かないのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
岩井圭也さん、7冊目。
作者さんとの相性があまり良くないことを自覚しつつも、なんとなく気になる本も多く、ボチボチとお付き合いしているところ。
今作は、自らの過去を踏まえて「付添人」の仕事に就いた弁護士・朧太一の物語。
付添人-家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、少年審判の手続きや処遇の決定が適正に行われるよう裁判所に協力する人。
少年犯罪において弁護人の役割を担う人ということだが、こういう仕事(制度)があることを初めて知った。
成人の刑事事件を思えば当たり前のように思えるものが、少年事件においては過去には必ずしも必要不可欠とされていなかったということに軽い驚き。
解説を読めば、現在は国選付添人弁護士制度まで出来たようだが、そこまでの道のりが全国の弁護士の方々の自腹で取り組まれてきたということにもまた驚く。
描かれるのは様々な少年事件。殺人容疑をかけられた少年とその友人、親に虐待され逃げ出してきた少女、補導を繰り返し虞犯少年(この言葉も初見)として家裁に送致されてきた少女、ネットで誹謗中傷を繰り返す引きこもりの少年、両親が横領で捕まり保護された少年、そこにそうした行先のない少年少女を個人的に匿っている女性・笹木や朧自身の出自や過去が絡まる。
家庭の事情、とりわけ親の身勝手、に追い込まれて起こる少年事件の実際と付添人の活動の実情がよく知れる。
ディスレクシアを認めた上で人生を歩んでいこうとする少年(と子どもの障害を正しく理解した母)の決意が描かれる第四話、両親の罪を受け止め乗り越えようとする少年の姿と朧・笹木の過去が重なった第五話が、とりわけ良かった。 -
Posted by ブクログ
『???』の部分が面白い食材が出てきて、そういう味付けもあるのか〜と思いました!
奥様が家族のことを考えて愛情込めて作られたのがひしひしと伝わってきます。
作ってみて、家族の反応をみて、レシピ化するかどうかも試してたんですね〜
出てくる料理がどれも美味しそうです!
いわしハンバーグは試してみたいと思いました!
『???』を加えるだけで、ボリューム感も出て、パサパサ感が無くなるんですね!
お好み焼き、カレー、筑前煮……どれも美味しそうでした!
竹志くん、家にも来てほしい〜
料理作ってください!
普段はにこにこ優しい竹志くんも、人に教えるとなると人格豹変…
でも、その変化もいいかも……
ある意味のギャップ萌……?
-
Posted by ブクログ
2000年の少年法改正により、少年審判の手続きや処遇を適正に進めるため、裁判所に協力する役割を果たす「付添人」(主に弁護士が担当)が公的に認められたとのこと。つまりは、被疑者の少年(少女を含む)の味方となる人ですね。
本作は、副題の「子ども担当弁護士・朧太一」が主人公の、5話からなる連作短編集です。名前はオボロ、見なりはオンボロ‥、でも少年たちへ寄り添い、手を差し伸べ続ける熱い心の持ち主で、自身が過去に傷を負っている背景がありました。
オボロは様々な問題を抱えた子どもたちへ真摯に対峙しますが、彼らはなかなか心を開かず、SOSの声の上げ方もわからないようです。それでもオボロの丁寧な語りかけが少しずつ彼らを変容させ、徐々に内に秘めた心の叫びを吐き出していきます。各話とも、リアルな描写に心が痛みます。
これらの要因を辿っていくと、親たちの傲慢で勝手な言動に行き着きます。結局、翻弄されるのはいつも子どもで、心の逃げ場を失って自分を諦め、前向きな思考ができなくなっていくんですね。
法整備が進んでも、それだけでは対処療法で根本的な解決にならないのは自明です。親や周囲の無自覚が子どもを追い込んでいると理解し、他人事ではないと胸に刻む必要がありそうです。
とまあ偉そうに書きましたが、深刻で重い内容ではあるものの、オボロの奮闘と短編ゆえか、結構さらりと各話が展開していきます。最終話で、オボロ自身が救われる終わり方もよかったです。
辛い思いをしている、かつてしていた全ての人へ伝えたいですね。「過去・他人は変えられないけれど、未来・自分は変えられる」と‥。
岩井さんの想いがオボロに反映され、温かな筆致で優しく先を照らしてくれる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
初めましての作家さんです。
主人公は朧太一、弁護士。
少年犯罪において弁護人の役割を担う付添人をしている。
5つの話が収められていて、
ホームレスを襲った少年とその友達の話
親の虐待から逃げてきた少女の話
親の支配から家出を繰り返す少女の話
自分の部屋に引きこもった少年のSNS炎上の話
親が会社のお金を横領した少年の話
それぞれの事に真摯に向き合って、その子にとって一番良い環境、未来を探すのですが、そうする中で主人公、朧太一も自身の過去と向き合い出口を探して行くという話。
この話を読んで思ったのは、子どもは環境に一番影響されるということ。子ども相手の仕事をしていると感じていたことですが、「やっぱりな」と思いました。
そして、付添人がどのようなことをするのかも知ることができました。
少年鑑別所、子どもシェルターなどのことも出てきました。
子どもたちのためにたくさんの人が関わっていることも知れましたが、実際は人手不足だろうと思います。
少年少女を取り巻く現状と未来をリアルに力強く描き出した、感動ヒューマンドラマとカバーに書かれていましたが、私はお仕事系の話にも思えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ全く違う境遇に置かれている陽羽里と恵美羽。そんな2人の共通点は「私」の境遇が億劫で憎いこと。そんな2人の中身が入れ替わりお互いが知る由もないはずだった地獄を知り___。
汐見夏衛さんの作品の中ではあまり扱われた覚えがない題材を扱っていることに新鮮味を感じながら、本書を読ませて頂きました。汐見夏衛さんのあとがきにも記されていたように、人間には、他者がしる由もない、知ることの出来ない公にしていない自分の内に留めている自分、というものが存在し、それがよく描かれた作品で、こんな作品をかけるのは教員と作家をなさっている汐見夏衛さんならではの経験や視点ありきのものなのかな、と思いました。
とてもデリケートな題材で、読者層が絞られそうと感じましたが、「ないものねだり」という点ではより広い年齢層の方が親しみを感じやすい本なのだろうなと感じました。
「あたし」「わたし」という一人称の呼び方や、語尾や言葉遣いが違うだけでその人の人柄がより具体的に連想しやすくなる点もとても興味深い点でした。
また、なにか辛いことがお互いにあるごとに、お互いが「こんな思いを十四年間してきたのか」と相手の気持ちを思いやる描写は心にくるものがありました。自分だったらそんな状況下に置かれたらそんな余裕は無いだろうと、少し2人を尊敬してしまいました。
「きっとこれからだね。これから、どんどん変わっていくんだね」
個人的にこのフレーズがとても大好きです。
辛い境遇にいながらも希望を捨てずに前を向き前進しようとしている姿に感銘を受けました。
例え私がこのような辛い境遇に遭遇しなかったとしても、この心は大事にするべきものであると感じ、これを読んだ皆さんにも心にしまって置いて欲しい心持ちだとも思いました。