷なせめぎ合いをしてきた彼らが、今度は放射能、更には風評被害という目に見えない敵と戦うことになる。
神はいないのかとさえ思えてしまうその試練に、彼らは毅然として立ち向かう。その精神には感動を覚える。
いち消費者として率直に言えば、他に選択肢があるので