あらすじ
本作は、私・三浦晴海が、急死した大叔父の日記に記された奇妙な単語を調べた際に、実体験したことをまとめた記録です。
作中の資料もすべて、現地に足を運び、時には人の力を借りながら集めました。
しかし残念ながら共に調べてくれた、
大学時代の友人も、快活な大叔父の同級生も、高名な学者の先生も、
全員もうこの世にはいません。
それでも、皆様にはぜひ知ってほしいのです。
私がたどり着いた真相を。「あしか汁」とは何なのかを。
そしてなぜ、こうして「あしか汁」の正体を語ろうと思ったのかを。
私の一生が台無しになった理由を、
どうか無関係と思いながら楽しんでお読みいただければ幸いです。
巻末には、「あしか汁」を調べた元編集者が遺した
最期の日記を掲載しています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「あしか汁」という謎めいた言葉を探ると関わった人が次々と亡くなっていくホラーストーリー。その意味は何なのか。念の連鎖からは終わりが見えない恐怖を感じます。プロットは『リング』や『近畿地方』を思わせますが新しい面白さがあります。
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。
妙なリアル感で、今生きている日常に疑念を抱いてしまう。お化けの怖さでも、ザ・人怖って感じでもない。でも、なんか怖い。言葉に表せないが怖い。そして、最初の ※本作品へのお断り がよりゾワっと感を増していると読み終わった後に感じた。
モキュメンタリーの中でも、群を抜いて面白かった。私の中では、、ね!
あしか汁、、、、あなたはこの言葉に何か反応しますか?薦める時には、要確認ですね。。。
Posted by ブクログ
筆舌にし難いとは、この本のことを言うと思う。感想を書くにしても、予測しやすいことを書いてしまうかもしれない。
あえて言うなら、中盤から終盤にかけての駆け抜け。
モキュメンタリーとも、因習系ともちょっと違う。ただ確かに怪異がある。異変がある。
まるで、お化けはいるよ、見たことないけど、みたいな。ただ、確かに「あしか汁」のことは話してはいけなかった。
食べるのはいいけどね。「あしか汁」を知らなければ。
Posted by ブクログ
あしか汁の正体を知ったとき、思わず息を呑んだ。言葉が出なかった。
静かに、淡々と、物語は進んでいく。
だがその背後には、確実に何かが潜んでいる。
さまざまな資料や証言が積み重なっていくたびに、「あしか汁」という言葉の意味が、少しずつ明らかになっていく。
その記録の一つひとつが妙にリアルで、生々しい。
リアルすぎて、これはもう作り話じゃないんじゃないかとさえ思えてくる。
どこか現実と地続きなような、奇妙な現実感がずっとつきまとっていた。
幽霊が出てきて「怖い!」と驚かせるような話ではない。
だが、人間の怖さ、言葉にできない冷たさが、じわじわと心に残る。
ページを閉じたあとも、その違和感がずっと頭から離れない。
読む前には、もう戻れない。
Posted by ブクログ
# **モキュメンタリーの最高傑作!**
モキュメンタリーとは、ドキュメンタリー風のフィクション作品のことです。
「近畿地方のある場所について」をきっかけに、モキュメンタリー作品にどハマりし、「どの家にも怖いものはいる」と「ある集落の⚫」を一気読みした後に、本作に行き着きました。
本書の著者・三浦晴美さんが主人公という設定です。
晴海の大叔父が突然事故で亡くなり、その遺品整理をしているときに偶然見つけたノートの中に書かれていた謎のキーワードを晴海が調査していくという流れになっています。本書内の各所に調査を経て得た新聞記事の切り抜きや写真、ネット記事などの資料が散りばめられていて、作品に臨場感を与えていました。
個人的には、新聞記事の切り抜きページが本当に新聞のような灰色でとても惹かれました。ぜひ紙で買うことをおすすめします。
物語にもどりますが、謎のキーワードの調査を進める中で、大学時代のオカルト好きな友人、亡くなった大叔父の旧友、学者先生が調査に協力してくれます。どの人物も気さくであたたかい人柄で描かれているのですが、最終的にその協力者たちは全員亡くなってしまいます。前述のような人柄イメージのため、より喪失感と絶望感を味わされました。その中でも特に、学者先生の亡くなり方は衝撃的なのでぜひご一読ください。
晴海自身も危険な目に遭いながら、上記協力者やそれ以外の協力者からの情報を得ていき、ジグソーパズルのように1つの結論にたどり着いていきます。このような、いくつかの情報が散りばめられ1つの結論に集約していく系の作品だと、何かしら取り残されてる感・強引感のある情報が1つはありがちですが、個人的には本作品はそんなことはありませんでした。そういう意味で、とてもすっきりします。
情報の中には、かなり昔の時代の情報もあるため、読みづらい箇所がありました。物語のおもしろさ故に先に進みたくなり、資料を読み飛ばしてしまったこともありましたが、どの資料も物語とかなり関連しており、結局ページを戻って読むことになったため、資料は確実に目を通しながら読むことをおすすめします。
先ほど、ジグソーパズルのように結論にたどりつける、すっきりすると書きましたが、結論の内容事態は良い意味でかなり後味が悪いものです。
それに関連して、私から見た本書の魅力を2点紹介します。
1点目は、「人の怖さ」と「霊的なものの怖さ」の両方を内蔵しているという点です。「人の怖さ」は、戦時中まで遡り、当時の人兵器開発で表現されています。おぞましい人体実験が伴う兵器開発の過程や方法について書かれ、その人兵器が時代を超えて晴海の時代にまで生きていて、本作品におけるさまざまな現象を引き起こしているというものでした。月並みではありますが、戦争の悲惨さと共に、戦時中の異様な人間の心理状態を垣間見て、ぞっとするものがありました。次に、「霊的なものの怖さ」は、その兵器開発の過程で、祈祷という過程が盛り込まれ、その結果が人体に刻み込まれているという点です。日本中の住職を集め、兵士の血を一時的に採り、その血に祈祷を施して霊力を兵士に埋め込むというものでした。かなり非現実的ではあるのですが、現世にまでその影響が及んでいるというところに霊的なものの怖さを感じました。
2点目は、晴海が調査を通して精神崩壊していく点です。本書は晴海の語りで進められ、ですます調の丁寧な文体となっています。また、本書冒頭で読み進めることへの読者への注意喚起も行っていたり、協力者や調査先で出会う人々への接し方から、晴海は心あたたかい人物像となっています。これらの点から、晴海はあくまで呪いに巻き込まれた被害者であり、もっと言ってしまうと、読者のことを想っている、味方であるという印象を持たされました。しかし、クライマックスでは、晴海の精神が崩壊し、むしろ読者を呪いに巻き込むような暗い思いが真っ黒なページで示されています。ここに至り、本書を読み進めてきたのはこのクライマックスのためだった!と思えるくらいの達成感や満足感を感じました。
総じて、大変読み応えのある作品となっています。
モキュメンタリー、ホラー、ヒトコワ、イヤミス好きの方はぜひ読んでみてください!
Posted by ブクログ
雑なモキュメンタリー風作品では無く、しっかりと作りこまれたホラー作品であった。
細かな伏線がいくつも組み込まれていて、気付いていくとゾッとした。
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とても読みやすい文章で一気読み。
「あしか汁」の正体については、なんか既視感…て感じだったのだけど、その後の展開が「えー⁈なるほど!」でした。
でもなんで「あしか」なの⁇「悪し」を連想して、確かにちょっと禍々しくはある…気のせいか。
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最近まちなかで意味不明の刺殺の報がよくあるが、いくつかはこれ⁈
当事者でなくて良かった…。
ホラーを最近たくさん読んでいるが、文章が下手だったり、気持ち悪いだけだったりで読後に後悔するものが多い中、これはよくできていてもゃっとすることなく完結している。
モキュメンタリーってホラーには効果的。
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急逝した大叔父が残した謎のメモ、「あしか汁」を調べる著者を襲う不穏な出来事の連続!
あしか汁が何なのか?が判明したあたりは、ほーんなるほど…という感想でしたが、その後の畳みかけがめちゃくちゃ恐ろしいそして上手い。逃げ場も対処法も無くなる恐怖のカラクリが秀逸です。
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大きなスケールで展開するモキュメンタリーで、タイトル通り、「あしか汁」の謎を追いかける。次々と明らかになる真実。謎が謎を呼ぶ展開。そして、最後に主人公が見たものは……? 「あしか汁」のことを口にするのはやめましょう。それは日本人にかけられた呪いのようなものなのです……。
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めちゃくちゃ面白かったし、すごく怖かった。本の体裁も凝っていて、それも相まって、モキュメンタリーのホラー小説としてはなかなかの迫力を感じた。これはホラーが好きじゃない人は絶対読まない方がいいと思う。すごくグロいとかではないんだけど、ギミックの用い方が明らかにホラー好き向けって感じ。これも映像化を狙っている面もあるのかなーとか邪推してしまいながらも、モキュメンタリー形式のホラー作品が一定程度、世に放たれていることに、感謝という思い。なんだか社会が不気味に見えてきて、恐ろしいのにもっと覗き見たくなるような、抗い難い思いがしてくる。この作品は、そういう小説。
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最近モキュメンタリーホラーが流行っており質の悪い物もある中でかなり光る作品だった。ホラーに大事な「手遅れ」、「迫って来る」感が後半徐々に大きくなる構成が良かった。
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急死した大叔父の日記に記された謎の単語『あしか汁』と相次ぐ連続変死事件の繋がりを探っていくホラーで、『あしか汁』そのものよりも「なぜ『あしか汁』のことを話してはいけないのか」という謎が最後に解明するのが面白く、まるで自分も怪異に囚われてしまったかのような不気味さもあった。
Posted by ブクログ
程よいホラー感があってなかなかのおもしろさ。
「あしか汁」の真相は怖いよりも気持ち悪さでしんどかった。
この謎に少しでも関わった人たちが変貌していく理由も、なるほど〜という感じ。
あり得そうであり得なさそうで、でもあり得そうな伝染の仕方。
なかなか壮大なホラー
Posted by ブクログ
あしか汁。。。
なんだから、きになる。。。
うぅ、
というわけでタイトルに釣られました。
内容としては主人公の大叔父が亡くなり、遺品整理したさいに発見された謎のメモ。あしか汁。主人公である三浦はそのメモの謎を興味本位で探り始めるが、、、
というあらすじ。
インパクトのある謎めいたキーワードで釣っておいて、とんでも展開でケムに撒く。そんな感じの話を想像していたが、意外にそんなことはなく地味な展開。故に引き込まれる。みょうなリアリティ。
とんでも展開ではあるが、なんとなく呪いの構造は特進がいく。摩利支天の子。。。。
Posted by ブクログ
大叔父が残した日記に残された3つの言葉。
これらの正体を探りながら物語は進んでいく。
目に見えないものが原因だと、ストーリーに入り込みにくくなるのかもしれない。
呪いではなく、そこにゆらめく人間の脆さや宿す狂気に惹かれるのかもしれない。
Posted by ブクログ
オカルト?ホラー?な
モキュメンタリー
順序建てて謎が明らかになっていくので読みやすかった
ページを捲る手が止まらないスピード感もあってすぐ読み終わっちゃった
戦時中の話ってのがまぁお決まりだよなぁ
子沢山すごい!血の力強い!w
Posted by ブクログ
「あしか汁」って何?
なぜ話してはいけないの?
オカルト色強めのモキュメンタリーホラー。
「さもなければ、全てを失うことになります。」
帯のこの意味は最後まで読んだらわかります。
Posted by ブクログ
あしか汁の正体も最初から予想していたとおり。クライマックスのあの真っ黒なページも予測できたけどめくったらやっぱりびっくりしたな。
でも結末がイマイチ、うーん…という感想。戦時中の実験とかそういうのに結びつけるのはもう使い古されてる感があるかなぁ。
Posted by ブクログ
タイトルから『海亀のスープ』を連想するも、だとしたら、帯の"読まないでください"はどういうこと?と気になって購入。
あちこちにストーリーに関連する画像や資料が差し込まれており、これを行きつ戻りつしながら読み進めることになるので、紙で読むのがおすすめです。
資料を割と丁寧に作ってある点に好感が持てますが、文体が独白か会話文中心でライトノベル感があること、内容が戦中の非人道的実験、秘術、山村の闇等、使い古されたテーマで先が読めてしまうところがちょっと残念。
あと、青葉区って横浜だけじゃなくて、仙台にもあるんだって初めて知りました。