鈴木俊貴のレビュー一覧
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シジュウカラの言語を研究し動物言語学を立ち上げた鈴木俊貴さんによるこれまでの研究成果と研究生活をわかりやすく楽しく紹介した一冊。話題になっているのは知っていましたが、確かに抜群に面白かった。シジュウカラや他の鳥類、そして他の動物のコミュニケーションにも興味が湧いてくる素晴らしい本なのですが、何より素晴らしいなと感じたのはシジュウカラの言語の意味を分類したり仮説を検証するための実験デザインの考え方をとてもわかりやすく面白く紹介しているところ。これを読むと鳥類や動物だけでなく、実験によってまだ知られていない事実を発見していく科学者という仕事の魅力に興味を持つ若い読者も多いのではないかと思う。個人的
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Posted by ブクログ
この本にもある通り、著者は中学1年の国語の教科書(光村図書)にも、シジュウカラついての書き下ろしを寄稿している。
私がこの本を読んだのは、奇遇にも子供の教科書でその書き下ろしを読んだ直後だった。本著巻頭のシジュウカラの写真や、鳴き声の表現を見てすぐに「あれ?もしかして。」と気づいた。
ハッキリ言って、この本の方が教科書より数倍面白い。研究の苦労を乗り越える過程を知り、「鈴木先生ってこんな人だったんだ!」と親しみを感じることができたから。
また、語り口がほどよく砕けていて、アハハと笑えるのもポイント。
そして何より、教科書書き下ろしの実験が、いかに大切な実験だったのか、さらに理解を深める -
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鳥の研究者である鈴木さんと、ゴリラの研究者である山極さんの対談形式の本。
まず本書の主旨とは違うが、お二人の研究スタイルにびっくりした。
動物の研究って、人間↔︎動物の構造だと思ってた。主に人間が動物になにかアクションを起こし、その反応を観察するみたいな。
それもあるけど、お二人は対象動物のコミュニティの中に自ら入り込み、一緒に生活することで観察をしている。とても衝撃を受けた。文化人類学のフィールドワークだなと思った。
そしてこの姿勢こそが、大事なことなんだと思う。
近年まで人間は他の動物よりも優れている、言語を扱えるから賢い、みたいな(キリスト教的な)考え方が根底にあったせいで、動物の研究っ -
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鳥になった研究者とゴリラになった研究者が、
動物たちの言葉とコミュニケーション能力、
そしてヒトの言葉の進化と現状についてをも語り合う。
・まえがき
Part1 おしゃべりな動物たち Part2 動物たちの心
Part3 言葉から見える、ヒトという動物
Part4 暴走する言葉、置いてきぼりの身体
・あとがき
参考文献有り。
「言語」というキーワードで繋がる二人の研究者の対談集。
お互いの知識を相手が理解し易いように述べているから、
読む者にも分かり易い内容になっている。
それでいて、自分たちの研究と対象についての語りは、熱い。
それを受け入れて理解し合い、同調してゆくのも、微笑ましい。
鳥 -
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「鳥になりたかった男」と「ゴリラになりたかった男」の対談。
それぞれの分野の知見を話し合うところから、最後には人の言語についての啓蒙のような話に及ぶ、壮大で聞き応えのある対談だった。
環境に適応するために言語は進化した。
人間だけではなく、すべての生物が、それぞれの置かれた環境で生き延びるべく進化している。
しかし、人間は人間主体で世界を捉えている。
「人間にできることが動物にもできるかな?」という目線での研究や実験がたくさんある。
言葉を理解できるか?計算ができるか?と言うものが例えばそうだ。
しかし人間は一つの生き物に過ぎず、人間だけが優れているわけではなく、優劣はない。
私たちは犬が見て -
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ゴリラの生態を研究している山際氏とシジュウガラの言葉を研究している鈴木俊貴氏という若い学者の会話。哺乳類と鳥類と全く遠い分類に属するこれらの動物の共通点もあり、そこが面白いところ。喋っているだけではなく、彼らに意識があるのか、まで追究している研究は興味深い。ゴリラもシジュウガラも思ったより頭が良いようだ。歌うこと、踊ることは人間と彼らが共通している点で、言葉を抜きにしても共鳴・共感・協調のためのコミュニケーションをしているということは確かにそのとおりなのだと感じた。山際氏がルワンダのゴリラ・タイタスと26年ぶりに会った際に、「グッフーム」とゴリラの言葉で語りかけるとタイタスの顔が急に子供っぽく