カズアキのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ孤児院で暮らすロザベラが、突然裏社会の名家であるデ・コスタ家の血を惹くとして引き取られ、3人の従兄弟から1人を選んで子を産むよう言われるっていう、裏表紙のあらすじからは逆ハーレムかなぁって思ってたら、けっこうきなくさくて、ラストは予想外でした。
まず長兄のエミリオが相手っていう線はなしです。
三男のダリオもロザベラ的にはダメでしたけど、今後はダリオはロザベラに惹かれて、なんやかやといいように使われそうです。
次男のノアは、最初からロザベラの相手としてのフラグが立ってましたけど、それがすべて本当の兄妹だったっていうのは、えーーって感じ。でもエミリオの言い方だと、エミリオ達の母とロザベラの母とは別の3人目のデ・コスタ家の女がいて、ノアとロザベラの血は完全につながってないっていうオチなんかもしれません。
一番の悪はエミリオなのか、ノアなのかってところですが、この終わり方だと、次巻も続きそうですね。 -
Posted by ブクログ
“ノアは視線を正面に戻した。
「……怖かったか」
ビルの高さについて尋ねたのか、それともノア自身について訊きたかったのか。
どちらかわからないまま、ロージーは頷いた。
「……怖かった」
車は橋を渡り、元の繁華な地区に戻っていく。交通量が増えて、街灯とネオンサイン、ビルの明かりがまばゆいほどに闇を照らす。
「賑やかで、たくさん人がいて、大きくて、新しくて、埃っぽくて、この街が怖かった。でも、あのビルの上から見下ろした時は、怖くなかった。あんなにも高いところなのに、落ちたら死んじゃうのに、怖く、なかった」
言葉は途切れ途切れにしか出てこなかったけれど、ノアは最後まで文句も言わずに聞いていた。外の明るさに対して車内は暗く、ノアの髪も黒々として見えた。
ありがとう、と伝えたけれど、ノアは何にも言わなかった。
「……ノアはこの街で育ったの?」
対向車のライトが彼の顔を一瞬照らし、目の奥を暗い青に輝かせた。
「ああ」
車はブレーキをかけてゆっくりと停まった。渋滞だった。
(みんな、家に帰るんだ)
「今日は帰るか?」
問われて、ロージーは自分が帰る場所を思い浮かべた。大きくて、恐ろしい屋敷が自分の帰る場所とは到底思えなかったけれど、里親との間を行き来して数年を過ごしたあの施設も、自分の家ではなかった。
(帰る場所は、ないんだ)
不意にそのことに気付いて、呆然とした。”[P.133]
裏の組織、土埃、物騒な空気と、どこか甘い。
最初はスルーしてたけど雑誌の短編読んで気になって買って読んだら面白かった。
血縁関係はまだ一転二転しそうですね楽しみ。
拳銃がちゃんと重たい重たい。
ダリオちょっと不憫…。
巻き込まれ、翻弄され、涙ながらにそれでも生きるため足掻くロージー可愛い。
“(胸、が、どきどきしてる)
押さえた胸の下で、心臓が痛いくらい跳ねている。
恐怖や緊張のためだけではなくて——興奮で。
小さくはない達成感が、胸からじわりと四肢に広がるのを感じる。あのエミリオを相手に、やってやった、という喜びが、ロージーの細胞一つ一つを目覚めさせる。エミリオはロージーを殺せない。ロージーが提示した交換条件を受け入れるしかない。どうにかしてノアを解放させるだろう。
これはロージーの、エミリオに対する初めての勝利だ。
(今まで、誰かを傷つけて、何かを欲しがるなんてこと、なかった)
ロージーはいつも我慢していた。奪われるまま抵抗もしなかった。他人と争って傷つけ合うよりは、自分が諦める方を選んでいた。
でも、今日のロージーは、違った。
傷つけ、傷つけられ、それでも、確かに勝利を得たのだ。
(私に、他人を蹴落としてまで何かを得る権利なんかないはずなのに。他人を脅すなんていけないことなのに。それなのに)
胸のどきどきが、治まらない。
生きてるという感じがした。生きているんだと思えた。
そう感じる自分が、怖い。
(どうしよう、私、)
今年の新色と評された唇から、吐息のようにあえかな呟きを漏らす。
「悪い子に、なっちゃう」
生きることがこんなにもどきどきすることだなんて、知らなかった。”[P.201] -
Posted by ブクログ
“「お前は……っ、何もできない!それはお前の体じゃない。何が魔法だ。何が約束だ!それはベファーナの体だ。ベファーナの力だ!お前はなんにもできてない。それなのに俺を使うのか、俺を人に渡すのか!」
その通りだ。どうして否定できるだろう。ルナは震える体を抱いた。
「お前になんの権利があるんだ。なんでお前が俺を売るんだ!馬鹿にするな!俺はお前のペットじゃない。お前なんかこれっぽっちも好きじゃない。ベファーナとは違う。お前はベファーナなんかじゃない、ルナでもない。お前は、なんでもないんだ!」
喉が裂けそうなほどに叫ぶと、後はただ沈黙だけが部屋を満たした。
ノーチェは荒ぐ息を抑え、押し殺した声で吐く。
「お前も、俺を捨てるのか」”
ストーリーが結構良かった。
偉大な魔女と体と靴とを交換されてしまう平凡でおどおどとした少女。
彼女は元の体に帰ることができるのか。
“これ以上の幸せはないと感じた夜に”と最後にまたこの文章が出てきて、はっと気付く感じ。
ノーチェと彼女の仲が羨ましい。
でもこういうのを読むと、始まりはどこだろうって思ってしまう。
“「なんて可哀想な子!みじめで、間抜けで、ちっとも上手く歩けちゃいない」
彼女は少女に手を伸ばす。高くから見下ろす目が、一瞬、慈しみの色に緩んだ。
「大丈夫。あたしがあなたを起こしてあげる」
囁いた口は奇妙に歪み、生ぬるい息がもれる。
「楽しみねぇ。ただでさえ不幸なあの子をふんだんに苦しめて、突き落として踏みつけて、ぐしゃぐしゃに泣かせてあげよう。一体どんな顔をするのか、考えただけでゾクゾクするわ」
真紅の爪で水盤に線を引く。その道筋は少女の頭上から街路を辿り、角を曲がって一軒の店に繋がれた。
ぶら下げられた看板は踊り子の靴の形だ。示された道のりを行く少女に顔を近づけて、うっとりと囁きかける。
「さぁ、その店よ。そう、そこに入りなさい……」
彼女の言葉そのままに、少女は靴屋の扉を開けた。
水鏡の中で少女は店員と話をしている。まだ、一人で買物をすることに慣れていないせいで、挙動はあまりにもぎこちない。
彼女は笑った。いつかの自分の姿を見て。
「安心しなさい。あなたは絶対うまくやれるわ」”