堀川志野舞のレビュー一覧
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ネタバレ短編7つ。挿絵はヨシタケシンスケさん。意外。理屈のない奇想天外なお話って現在はなかなか発表されない(破天荒である場合理由付けがされる)ので昔のこういった作品を読むのは心躍ります。いくつか既読作品あり。
「彼は生きているのか、それとも死んだのか?」
詐欺話。今でも成功しそう。
「ギャズビーホテルに宿泊した男」
「実話一言一句、聞いたとおりに再現したもの」
既読。前回読んだものより優しく訳してあり読みやすい。
「天国だったか?地獄だったか?」
未読。個人的No.1。真実そのものと優しい嘘を神の天秤に載せるとどうなる?
「病人の話」
「ジム・スマイリーと飛び跳ねるカエル」
既読。
「百ポンド紙幣」
既読。面白さでいうと群を抜いている。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家グレース・マクリーン、2012年発表の小説。「エホバの証人」をモデルにしていると思われるキリスト教の異端の一派の熱心な信徒の家庭に育った少女の一人称の物語り。宗教や奇跡が大きなテーマとなっていますが、宗教的な物語りというより、父子家庭の父と娘の絆の再生を描いた物語りであり、とても心に響く暖かな結末の作品。良いです。
10歳のジュディスは工場労働者の父親と二人暮らし、間もなく起こるはずのハルマゲドンとその後に訪れる「最も美しい土地」を信じる純真な少女です。自室にはガラクタや廃物を利用して「最も美しい土地」のジオラマ模型を作っており、豊かな想像力ととても繊細でナイーブな感性を持っています。しかし異端の宗派の信徒ということもあって学校ではいじめにあっており、学校へ行きたくないと言う気持ちで模型の街に雪を降らせると、実際に季節外れの大雪となって学校は休校に・・・。
妄想と現実がリンクして追いつめられて行くジュディスを描いてなかなか見事な作品です。
一人称で語られるジュディスの繊細なものの見方、感じ方、そしてその表現が非常に素晴らしい。また、宗派の善良で愚直な信徒たち、伝道で対話する主に下層階級の様々ないわば異形の人々の描写も秀逸。道徳のテキストにでもなりそうな物語りではありますが、10歳の少女の独り語りということもあって説教臭さや押し付けがましさは感じられず、わりと素直に感動します。 -
Posted by ブクログ
原題は〈The Land of Decoration〉。ハルマゲドンで世界が滅んだ後にやってくるとされる〈最も美しい土地〉のこと。
いじめに苦しむ10歳の少女ジュディスは、自分の部屋に〈最も美しい土地〉を作った。そこに雪を降らせて神様に祈ると、外の世界にも雪が降った。過酷ないじめが待ち受ける恐怖の月曜日に起きた奇跡。
学校や仕事へ行きたくない時に嵐を起こす力や、自分をいじめる奴に復讐する力があったらどんなにいいか。でも、行動には必ず結果が伴い、その結果を取り消すことはできないのだ。
ジュディスの苦悩よりも、彼女の父親の苦悩の方が胸に迫ってくるものがあった。信仰の篤い大人ゆえの、父親ゆえの孤独な闘いを強いられる。怒りにかられている時こそ、信仰は試されるのだ。
読み終えたときに、サッと霧が晴れるように物語の構図が見えて感動した。やはりタイトルは原題のままのほうが良かったのではなかろうか。