S・A・コスビーのレビュー一覧

  • 黒き荒野の果て

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    設定はありきたりな感じだが、読み始めると初っ端から疾走感と緊迫感にグイグイ引っ張られる。ハードボイルドチックな気の利いた会話や時には詩的な感じさえする比喩表現も愉しい。

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    2022年06月07日
  • 黒き荒野の果て

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     ホンモノのノワールがやって来た。古いフレンチ・ノワールの世界が、現代に帰ってきた。そういう小説の時間をもたらしてくれる作品である。

     70年代のアメリカン・ニューシネマのフィルムの傷を想定しながら読む。暗闇に潜んで見上げていた傷だらけのスクリーン。暗くくすんだカラー。映画館内に漂う煙草のにおい。小便臭いコンクリート打ちっぱなしの廊下の匂い。しかしスクリーンの向こうには、野望を持つ男と女のしゅっとした切れの良さがある。銃口と硝煙。カーブの向こうを見据えるドライバーの冷徹な眼差し。

     それらは大抵。美しい犯罪ストーリーだった。生と死、疑わしい愛、安全さに欠ける大金、それらがやり取りされていた

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    2022年03月14日
  • 黒き荒野の果て

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    家族のために最後の仕事,犯罪へと向かうボーレガード。家族のため、守るためだったはずのことがどんどん追い込まれていく。犯罪計画と信用できない仲間たち。夫として父親としての想いと妻の気持ちとのずれ。その間で揺れながらそれでも計画に飛び込んでいくこと。乾いた空気がある犯罪小説であり、良くも悪くも家族を強く想っている家族小説でもあってとても読み応えのある作品。

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    2022年03月07日
  • 頬に哀しみを刻め

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    「憎しみだ。人は復讐を正義のように語るが、復讐はちょっといいスーツを着た憎しみさ」

    黒人の父親、白人の父親、惨殺された息子たち――
    血の弔いが幕を開ける。

    後悔、悲嘆、憎悪、復讐・・・亡き息子たちへの懺悔と非情な暴力への怒りが壮絶に描かれ、読んでる内に感情移入してしまう恐ろしい作品でした

    何より登場人物の圧倒的なキャラクター性が魅力的で、ハードボイルドなオヤジたちの最期を覚悟した復讐劇に痺れました
    一つ一つのやり取りの情景が目の前に映し出されるように鮮明に浮かび、手に汗握る大立ち回り!何よりクライマックスは・・・!是非ご自分の目でお確かめ下さい!!
    (そのまま脚本にもなりそうだし、映画化

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    2025年11月05日
  • すべての罪は血を流す

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    コスビーの3作目。
    スリリングな展開で始まるが、そこから先は暗転し地獄の使者が南部の田舎町に降り立つ物語。
    いつもながらのスピーディーで読み応えある展開。そして主人公の黒人保安官タイタスは、自らの規範と南部における黒人保安官に注がれる視線でがんじがらめ。
    犯人探しの部分にもカタルシス(こいつだったのかぁ〜)が欲しかったな。3.6

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    2025年11月01日
  • すべての罪は血を流す

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    とても良かったです。アメリカの南部戦争や人種問題に関する歴史の知識があれば、もっとすんなり読めて、読み応え倍増だったかも知れません。

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    2025年07月24日
  • すべての罪は血を流す

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    ⭐️4.2
    おもしろかった!コスビーは最近の推しの作家さんだなぁ。
    骨太犯罪小説といいましょうか、とことんハードボイルドで、かつアメリカ南部に残る差別社会など、社会状況もしっかり描かれているのも、ストーリーに厚みを持たせている。
    作中によく出てくるハイカロリーな南部料理も、生唾呑み込みながら想像がとまらないっ。

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    2025年06月29日
  • すべての罪は血を流す

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    ネタバレ

    「頬に哀しみを刻め」と同じ作者だったので。

    桜の樹の下には死体が埋まっていると言ったのは、誰だったか。
    ミステリーファンならば、
    死体が埋まっているのは土の酸性度で色が変わる紫陽花だろう。
    実際にそういうミステリーがあるかどうかは別として。

    それゆえ、息子が高校の教師を殺したと知った母親が、
    息子は先生のことが好きでふたりで居残りをしていた、と語った時には、
    ミステリーファンならそこに何が埋まっているのかに気が付いたはずだ。
    意外だったのは、早々にその最優秀教師の裏の顔が掘り返されたこと。

    奴隷制度の過去が色濃く残るアメリカ南部の町の高校で発砲事件が起き、
    白人の教師が殺され、犯人の黒人

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    2025年06月21日
  • 黒き荒野の果て

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    ここ数年で読んだ翻訳ミステリーとしては一番の収穫。何よりも主人公ボーレガードのセリフ、行動、そして愛車(ダスター)すべてがカッコいい。話の展開もダスター同様スピーディーだし、迫力もある。
    脇役たち、中でも父親代わりの叔父ブーニーの人柄と言葉にしびれます。細部まで行き届いた筆致、素晴らしい。

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    2025年05月27日
  • すべての罪は血を流す

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    超ド級。

    圧がすごい。ロバートグラスパーとかクリスチャンマクブライト並み。

    ラストの展開が急。羊チルドレンか。
    転身先が爽快ではあるが、ちと甘いかな。

    このミス24年度1位の前作も読まねば。

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    2025年05月22日
  • 頬に哀しみを刻め

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    良いな〜
    アメリカンハードボイルド
    銃、ナイフ、デカイピックアップトラック、酒、
    暴力、殺し、人種差別、LGBT、犯罪、不正、正義
    日本には無いワイルド感が最後は、アメリカ的な気持ち良さで終わる。

    ノンストップで読める

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    2025年04月19日
  • 頬に哀しみを刻め

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    息子たちを殺された二人の父親が、復讐する物語。
    その父親たちの経歴がひどい。

    一人は貧乏白人で、アル中で、前科持ちで、刑務所帰り。
    もう一人は黒人で、人殺しの前科があり、もちろん刑務所帰り。
    さらに、殺された二人の息子たちはゲイで、生きている間の親子関係は最悪だった。

    とにかく、二人が暴力的で殺しまくる。
    警察もあまり出てこない。
    少しご都合主義的な展開もあるが、
    復讐を通して、
    人種間のわだかまりが実は子どもの頃から
    植え付けられた古びた価値観だったり、
    命を張って助け合うことで、人間としての本質的な良さを知り、
    友情を深めていく。

    暴力に彩られた、大人のファンタジーでもある。

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    2025年04月13日
  • 頬に哀しみを刻め

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    作品の舞台はアメリカ、バージニア州リッチモンド

    黒人で過去に服役しがらも、地道に働き庭園管理会社を経営しているアイク
    白人で妻に捨てられ、酒浸りになっているバディー・リー

    彼らの息子同士(ゲイ)は互いに父親に祝福されることなく結婚していたが、ある日警察からこの息子たちが撃ち殺されたとの連絡を受ける

    男の世界を生きてきたアイクとバディー・リーは息子を愛しながらも、息子たちの性について理解できず向き合うことを避けてきた…
    それに対する後悔や贖罪が二人の男を掻き立て、息子たちを殺した犯人への復讐に向かっていく

    とにかく元囚人のおっさんたちのこと…
    いくら息子たちを殺されたからといって、やるこ

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    2025年03月20日
  • 頬に哀しみを刻め

    sun

    購入済み

    人間性や社会問題を深く掘り下げ

    ただの復讐劇ではなく、人間性や社会問題を深く掘り下げた作品
    息子を殺された二人の父親が復讐を誓う物語だが、その中で描かれる父親たちの感情、特に哀しみ、怒り、そして愛は非常に深い
    語は非常にスリリングで、暴力描写もリアル。
    コスビーのスタイルが如実に現れているが、それが単なる暴力描写ではなく、背景に深い人間ドラマを持っている

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    2025年02月16日
  • 黒き荒野の果て

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    定義というよりもイメージしているクライム・ノベルというのがあって。これが完全にイメージ通り、読みたい、完全にクライム・ノベルな一冊。

    引退して自動車修理工場を営む元凄腕のゲッタウェイ・ドライバー、ライバル店の出現で生活がピンチに陥ったところに過去に仕事でトラブった相手からデカい“仕事”の誘いが。これが最後とその“仕事”を受けることにするが…

    こんな話は何年か前の深夜にDVDで観たことがある、そんな気もしてくる“良くある話”だ。だけど、そんな“良くある話”とドラマ、そのなかに書き込まれるディティール、生活や文化や街並み、様々な引用や知識、哲

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    2025年01月15日
  • 頬に哀しみを刻め

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    このミス2024年第1位
    LGBTQの息子たちを殺された前科者の老人たちが復讐する痛快劇。LGBTQについての部分はなかなか難しいが、それを除けば痛快に最後まで突っ走る。
    中途半端な終わり方でないのがよかった。

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    2025年01月06日
  • 頬に哀しみを刻め

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    現代でもこういうタイプのバイオレンスな感じがあるんだなあ、と感心。かと言って古臭い作りでなく、あまり考えすぎずに楽しめた。翻訳物ならではの読みにくさがなければ★5

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    2024年12月28日
  • すべての罪は血を流す

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    ネタバレ

    いやー、面白かった。
    もちろん昨年このミス1位をかっさらった『頬に哀しみを刻め』の皮肉とユーモアの効いた会話、何を差し置いてもの家族愛の物語も面白かったが、自分的にはこのザ・南部アメリカ物語がこれまでのコスビー作品の中で一番刺さった。

    ヴァージニア州の田舎町チャロンの元FBI捜査官の黒人保安官タイタスが就任1周年を迎えたとある日、町内の高校で銃発砲事件が発生。
    誰からも信頼を寄せられるスピアマン先生が撃たれ命を失う。
    犯人はタイタスの親友の息子ラトレル。
    ラトレルは駆けつけた警官達に降伏する素振りも見せず、むしろ迫ってきたことで射殺される。
    残した言葉は「(スピアマン)先生の携帯を見てみろ」

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    2024年12月22日
  • すべての罪は血を流す

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    ネタバレ

    もとFBIの黒人の保安官が主人公.
    銃を持った黒人の男,単純な事件と思われていたものが,どんどん深い闇を覗かせていく.猟奇的な黒人の子供たちの死体が発見され,また新な殺人も起こり.白人と黒人の敵対する状況の中で奮闘する主人公タイタス.殺人鬼との対決は手に汗握る.
    また人物描写も父や弟そして恋人や同僚たち含めてよく描かれていて,特に亡くなった母親が時に現れ力付けてくるシーンなど感動的だった.

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    2024年12月19日
  • すべての罪は血を流す

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    アメリカ南部の田舎町チャロン郡で保安官を務める黒人タイタス・クラウンが主人公。ある日、町の高校で人望厚く評判の良い教師ジェフ・スピアマンが被害者となる銃乱射事件が起こる。犯人は高校の卒業生である黒人青年ラトレル。彼は現場に駆けつけたタイタスを長とする保安官チームによって射殺される。ラトレルは殺される直前、妙な言葉を口にする。「先生の携帯を見ろ」スピアマンの遺品の携帯電話のデータを探ると、町の子どもたちが被害に遭う凄惨な連続殺人事件が明らかに。加害者は3人。ラトレル、スピアマン、そして狼の面を被った謎の人物。タイタスは事件を追う……。

    コスビーやっぱり面白い!最初から最後まで追い詰められるよう

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    2024年11月09日