あらすじ
シリーズ累計20万部突破
第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
「密室殺人」「人間消失」「幽霊騒動」…
孫娘の持ち込むさまざまな謎を「認知症の祖父」が鮮やかに解き明かす!
ミステリーの扉の先には、わくわくする謎と、
個性的な登場人物たちの愛が詰まっていました。
主人公の楓は私と同じ27歳。
物知りで優しくて大好きだったおじいちゃんに
会いたくなって胸がいっぱいになりました。
――井桁弘恵さん(モデル・女優)
(あらすじ)
かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は現在、幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻す。そんな祖父のもとへ相談を持ち込む楓だったが、やがて自らの人生に関わる重大な事件が……。古典作品が彩る安楽椅子探偵ミステリー!
【著者について】
小西マサテル
1965年生まれ。香川県高松市出身、東京都在住。明治大学在学中より放送作家として活躍。現在、『ナインティナインのオールナイトニッポン』『徳光和夫 とくモリ!歌謡サタデー』『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン.TV@J:COM』『明石家さんま オールニッポン お願い!リクエスト』や単独ライブ『南原清隆のつれづれ発表会』などのメイン構成を担当。
本作で第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。他の著書に『名探偵じゃなくても』(宝島社)など。
感情タグBEST3
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認知症の祖父、しかもリアルな幻視が見えるとされるレビー小体型認知症を患っている。
しかし、その祖父は元小学校の校長でありミステリー好きであるという事。
そんな祖父の影響を受けて、幼少期より見たものから物語を作る遊びからミステリー作品にのめり込んでいく主人公楓。
何気ない日常のちょっとしたミステリーを深掘りして、解決に導いていく祖父。
途中はドキドキする展開が待っていたが、祖父の柔らかな口調と、幻視による認知症への現実を行き来しながら話は進んでいく。
各章ごとに完結しているが、実につながっており、文の表現が柔らかくて「優しい物語」
「おじいちゃんのゴロワーズ」どんな香りか分からないが、甘く懐かしい香りのような気がしながら想像するのも楽しかった
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推定初めて読んだ安楽椅子探偵
解説にもあるように様々なミステリー作品について言及があるので、この作品をブックリストに未読作品を読みたいと思う
第5章での「女」がアルコール依存患者であることや被害者が大麻の売人であることなど、強引では…?と思ってしまう点もあったが、これが安楽椅子探偵ものの醍醐味…なんですか?見識が浅いため判断がつかないが、「おじいちゃん」の魅力の前には霞むので、ご愛用の煙草を献上したい
読者への問いかけ「四季か岩田か」、四季を推したいところだが、続編で是非確かめたい
なぜ四季を推すか、理由はいくつかあるが、まず真っ直ぐに楓に好意があると伝えているところ好ましい、加点。楓も初対面から四季の造形描写に暇がない、一目惚れじゃん、加点。語りが上手い祖父をもつ孫、べらべら一人で語れる男のこと気にならないわけがない、加点。四季、応援しているぞ
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アレとコレがそうつながって、こう展開して。
登場人物が少ないけど、良い意味で複雑化してて、でも読みやすくて、知的好奇心をくすぐらせて、心もあったまる。言うことないっす。
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理論立てて謎解きをする王道だろうか。タバコを愛飲するところとか、安楽椅子同じく現場にいないまま喝破するところなど、探偵像も王道。
ただ、四季くんのいうミステリーの胡散臭さをおじいちゃんがそのまま体現しちゃってる件は大丈夫なんだろうかね(笑)
内容的には、主人公の母親を伏線としてはったのは王道ではあるけど上手だったのだろう。一度も顔合わせしないのだから普通の読者なら十分に気づけたのだろうけども、まぁ負け犬の遠吠えですねぇ。相変わらず気付けないものですなぁ。
Posted by ブクログ
おじいちゃんの推理が凄すぎ。
海外ミステリ詳しくないからあまりピンとこないけど
詳しい人にはわかるかな。
面白かったです。文章もとても綺麗で読みやすい。
私は岩田君が良いと思う。
Posted by ブクログ
読み始めた途端、グイグイ引き込まれて、やめられなくなってしまった。日々の生活とのバランスをうまくとりながら、読書を楽しみたいと思いながらも、なかなかうまくいかない
楓の祖父(71才)の口癖「世の中で起こるすべての出来事は物語なんだ」
強靭な意志の力で「恨みには流されないという物語」を選択した祖父。すごい人だと思う。香苗を殺し、楓をもストカーしていた犯人に対しては、いくら恨んでも飽き足らないであろうに。
とりあえず、犯人が逮捕されて一安心だ。
Posted by ブクログ
認知症の祖父が事件を解決する安楽椅子探偵ミステリー
探偵役の設定が斬新だが、舞台装置感は否めない作品かなと思った。とはいえ、物語の描き方が非常に良くて読みやすく、大賞を取るのも分かる作品でした。
ミステリーの連作短編集、最後は伏線が回収されるという形式はオーソドックスながら、読み応えがあって素晴らしい。
ただ、散りばめられた謎を解決するのに必要な前提知識のレベルが高過ぎて、雑学ものを読んでいるような気分でもあった(そこが醍醐味でもあるんだけど)。読者への挑戦状のような要素もあったので、短編ごとに趣向は変えていたとはいえ、そこは惜しいかなと感じました。
しかし題材とキャラクターの魅力は素晴らしい。
わりと今の時代皆が直面する認知症を1つのテーマとしていながら、探偵役としての能力が衰えないレビー小体型認知症を選んでいるところも秀逸だと思った。
賞レースの大賞作、ということで評価を下すような感想になったけど、良い作品だと思う。続きがあるのが惜しいような嬉しいような…笑
読後感を大事にして、ちょっと時間をおいて読みたいなと思う。
Posted by ブクログ
ミステリーが読みたいという人には物足りないかもしれないが、ミステリーと心温まる家族愛を掛け合わせたものとしてはすごく成功しているように思う。基本的には登場人物がみんな心優しく、人と人との繋がりを描いている作品であるため、読後感はミステリーではない。推理も少々強引さを感じられないでもないが、おじいちゃん可愛いから許そうみたいな気持ちになる。また、孫を気遣う推理とその斬新な手法のどちらともが、見捨て感を薄めているのだが、薄まりすぎないのがいい。
最後の謎解きの部分は相棒で見ていた知識があったので、だいぶ気になってはいたのだが、やはりそうだったかという感じ。知らなかったらもっと感動しただろうが、有名な話なんだろうか。
Posted by ブクログ
居酒屋での密室殺人、プールからの人間消失、誰からも認識されていない幻の女。彼女の周りで起こるさまざまな謎を“名探偵”の祖父が解き明かす。エンターテイメント性に富んだ明朗快活なミステリーに、素直に身を委ねて楽しませてもらった。
紫煙の向こうに祖父が見た光景が人間味あふれる優しく美しいものばかりで、心が温かくなると同時に悲しくなる。「名探偵のままでいて」というタイトルが楓の切実な想いを物語っていて、胸が締め付けられるようだった。それでも読後が心穏やかなのは、きっと作者が最後に託した謎のせいだろう。続編もぜひ読みたい。
Posted by ブクログ
これ感想書いた気がするんだけど…消えちゃった。
忘れちゃったけど、推理面白かった!!
おじいちゃんのお膳立てしてる感じだけちょっと気になった。と思う。
Posted by ブクログ
おじいちゃん素敵すぎ…っ✨️✨️
最後の1文読んで、思わず満面の笑みを浮かべてしまった
人は死ぬものの、とても優しいお話
岩田も四季も好青年なので、女か虎か?の結論が気になりますね
Posted by ブクログ
いわゆる安楽椅子探偵のミステリーでしょうか。
かつては切れ物とうたわれた祖父は、今は、特殊な認知症を患い、介護生活を受けていた。
しかし、孫の楓が持ち込む不思議な謎に、たちまちかつての切れ物の変貌を表す。
そして、楓の人生を大きく変える重大な事件の影が,,,
続編も読みたいですね。
Posted by ブクログ
作品の空気感がとても優しく穏やかで浸っていたくなる。
登場人物たちが嬉しそうに語るミステリー古典作品が謎解きのヒントになるが、作品を知らなくとも楽しめて、成る程ねと思わせる面白いミステリー。
匿名
作者の知識と経験の物語
作者の父の病やミステリー好きが物語で使われることでリアリティがあったと思う。
ただ、名作ミステリーのオマージュを取り込むために、違和感を感じるシーンがいくつかあったように感じた。
でも、そのオマージュのお陰で、ミステリファンにはたまらない作品なんだと思う。
Posted by ブクログ
なんとなく相性が悪く途中で断念…
なんと形容すればいいかわからないけれど、文章が、台詞が歯の浮くような?感じで読んでて好きになれなかった…
あと推理小説にリアリティを求めるキャラを出すなら、「〜だわ」とか語尾につけるキャラを出さないでほしい…マダムとかならまだしも若い人でそんなやつおらんやろ…となってしまう
Posted by ブクログ
今まで読んできた小説とは少し違う読み応えの本でした。
文章の書き方や構成や独特な作家さんで不思議な感覚になります。
あまり良い評価を目にしなかったので読み始めるときは不安でしたが、頭の悪いわたしには展開に無理があるなどそこまでは気にならず…
単純に心優しい物語だなあ、という感覚だけで読み切りました。
名作と言われるような緻密なミステリー小説が好きな方にはおすすめできませんが、大衆文学、エンタメとして読む分には普通に楽しめると思います。
Posted by ブクログ
読みやすい連作短編だった。途中パターンが同じでうーん、、って思っていたのに、読むと止まらなくなって不思議な感じがした。
「煙草を一本くれないか。」「絵が見えたよ。」決め台詞が王道ミステリー小説っぽくて私は好き。
四季との行く末気になる!!
Posted by ブクログ
小学校教師の楓は定期的に、元校長の祖父の元へ通う。話術巧みで頭の切れる祖父だったが、レビー小体型認知症を患い、幻視があらわれるように。
そんな祖父に身の回りで起きた「謎」を話すと、祖父は生き生きと語りだす。
購入した古本に挟まれた訃報記事の謎、緋色の脳細胞
行きつけの居酒屋のトイレに現れた刺殺死体、居酒屋の密室
学校のプールから消えたマドンナ先生、プールの人間消失
楓のクラスで起きた不思議な出来事、33人いる!
同僚の岩田が巻き込まれた殺人事件、まぼろしの女
彼女の周りに現れる不審な影の正体は?ストーカーの謎
話題の本だったけど、どうも表紙を見て手に取るのを躊躇っていた。いえやって感じて読んだら、するすると読めた。
穏やかな安楽椅子探偵ものと思っていたら、読み進めるうちにだんだんと不穏な空気になっていく。
各章のタイトルも、楓たちが語るミステリ談義もなるほどと思いニヤニヤしつつ。
チリチリと感じる違和感がやがて楓の事件につながって、なるほどなあ。
だんだんと、どこまでが彼の幻視なのか、という不安もあって。
最後はほっと息をついた。
Posted by ブクログ
最初は謎解きばかりで単調だったけれど、主人公の生い立ちや祖父に対する想いがわかってから、引き込まれた。それは、自分の大切な人や空間に対して共感ができるようになったからだと思う。小説内で出てくるミステリー小説のように、決まりきった台詞や行動で、謎解きが始まる。最後は読者に委ねるというのも、主人公がどちらの男性に惹かれているのか委ねられている気もする。ただ、文章を読むにあたって四季だなあと思っている。
Posted by ブクログ
本作の安楽椅子探偵であるレビー小体型認知症の祖父のキャラクターが素晴らしく、探偵としてキャラが抜群に立っている。知的でお洒落でありながら「煙草を一本くれないか?」という推理をやるスイッチとなる名台詞がありながら、一連の推理はあくまで筋道の通った解釈であり「物語」として扱うのも面白い。探偵というキャラクターにありがちな独善性や奇抜な振る舞いがなく全体的にスマートなのがとてもよかった。推理を絵として浮かび上がらせるのが認知症の幻覚という設定も、本作を映像化したときに映える設定だなと思いつつ、その幻覚自体が万能に見える祖父の弱点かつ不安要素になっている点も上手い。利点と欠点を表裏一体にして設定として落とし込んでいるあたり作者の手腕が光っている。それ以外にも要介護である行動制限がかかった探偵というのも映画の『ボーン・コレクター』のようでとても良かった。
肝心の謎は最初の謎は非常にシンプルなものでやや肩透かしであったものの、取り扱う謎が日常の範囲でありながらも多岐に渡っており、単純な日常の謎ではなく殺人事件やストーカー事件などの闇が深く非日常的なものも含まれていたのが読み飽きない意味でもとても良かった。認知症の介護、という不可逆な設定がそれに上手く噛み合っており、この謎解きで行う祖父とのコミュニケーションは楽しくも時間としては有限であり、いつかくる終わりが見えているからこそ、そのやりとりには優しさだけでなく切なさも孕んでいる。本作で何度も繰り返し語られている通り、本作は単なる推理モノというだけではなく、一個の物語、ヒューマンドラマとしても読み応えのある作品だった。
余談だが、ミステリとプロレスは似ているというエピソードがあったわけだが、その中で往年の名レスラーに混じってカール・アンダーソンが唐突に出てきたのは笑ってしまった(笑)
Posted by ブクログ
物語の主人公は、27歳の小学校教師・楓(かえで)。
彼女は、かつて小学校の校長として尊敬を集めた聡明な祖父と深い絆で結ばれています。
しかし、祖父は現在71歳で、幻視や記憶障害、パーキンソン症状などを伴うレビー小体型認知症(DLB)を患い、介護を受けながら東京・碑文谷の自宅で暮らしています。
この病気により、祖父は日常的に幻覚を見たり、記憶が途切れたりする一方で、時折驚くほど鋭い知性を発揮します。
楓は、ミステリー小説を愛好する祖父の影響を受けて育ち、自身もミステリー好き。
そんな彼女が、仕事や日常生活の中で遭遇する「日常の謎」(密室殺人や人間消失、幽霊騒動など)を祖父に持ち込むと、祖父の知性はまるで昔の名探偵のようによみがえり、鮮やかに謎を解き明かしていきます。
祖父は、動くことのできない「安楽椅子探偵」として、書斎でゴロワーズの紫煙をくゆらせながら、楓や周囲の人物から提供される情報をもとに、論理的思考と豊富なミステリー知識を駆使して事件を解決していくのです。
物語は連作短編形式で進みます。
楓が職場で遭遇した不可解な出来事を祖父に相談。
祖父は、認知症の症状を抱えながらも、鋭い観察力で謎の核心をつきます。
このエピソードでは、祖父の推理力と楓の信頼関係が描かれ、レビー小体型認知症の特徴も丁寧に描写されます。
学校や楓の周囲で起こる一見不可能な犯罪や奇妙な出来事が登場。
祖父は、古典ミステリーのオマージュを交えながら、論理的に真相を解き明かします。たとえば、ハリイ・ケメルマンの『九マイルは遠すぎる』やジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズを思わせる趣向が盛り込まれ、ミステリーファンを楽しませます。
物語が進むにつれ、楓自身や彼女の周囲の人物(同僚教師の岩田や、劇団員の四季など)が抱える個人的な悩みや過去が明らかになります。
やがて、楓の人生に深く関わる重大な事件が浮上し、祖父と孫娘の絆が試される展開に。
この事件を通じて、祖父の認知症という現実と向き合いながらも、彼の知性と愛情が楓を支える姿が感動的に描かれます。
Posted by ブクログ
短編ミステリー集ではあるものの、全体を通して登場人物等に一貫性があり一つの物語として完成していた。各章ごとに読み進めることもできるので、すごく読みやすく、ミステリーのどれもが些細なことから推理していく(一部超能力?みたいなものはあったものの)流れをとても綺麗に感じた。
肝心の内容は、前半のミステリーに比べて最後の章は物足りない感があった。なぜどうしての部分がすごくあっさりしすぎているように感じた。加えて、個人的には被害者も犯人ももっと何かしらの背景があるほうが読み応えがあって好みというせいもある。この作品は短編が集まっており、なおかつ全体の物語の進み方としてそうするほうが自然ではあるものの、あまりにもあっさりと終わるものだなと思った。
ここから先はネタバレの可能性あり
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個人的に思うことは、祖父は病気ということさえも偽ってるんじゃないかなーと思ったり思わなかったり。
幻視のことを自分で理解してるし、なにより煙草吸うだけであんなにぽんぽん推理されたら普通に怖い。
あまりにも鮮やかすぎて、じつは病気じゃないんじゃないの?と思ってしまった。
かりに本作に倣って、病気じゃないという物語を紡ぐなら、この本の読者はどんな風に紡ぐのかな、、
自分なら、楓は最後のシーンで「初めて好きな人ができた」なんて言ってたくらいだから、精神的にすごく弱くて子どもなんじゃないかなと思う。よく言えばおじいちゃんっ子。父と母に十分に甘えることができなくて、そのまま育って、もし仮に祖父が優しい祖父のままでいるなら、楓は祖父に依存しちゃうんじゃないかな?だからこそ祖父は、あえて病気を装うことで、楓に自立させようと、なにより、楓自身に過去を乗り越えてもらいたかったんじゃないかな。なんて考えることも、本を読み終わった後の醍醐味。こんなことを話せる友人はいないので、もしこれを見てくれた誰かに、こんな見方もあるんだなぁって思って欲しいと思ってここに書いておきます。
改めて、とても素敵で、なによりミステリーとしての流れが綺麗な作品でした。
ここまで見てくれた人もありがとうございました。
Posted by ブクログ
放送作家だけに読みやすい。初めてミステリー小説を読む方にオススメ。
ミステリー小説ファンにとって、作中に作家や作品が出てくるのが嬉しいね。知らない作品が出てきて、思わず検索しました(笑)。
25/08/07 31冊目
Posted by ブクログ
ただ単に謎解きをしていくだけではなく、人と人との繋がりやいろいろな愛の形が感じられ、とても心温まる優しいお話だった。
過去の衝撃的な事件や楓のトラウマ等、徐々に明るみになっていく様子にはドキドキし、辛い別れでは無念な思いがひしひしと伝わり、話としてとにかく退屈しない。
また、主要3人のそれぞれの個性だったり、心境の変化がうまく描かれていたなぁと。岩田と四季、最初の印象と終盤とではがらりと変わる。そんなところもどんどん物語に惹きこまれる一因なのだろう。特に四季の告白シーンは印象に残っており、とびきり素直で素敵だった。続編のほうも気になるので読んでみたい。
Posted by ブクログ
全体的に甘味の強いミステリ。
メインの登場人物はみな善人で心が清く、そこがさわやかで優しい読み口になっているが、逆に人間みがなくて絵本の中の登場人物のようにも感じた。
終章のストーカーの行動も、「おじいちゃんのかっこいい言動をヒロインに見せたい」というストーリーの都合が先行して不自然に感じた。なぜそこにヒロインを?
全体的に作り物感が強い。
特にプールに消えた女の話など、全てが「謎めいた状況」を作るためだけに動いているようで、動機も方法も強引すぎて不自然だった。
ただ、そのファンタジックな優しさが、何かに癒されたいときに読む本としては向いているのかもしれない。
Posted by ブクログ
切れ者の祖父はレビー小体型認知症を患っており、幻視や記憶障害が現れる。
孫の楓は祖父と同じく学校の先生となり、自宅で介護生活を送っている祖父を見舞う。
そんな時、身近で起こった謎を話すと、ミステリー好きな祖父は病気とは思えないほど、イキイキとした表情と衰えを感じさせない推理力を見せる。
そして、その推理は当たっており、楓を喜ばせた。
しかし、そんな楓に危険が迫る。
楓に関わる過去と取り巻く環境が、切ないながらも心に響く。
2025.6.2