小西マサテルのレビュー一覧
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優しい空気感を持つミステリシリーズ第3巻。これはシリーズ順に読んで欲しい本です。ついに楓がパートナーを選ぶシーンもあります。
冒頭はカンウセリングを行っている医師。なぜかバーのような診療所、そして患者をおかあさんと呼び、殺意を煽るような治療をしている。しかし、この医師は各章でチラチラと気配はするものの、それらしき登場人物はいなくて…。最後に全部が繋がってなるほどな、そういうことだったのかと思わされます。そして楓とおじいちゃんの大団円…が来るかどうかはお楽しみに。
第一章 捨てられない物と捨てられた者
目黒区碑文谷の祖父の家は断捨離をしている。
高校2年生のやたら童顔な小林君は岩田の知り合い。彼 -
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シリーズ完結。徐々に病状が悪化してくる「碑文谷さん」と孫の楓に訪れる別れの予兆。そして楓を巡る居心地のいい三角関係にも終止符が打たれる日が来るのか。切なさと、しかしそれ以上にミステリの楽しさが感じられる作品です。たぶんミステリ好きの人って、こういう謎に惹かれると元気になる気は分かる気がするのよね……!
今回謎の幕間部分もあって、事件の影に不穏さがひしひしと漂います。そしてシリーズ最大の危機までが……「瀕死の名探偵」にはもうハラハラしっぱなしでした。これ、残りページがまだあるし最終章じゃないのが分かってたから良かったけど。そうじゃなかったら読みたくない気分になりそうでした。ここで終わるなんてあり -
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おいおい、タイトル「さよなら」って。そういうこと?やめて…!と思いながら読み始めた。
最初から不穏なカウンセリングのシーンがあり、今回はヤバそうなラスボス(?)がいそうな雰囲気。
このラスボスの正体を知ったときは驚いたのだけれど。人は見かけによらない…というか、見かけなんていくらでも変えられるんだなと妙に納得してしまった。
さて、今回も楓の祖父の名探偵っぷりは健在で、豪華客船や岩田の住むアパート等で起きた殺人事件をスラスラと解明していく。楓も事件の矛盾点の良いところに目をつけていて、一作目より進化している気がした。
豪華客船の凶器は、とても思いつかなかった。なるほど、検索すると確かに出てく -
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レビー小体型認知症を患う祖父に幻視の兆候もあり、年齢とともにふらつきも多くなってきたのを境に少しずつ断捨離を…と岩田や四季と共に片づける楓のところに加わったのが、小林という少年で、彼が小学生の頃に体験したことを解明してほしいと言う。
そのあと、岩田が住む古いアパートで起こった二重密室での殺人や楓が祖父と一緒に参加した豪華客船での密室殺人の謎を祖父が解き明かしていく。
最後、祖父の命が…となってからの展開に凄味が増す。
すべての始まりが、そこからだったのか…となる。
違和感の正体も明らかになり、やはりこの祖父只者では無いなと感じた。
楓の矛盾点を追求するのに対して祖父が重要なキーワードを示し -
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認知症の祖父が事件を解決する安楽椅子探偵ミステリー
探偵役の設定が斬新だが、舞台装置感は否めない作品かなと思った。とはいえ、物語の描き方が非常に良くて読みやすく、大賞を取るのも分かる作品でした。
ミステリーの連作短編集、最後は伏線が回収されるという形式はオーソドックスながら、読み応えがあって素晴らしい。
ただ、散りばめられた謎を解決するのに必要な前提知識のレベルが高過ぎて、雑学ものを読んでいるような気分でもあった(そこが醍醐味でもあるんだけど)。読者への挑戦状のような要素もあったので、短編ごとに趣向は変えていたとはいえ、そこは惜しいかなと感じました。
しかし題材とキャラクターの魅力は素晴ら -
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ネタバレミステリーが読みたいという人には物足りないかもしれないが、ミステリーと心温まる家族愛を掛け合わせたものとしてはすごく成功しているように思う。基本的には登場人物がみんな心優しく、人と人との繋がりを描いている作品であるため、読後感はミステリーではない。推理も少々強引さを感じられないでもないが、おじいちゃん可愛いから許そうみたいな気持ちになる。また、孫を気遣う推理とその斬新な手法のどちらともが、見捨て感を薄めているのだが、薄まりすぎないのがいい。
最後の謎解きの部分は相棒で見ていた知識があったので、だいぶ気になってはいたのだが、やはりそうだったかという感じ。知らなかったらもっと感動しただろうが、有