小西マサテルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『名探偵にさよならを』は、シリーズ完結編にふさわしい一冊だった。
楓と、レビー小体型認知症を患う祖父が織りなす物語は、本作でも変わらず温かく、切ない。三作目ともなると、このシリーズならではの設定もすっかり自然に受け入れられ、物語の世界へすぐに入り込むことができた。
もちろん、ミステリーとしても非常に読み応えがある。これまでの二作とは少し構成を変え、倒叙ミステリを思わせる語り口が差し込まれることで、「この先どうなるのだろう」という期待感が最後まで途切れない。さらに、一見独立しているように見えた各章が終盤で鮮やかに結びつき、一つの物語として完成していく展開は見事!
シリーズを通して積み重ねてきた登場人物たちとの時間があるからこそ、読み終えたあとには大きな満足感と、それ以上の寂しさが残る。「まだ終わらないでほしい」と思わず願ってしまうほど、この世界や登場人物たちに愛着を抱いていたことに気づかされた。シリーズの締めくくりとして大満足!映像化もはやくみたい! -
Posted by ブクログ
ネタバレ名探偵シリーズ完結巻!
名探偵シリーズは日常の謎を追うことが今までのケースでしたが、今回は殺人が何件も!?そして、冒頭から登場する怪しげな医者。まさかまさかの彼だったとは。
スマホ型のスタンガンなんてあるんですね。現実でもあるのなら本当に危険すぎるのでなくなってほしいです。というか、おじいちゃんにスタンガンなんてダメ、ゼッタイ!!!お家での格闘シーンは、ちょっとおじいちゃん強すぎてびっくりしましたが(笑)
「名探偵」という名前から、どうしてもそちらに意識が行きがちですが、このシリーズは、「レビー小体型認知症」という医療の側面も大いに関係があります。途中でおじいちゃんが犯人にやられてしまって病状がひどくなってしまうところは思わず涙が出てきました。少し環境が変わってしまうだけでも、状態が悪化してしまうので、本当にさよならしてしまったらどうしようかと思っていましたが、楓の想いも通じてなんとか頑張ってくれました。
最後の最後で、ゴロワーズも幻視の一部だったというのは全然予想できていませんでした。この描写はドラマ化ではどう表現するんだろうと、今から楽しみです! -
Posted by ブクログ
名探偵のままでいてのインパクトが強く、ずっと文庫化を楽しみにしてやっと手に取れた一冊。相変わらずの小西マサテル節が効いていて、安心感と読みごたえがありました。ただ、一作目ほどの意外性はなく、上手くまとめられすぎていると感じました。
ストーリーを家族と親密な友人という2面に分けて展開していく本作は、それぞれのキーポイントを各軸に沿って拾うテクニックが要る。前作は最後にこの2軸を鮮やかに合流させ、まさにパズルピースのように綺麗に嵌め込んだ。ただ本作では綺麗さを重視してか、本筋を良い塩梅で切り上げ、続編への橋渡しに徹している。そしてアフターストーリー付きの親切さ。
自分、個人的には心踊らせる余韻に浸らせる結末か、ドロドロと沼に引きずる苦い結末が続編へと足を運ばせる。本作で言うとどちらにも当てはまらない。続編も前作を超えない程度に収まると身体が予想している。世評を待ってから手に取るかもしれない。 -
Posted by ブクログ
「認知症」の1つであるレビー小体型認知症を患い要介護となった老人が、ベッドの上で数々の事件の謎を解き明かす、「安楽椅子探偵」ミステリー。シリーズ3作目。
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家は住む人に似てくるのかもしれない。
古い家屋の中にときおり吹き込んでくる風の、盛夏とは思えないほどの爽やかさに祖父を感じて、楓はふとそう思った。
ここは目黒区の碑文谷にある祖父宅。今日は祖父の断捨離を手伝うため、楓は朝から来ていた。
ダンディで博識を誇った祖父もレビー小体型認知症が進行しつつあり、正気に戻る時間が次第に短くなっている。別れの時がそう遠くないことは明らかだが、ここのところは比較的調子がよいため、家の片付けをすることにしたのだった。
楓が雑巾を絞っていると、「いらっしゃいますかぁ、楓先生」と、玄関先から大きな声がする。
「ご遠慮なくどうぞ、お世話様でぇす」
楓も大声で返事すると、すぐダンダンという廊下を歩く足音が聞こえ、楓の同僚の岩田が顔を見せた。タンクトップ姿で、頭には鉢巻き、手には軍手をしている。すでに臨戦態勢だ。
読書家で趣味人の祖父が所有する蔵書は数多く、片付けは楓1人の手に余るため、今日は助っ人を呼んである。その先陣を切って姿を見せたのが岩田だった。 ( 第1章「捨てられない物と捨てられた者」) ※全5章と、プロローグ及びインタールードとしての「診療記録」2編からなる。
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タイトルからして最終巻を予感させる。一抹の寂しさを感じるものの、そろそろ完結して欲しくはあったので、心の平安を求めて読み始めました。
いちばん気がかりなのは碑文谷先生の病状です。
先生はもともと理性の強い人なので、幻視に見舞われる時間が1日の多くを占めるようになっても、覚めれば知的でユーモアやウィットに富んだステキな姿を見せてくれます。
それでも病状は確実に進行し、先生の心身はもはや衰えを隠せない。別れの時はすぐそこまで来ているのです。
次に気になるのが、楓を巡って四季と岩田で形成される「恋のトライアングル」の行方です。 ( これについては、個人的には引っ張りすぎのように思えていささかげんなりしていたので、さっさとカタをつけて欲しいというのが本音です )
さて本作ですが、碑文谷先生が安らかに退場するための舞台設定になるのかなという私の予想は見事に外れました。
2作目で九鬼という最大の敵との因縁に終止符を打てたので、あとは楓の持ち込む事件の謎を碑文谷先生が解きながら、ゆっくりラストを迎えるものと思っていたのです。
けれど小西さんは、碑文谷先生の最後を飾る相手として、九鬼に代わる強敵を登場させてきました。うーん、なかなかすんなり終わらない。
どんな敵なのかは、プロローグ及びインタールードとしての「診療記録」2編で精神科医であることが提示されているので、かなり厄介な相手らしいとわかります。
患者を操り碑文谷先生を亡き者にしようと謀略をめぐらすという、九鬼以上のサイコパス。
サイコパスドクターは、いつ、どのような手段で碑文谷先生に接触してくるのか。プロローグから漂う不穏な空気。
覚醒する時間が短くなるなか、それでも状況を正確に把握し、できる手を打とうとする碑文谷先生。
物語の進行とともに高まる緊張感。シリーズ最大の危機が迫る!
ということで、シリーズのラストを飾るにふさわしい演出でした。小西さんの次回作にも期待しています。