三浦晴海のレビュー一覧
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あしか汁の正体を知ったとき、思わず息を呑んだ。言葉が出なかった。
静かに、淡々と、物語は進んでいく。
だがその背後には、確実に何かが潜んでいる。
さまざまな資料や証言が積み重なっていくたびに、「あしか汁」という言葉の意味が、少しずつ明らかになっていく。
その記録の一つひとつが妙にリアルで、生々しい。
リアルすぎて、これはもう作り話じゃないんじゃないかとさえ思えてくる。
どこか現実と地続きなような、奇妙な現実感がずっとつきまとっていた。
幽霊が出てきて「怖い!」と驚かせるような話ではない。
だが、人間の怖さ、言葉にできない冷たさが、じわじわと心に残る。
ページを閉じたあとも、その違和感がず -
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ネタバレ# **モキュメンタリーの最高傑作!**
モキュメンタリーとは、ドキュメンタリー風のフィクション作品のことです。
「近畿地方のある場所について」をきっかけに、モキュメンタリー作品にどハマりし、「どの家にも怖いものはいる」と「ある集落の⚫」を一気読みした後に、本作に行き着きました。
本書の著者・三浦晴美さんが主人公という設定です。
晴海の大叔父が突然事故で亡くなり、その遺品整理をしているときに偶然見つけたノートの中に書かれていた謎のキーワードを晴海が調査していくという流れになっています。本書内の各所に調査を経て得た新聞記事の切り抜きや写真、ネット記事などの資料が散りばめられていて、作品に -
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めちゃくちゃ面白かったし、すごく怖かった。本の体裁も凝っていて、それも相まって、モキュメンタリーのホラー小説としてはなかなかの迫力を感じた。これはホラーが好きじゃない人は絶対読まない方がいいと思う。すごくグロいとかではないんだけど、ギミックの用い方が明らかにホラー好き向けって感じ。これも映像化を狙っている面もあるのかなーとか邪推してしまいながらも、モキュメンタリー形式のホラー作品が一定程度、世に放たれていることに、感謝という思い。なんだか社会が不気味に見えてきて、恐ろしいのにもっと覗き見たくなるような、抗い難い思いがしてくる。この作品は、そういう小説。
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キャンプ場というさわやかな場、個性豊かな登場人物たちとの関係が一転して、クローズドサークルな怪異の舞台となる展開。
するすると読みやすい文章と、森や火、夜の景色が映画のように想像できる描写で、さっと読みきってしまいました。言動だけでキャラがつかめる登場人物たちの描写も素敵でした。これ誰だっけ?となることもなく、「だからか、なるほどね」とそれぞれの顛末も理解できる納得感。
途中で結末になんとなく想像はつくものの、それでも飽きずに読ませてもらえました。怪異も引きずりすぎず、その解決法を探る流れも無理がなくてよかったです。
理由や儀式についてはコンパクトにまとまりすぎているきらいもありますが、三津田