五条紀夫のレビュー一覧
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トンデモ世界観のクローズドサークルミステリ
人喰いパンダによる人的被害が常態化した日本。警報級の人喰いパンダの大量出現によって主人公たちはレストランから出られなくなってしまい、そこで死体が発見される。
人喰いパンダってなんだよ、と思わざるを得ないが、幕間で人喰いパンダの物語が昔話のように語られるため、彼らの存在には奥行きが感じられて興味深い。
探偵役となる主人公はマイペースで理屈屋で空気が読めない。周囲を気にせずに自分の好きなことを語りだしたり、自分の意見に合わない相手を理詰めで論破したり。そんなんだから恋人に振られるんだ。
そうやって周囲を苛立たせる様子は読んでいて愉快だけど、自分も気をつけよう……と反面教師にも感じられた。
でも彼のおかげで、トンデモ世界観なのに推理のロジックはしっかりとしている。
そして、事件はとんでもない事態を迎える。次々と待ち受ける衝撃的な展開に夢中になる一作だった。 -
Posted by ブクログ
【あの名作たちの不穏で気になるその後】
豪華メンバーによるパロディのアンソロジー!
今回の一番のお目当てはあをにまるさん。
『今昔奈良物語集』が最高にファンキーで面白かったので、期待値爆上がりで読みました。
『髭』 あをにまる
芥川の『鼻』のコンプレックスを現代風にアレンジしたハートフルコメディ。
やっとの思いで髭のコンプレックスを克服したのに、周りの反応が意外にも……「おい、それかよ!」と唸らされた。
そこで気づかされる、自分にとって髭が何だったのか。「俺の髭は観葉植物じゃない」と叫びながらも、どこか吹っ切れた感じの主人公にクスッと笑えます。原典をしっかりと踏襲しつつもユーモア溢れる作品。しかし、舞台が奈良でないせいか「あをにまる節」のキレが今ひとつで、ファンとしては少し物足りなさも。
『偽史・山月記殺人事件』 斜線堂有紀
『山月記』のifの世界を描いた続編。
柳広司さんの『虎と月』とは正反対のアプローチ。今作は「おい、いい加減に夢から覚めて現実を見ろ」と、夢追い人のお尻を強めにはたくような冷徹でブラックなミステリ。
自分の器(才能)を知るというるというのは、人間にとって一番苦しいこと……。
袁傪も李徴も、なんだかもう、うかばれなくて切ない。
ほかの3作品も、原典の出汁と著者の特徴をしっかりと活かした味付けになっていて楽しめました! -
Posted by ブクログ
カロリーの高い大長編を読んだ後なので短めの本を読もうと思い、タイトル買いして積んでいた本書を読破。
同作家さんのメロスの本を先に読んでいたのもあり、タイトルからギャグ系かと思っていたら最初から最後まで重苦しくてびっくり。
主人公(?)が煽り体質なのかセリフがいちいち人の神経を逆撫でしてくるので因果応報かも…となるけど黒幕のやってることがかなり悪質でゾッとした。自供を聞いても(読んでも)そこまで歪むの?という疑問はありつつデスノートならぬデスチクワという発想が面白かった。
いやしかし、何故ちくわなのかは理由付けされているけども、作家さんはちくわに対して何か恨みがあるのだろうか?
ところで、今日のお酒のアテにしようと思って買ってきたちくわが手元にあるのだけれども……どれどれ、ちょっと覗いてみようかな……。