五条紀夫のレビュー一覧
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なんだろう。この本の不思議さは。チクワで、サスペンスを作り上げるとは。チクワから立ち昇る妄想と狂気が、実に心地よい。とりわけ、ちくわ愛好者にとって、頼もしい物語だ。チクワで人を殺すことができるなら、ミサイルも原子爆弾もいらないのだ。トランプにチクワを贈りたい。
東京都練馬区郊外の借家で、50代の貧しい男の首吊り死体と滅多刺しされたその男の妻の死体があり、その男の娘が発見して、通報された。そこには、おびたたしいチクワがあり、男の手記があった。
その手記は、「私はチクワに殺されます」という書き出しだった。その手記が、実に巧妙だ。奇妙だ。とにかく、トラック運転手だった男が、チクワによって狂 -
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ネタバレ物語のきっかけとなった過去の「町内会死者蘇生事件」。その真相を知った時は主人公の母親の異常な執着心に気持ちが悪くなった。個体は同じでも、歩んできた人生は違う。それを無視した母親の行動はどれだけ主人公の心を傷つけたのだろう。
主人公のラストに下した決断がすごく切ない。
五条さんらしいふざけたネーミングセンスも健在で、随所でふふっと笑ってしまった。一方で、物語は殺人と蘇生を繰り返しながら劇的な展開が次々と起こり、最後まで飽きることなく一気に読み進められた。軽妙な雰囲気で進んでいく物語だからこそ、最後に主人公が下した決断の切なさがより強く残った。 -
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トンデモ世界観のクローズドサークルミステリ
人喰いパンダによる人的被害が常態化した日本。警報級の人喰いパンダの大量出現によって主人公たちはレストランから出られなくなってしまい、そこで死体が発見される。
人喰いパンダってなんだよ、と思わざるを得ないが、幕間で人喰いパンダの物語が昔話のように語られるため、彼らの存在には奥行きが感じられて興味深い。
探偵役となる主人公はマイペースで理屈屋で空気が読めない。周囲を気にせずに自分の好きなことを語りだしたり、自分の意見に合わない相手を理詰めで論破したり。そんなんだから恋人に振られるんだ。
そうやって周囲を苛立たせる様子は読んでいて愉快だけど、自分も気 -
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【あの名作たちの不穏で気になるその後】
豪華メンバーによるパロディのアンソロジー!
今回の一番のお目当てはあをにまるさん。
『今昔奈良物語集』が最高にファンキーで面白かったので、期待値爆上がりで読みました。
『髭』 あをにまる
芥川の『鼻』のコンプレックスを現代風にアレンジしたハートフルコメディ。
やっとの思いで髭のコンプレックスを克服したのに、周りの反応が意外にも……「おい、それかよ!」と唸らされた。
そこで気づかされる、自分にとって髭が何だったのか。「俺の髭は観葉植物じゃない」と叫びながらも、どこか吹っ切れた感じの主人公にクスッと笑えます。原典をしっかりと踏襲しつつもユーモア溢れる作品