鈴木俊貴のレビュー一覧
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動物の生態を研究している研究者二人の対談を本にまとめたもの。動物の話に終始するのかと思いきや、言語の起源・進化、新たな学問の可能性という話題まで飛び出してくる。読んでてわくわくした。
議論は現代社会の問題、目指すべき未来像にまで及び、大変興味深くおもしろい本だった。
専門用語も出てくるが、出てくるたびにその言葉がどういう意味か文脈にのせて読者に解説してくれるため、最後まで疎外感を感じることなく読むことができ、知らない知識に感心しているうちに読み終わってしまった。非常に気分が良い読後感の本。
コミュニケーションとは「環境」が促すものなので単調な生活になりがちの飼育下の動物は多彩なコミュニケ -
Posted by ブクログ
鳥の研究者である鈴木さんと、ゴリラの研究者である山極さんの対談形式の本。
まず本書の主旨とは違うが、お二人の研究スタイルにびっくりした。
動物の研究って、人間↔︎動物の構造だと思ってた。主に人間が動物になにかアクションを起こし、その反応を観察するみたいな。
それもあるけど、お二人は対象動物のコミュニティの中に自ら入り込み、一緒に生活することで観察をしている。とても衝撃を受けた。文化人類学のフィールドワークだなと思った。
そしてこの姿勢こそが、大事なことなんだと思う。
近年まで人間は他の動物よりも優れている、言語を扱えるから賢い、みたいな(キリスト教的な)考え方が根底にあったせいで、動物の研究っ -
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鳥になった研究者とゴリラになった研究者が、
動物たちの言葉とコミュニケーション能力、
そしてヒトの言葉の進化と現状についてをも語り合う。
・まえがき
Part1 おしゃべりな動物たち Part2 動物たちの心
Part3 言葉から見える、ヒトという動物
Part4 暴走する言葉、置いてきぼりの身体
・あとがき
参考文献有り。
「言語」というキーワードで繋がる二人の研究者の対談集。
お互いの知識を相手が理解し易いように述べているから、
読む者にも分かり易い内容になっている。
それでいて、自分たちの研究と対象についての語りは、熱い。
それを受け入れて理解し合い、同調してゆくのも、微笑ましい。
鳥 -
Posted by ブクログ
「鳥になりたかった男」と「ゴリラになりたかった男」の対談。
それぞれの分野の知見を話し合うところから、最後には人の言語についての啓蒙のような話に及ぶ、壮大で聞き応えのある対談だった。
環境に適応するために言語は進化した。
人間だけではなく、すべての生物が、それぞれの置かれた環境で生き延びるべく進化している。
しかし、人間は人間主体で世界を捉えている。
「人間にできることが動物にもできるかな?」という目線での研究や実験がたくさんある。
言葉を理解できるか?計算ができるか?と言うものが例えばそうだ。
しかし人間は一つの生き物に過ぎず、人間だけが優れているわけではなく、優劣はない。
私たちは犬が見て -
Posted by ブクログ
ネタバレ
著者のお二方が研究などに基づいて、動物の行動に込められているであろう意味とか言語の起源などを論じていく部分が非常に面白かった。
それを通して見えてくるものの一つに、言語はコミュニケーション手段の一部でしかないということがある。つまり、身体性に関連する言語を超えたものが確かにあり、言語では言い表せないということ。
それなのに人間は言語を重視しすぎているとの問題提起。他にもこんな感じの主張が出てきている。
それらは以下のようなパターンの類型として理解できるなぁと思った。
すなわち、要素還元主義vs全体主義の議論。その内容としては、「人間は対象をより細かい要素に還元して考えることが可能で、効果的 -
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ネタバレ鈴木俊貴『僕には鳥の言葉がわかる』は、単なる自然エッセイや研究紹介にとどまらず、人間が「世界をどう理解してきたのか」という根源的な問いに静かに踏み込んでいく一冊である。
シジュウカラの鳴き声を「意味ある言葉」として捉え、その構造を粘り強く解き明かしていく過程は、科学的でありながらどこか詩的ですらある。
観察と仮説、失敗と再挑戦を積み重ねる研究の道筋が、誠実な筆致で描かれることで、読者は知の最前線に立ち会う感覚を味わうことができる。
本書の魅力は、発見の凄さだけではない。
鳥と向き合う著者の姿勢そのものが、深い余韻を残す。
鳥の声に耳を澄まし、意味を尊重し、軽々しく擬人化することなく、それでも