五条紀夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公は幼なじみ達と協力して、地元の町を支配する、寺の住職兼悪辣非道な町内会長を殺害する。
だがしかし、翌日になると確かに殺したはずの町内会長が生きていた。いったいなぜ、誰が、どうやって蘇生させたのかを探りながら、どうにかして町内会長を殺せないかと画策していくという内容の特殊なミステリー。
『殺人事件に巻き込まれて走ってる場合ではないメロス』『イデアの再臨』のような笑える場面はなく、全編大真面目である。
蘇生犯の正体はなんとなく想像がついたが、それでもなぜ町内会長を生き返らせたのか、とか、そもそもの蘇生犯の目的、というのが中々に狂っていて良かった。
中盤以降の、蘇生の仕組みを利用した蘇生の応酬は読んでいて楽しかった。
ラストも、キレイに畳まれて終わっており、ハッピーエンドというより、あるべきものがあるべきものに戻ったというような、トゥルーエンドのような終わり方で良し。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ独特の世界観を持つ五条先生の新刊!
空気の読めない主人公ヒロくんと別れ話がしたいミイちゃん。
料理の表現が美味しそう。ソーセージもレモンババロアも私も食べたい。ヒロくんは少しうるさい。
殺され方は残酷なんだけれど、文章で読む分には読めてしまう死体の描写。誰が犯人だ?
人喰いパンダが街中に出ても誰も驚かないむしろ慣れているところから始まり、少しセオリーから外れるところも大好き。
224ページからの真相破裂のヒロくんのターンのセリフにそういうことか…と、どんでん返しが気持ちいい。
「僕が自衛隊に銃で狙われることなんてあり得ません」
でようやく理解。
確かにビニール手袋を破ったり、店内いるのに狙撃されてたり、パンダの写真を飾ってたり、ヒントは結構あった。終わり方が少し切ないけど、全体的にさくさく読みやすい文章で読書が楽しくなる1冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ有名な作品のパロディ5編。五条紀夫さんのが気になって買ってみたけど他の作品も想像以上に面白かった。
まず五条さんのごんぎつねのパロディ。ごんか人間に化けて兵十とともに謎を解いていくミステリーになっている。展開としてはまあまあな感じだったけどこれをごんぎつねに落とし込んでいるのがすごいと思った。有名なあのセリフもしっかり回収されていて気持ちいい。
他の作品で好きだったのは、あをにまるさんの「髭」と斜線堂有紀さんの「偽史・山月記殺人事件」の二編。
「髭」は、どんどん髭が伸びてしまうコンプレックスを抱える教師が、祈りを捧げることで翌日から髭が生えなくなる。それに喜ぶ主人公だが、インパクトのあるツッコミどころがなくなったことで、今まで隠れていた自分の欠点があらわになってしまう。コンプレックスとアイデンティティは裏表のような存在なのかもしれない。
「偽史・山月記殺人事件」では、虎となった李徴が有名な詩人を殺して詩を奪うことで、詩人としての名を馳せていく。その裏では李徴に助言をしていた袁傪は自身の出世のために都合の悪い人間を消す計画を進めていた。ところどころで袁傪の裏切りを匂わすようなヒントが散りばめられていて、不穏な空気を感じながら読み進めていくことになる。その空気感とストーリーが面白かった。