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Posted by ブクログ
タイトルの時点でかなり変わった話だとは思っていましたが、実際に読んでみると、想像していたよりずっと不気味で、妙に後を引く物語でした。
「チクワに殺される」という一見ふざけた設定なのに、読み進めるほど笑えなくなっていく感覚が面白く、気付けばその世界観にすっかり引き込まれていました。
視点や語り方が変わるたびに、それまで信じていたことまで怪しく見えてきて、「結局どこまで本当なんだろう」と何度も考えさせられます。
こんな身近な食べ物をここまで不気味な存在に変えてしまう発想には驚かされました。
読み終えた後、チクワを見るたびに少しだけ思い出してしまいそうな、妙な余韻が残る一冊でした。
Posted by ブクログ
なんだろう。この本の不思議さは。チクワで、サスペンスを作り上げるとは。チクワから立ち昇る妄想と狂気が、実に心地よい。とりわけ、ちくわ愛好者にとって、頼もしい物語だ。チクワで人を殺すことができるなら、ミサイルも原子爆弾もいらないのだ。トランプにチクワを贈りたい。
東京都練馬区郊外の借家で、50代の貧しい男の首吊り死体と滅多刺しされたその男の妻の死体があり、その男の娘が発見して、通報された。そこには、おびたたしいチクワがあり、男の手記があった。
その手記は、「私はチクワに殺されます」という書き出しだった。その手記が、実に巧妙だ。奇妙だ。とにかく、トラック運転手だった男が、チクワによって狂わされて、妻を殺し、自分が首を吊って自死していく手記なのだ。これだけ客観的に、チクワによって精神を殺されていく様はなんとも言えない。そして、手記ではチクワで7人の人を殺してしまうのだ。
そのために、まずはチクワを買い占める。そして、家にあるお金がなくなって、チクワを窃盗する。そのことで、スーパーが立ち入り禁止になる。盗むことは良くないと考えて、穴を塞ぐためにティッシュをちくわの穴に詰める。店長から迷惑だと言われ、次には、キューリを詰め、チーズを詰めたりするのだ。それで喜んでもらえると思うのがいじらしい。ついには、妻のパート先のスーパーで、ちくわ購入の妨害をすることになり、妻も長年勤めてきたスーパーを辞めることになる。妻は男に「私の心に穴が空いたようだ」と訴える。
そう言えば、恥ずかしいことにチクワとチクワブの違いを知らなかった。チクワはスケソウダラを原料とし、チクワブは、小麦粉を原料としたものだった。
チクワの穴を覗いて、人を見るとその人の未来が出て死ぬのだ。それが、秘拷穴というものだった。
「秘拷穴」は古代呪術をルーツとした民間伝承だ。生き物の死体に開けた穴から人の未来を予測する。そして、それが、人を殺す力にもなるのだ。秘拷穴というネーミングも素晴らしい。作者の創作する都市伝説なのだ。チクワで秘密に、拷問して、穴から実行する。実際、鏡でチクワの穴から自分を覗いてみたが、なかなか不思議な風景が見える。なんとなく、間抜けな雰囲気が漂う。
その手記が、終わり、娘のインタビューがあり、取材者の独白で物語は終わる。ふーむ。物語を回収する作業が大変だ。別に、手記だけでいいと思える作品でもある。結局、ちくわの穴からは希望は見えないし、何も存在しないのだ。しかし、チクワは美味しい。病院にいたときに、差し入れに何がいいと聞かれて、チクワと言って、夜中に看護士に隠れてこっそりとチクワを齧るとなんとも言えないおいしい背徳感があった。
Posted by ブクログ
カロリーの高い大長編を読んだ後なので短めの本を読もうと思い、タイトル買いして積んでいた本書を読破。
同作家さんのメロスの本を先に読んでいたのもあり、タイトルからギャグ系かと思っていたら最初から最後まで重苦しくてびっくり。
主人公(?)が煽り体質なのかセリフがいちいち人の神経を逆撫でしてくるので因果応報かも…となるけど黒幕のやってることがかなり悪質でゾッとした。自供を聞いても(読んでも)そこまで歪むの?という疑問はありつつデスノートならぬデスチクワという発想が面白かった。
いやしかし、何故ちくわなのかは理由付けされているけども、作家さんはちくわに対して何か恨みがあるのだろうか?
ところで、今日のお酒のアテにしようと思って買ってきたちくわが手元にあるのだけれども……どれどれ、ちょっと覗いてみようかな……。
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