S・A・コスビーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
アメリカのサウスカロライナ州、レッドヒル群が舞台。
ボーレガードは、裏社会で伝説的な走り屋だった。
家族ができた事をきっかけに裏社会からは足を洗い自動車修理工場を経営していたが、資金難によりその工場の経営が傾き出していた。
家族のため、従業員のため、生活のためにボーレカードは昔の仲間から持ちかけられた宝石店への強盗計画に乗ることにした。
そしてそこからボーレガードはギャングの抗争に巻き込まれてしまう。
・感想
コスビー作品の暴力描写が相変わらずすごい!すごく痛そう!!
私がとても思い付かない事やってのける。
カーチェイスとかカーアクションの描写の臨場感も良かった。
今回もめちゃくちゃクレバーな主人公。
足を洗って真面目に暮らしたいのに色々な問題、環境のせいでうまくいかない。
そして本人もスリルと分泌されるアドレナリンの魅力に抗えない……。
ラストに妻のキアから「あなたは変われない」と言われ、本人もこれだけ家族を危険に晒したあとですら「変われるかわからない」という返答。
このラストが良かった。
親友が殺され、息子が危険な目にあったあとですら人間は簡単に変われない。
スリルジャンキーになってるボーレガードが可哀想ではあった。 -
Posted by ブクログ
一作目『黒き荒野の果てに』もパンチ力があったが、『頬に哀しみを刻め』は文句なしの凄玉だった。白人と黒人の双方とも息子を殺された父親というダブル主人公。しかも息子たちの関係はホモセクシュアルであったという、社会的受難を二重三重に受けた中年二人が、人種の壁を乗り越え協力して犯罪者であり差別主義者である連中と闘ってゆくあまりに胸アツの作品であった。毎年一作ペースで、今年も例によって一作、そして毎度のことながらテーマは人種間の軋轢、差別、そしてそれが起こす犯罪である。しかし、本書は一つの犯罪だけではなかった。読者は、ある街の過去にまで遡る犯罪の犠牲者たちの堆積、そして現在も起こる山のような人種差別の暴力に対峙しなければならないのである。
本書は黒人警官タイタス・クラウンのまずまずの日常が、事件の勃発によって破られるところからスタートする。現場に駆けつけると、高校で白人教師を射殺した黒人青年が警官たちに包囲され、うち一人の発砲によって射殺される。いつもの通り劇的な幕開けだ。
しかし射殺された白人教師の携帯電話に遺されたビデオには陰惨な殺人動画が遺されており、多くの黒人たちが惨殺されその死体が隠され埋められているという大事件に発展する。動画に映っていたのは複数の名のある人間たちで、それを捜査する保安官が黒人主人公であるタイタス。彼はFBI出身の優秀な人材だが、この町で黒人保安官であるゆえに敵も多く、陰湿な攻撃に晒されつつの捜査という苦境の中で孤立しつつ闘う運命となってゆく。
捜査を進めるうちに数人の隠れ差別主義者による暴力が明らかになってゆく。土の下から掘り起こされる複数の黒人児童たちの亡骸。動画に映っていた黒人の子供たちの虐待と殺人のシーンなどから、三人の白人が浮かび上がる。うち一人が射殺された教師だったことに町は揺れ動く。尊敬される教師であった人物が実は黒人児童を殺害して動画に撮るような男であったのだ。
黒人警官であるゆえに差別や暴力と闘わねばならない構図。コスピーが前作でも前々作でも書いてきたテーマである人種差別と、そこから生まれる暴力。人間というよりも野獣のような残酷さ。そして社会がそれを更生し切れずにいるアメリカ南部という隠された地獄。それらを今なお描き出し、闘おうとする作者並びに主人公の保安官。どうにも落ち着きどころのないテーマを描いて三作目。
本書は初の警官主人公というど真ん中のヒーローを軸にして、街を揺り動かす連続人種差別事件、そして埋もれていた山ほどの殺人事件の発掘というところまで繋がる人種差別組織の存在。KKKを思わせる差別と犯罪という永遠の命題に取り組み続けるコスビー作品三発目であるが、これまでで最も正面切った構図であること(FBI帰りの黒人保安官が主人公となって真向犯罪と対決というのはいつものコスビーらしくなく、全体に平坦なイメージ過ぎたか)、また犠牲者があまりに多すぎること、残酷過ぎることなどから、やり過ぎの評価を免れることはできないような気がするが、そこを気にしない方にはコスビー節が心地よいのかもしれない。ぼくは、ここまで過酷な作品だと、罪の深さもあまりに不快過ぎてちと読みづらかったというのが本音のところです。 -
Posted by ブクログ
XのTLで見かけて気になったので読んでみました。
思っていたのと違っていた。笑
ジャンルとしてはハードボイルドになるかと思います。
暴力シーンが苦手な方は厳しい気がします。
(結構な頻度で出てくるからね)
ストーリーに目新しさはそんなにないのですが、同性(男)同士の夫婦(カップルって言ったほうがいいのか?表現が困る)が何者かに殺害されたところからストーリーは始まります。
彼らの父親二人が手を組んで復習するべく犯人を捜す、というもの。
被害者がゲイの夫婦、というところが今どきっぽいです。
LGBT、人種差別、親子関係、裏社会と重いテーマが何重にも重なっています。それだけのテーマを扱っているので、結構なページ数になります。
ですが、意外と面白く読めました。(バイオレンスシーンは厳しいですが)
なんといっても父親二人の心境の変化が丁寧に書かれているのです。
重めのテーマに対して、薄っぺらい内容だと読めたものではないと思うのです(・・・結局それで終わりかよ、みたいな)が、登場人物の生い立ちもかなり丁寧に書かれてますし、人種差別の表現などもかなりリアルなんじゃないかと察します。何より裏社会をきちんと取材して描いている感じがします。
バイオレンス要素と人物の丁寧な描写が交互に訪れます。それがストーリーに強弱を与えているんですよね。
そんな中で気になる一言がありました。
”本当の自分を隠すべきだとあなたが思っているそれこそが、ぼくの指摘したかったことなんだ。”
ストーリーの核でもあり、これを父親二人がどのように認めていくか、といった本のテーマともなる言葉になります。
表紙を見てもわかるように、かなり重量感あるストーリーです。
本質を追求したい人には向いている作品だと思いました。 -
Posted by ブクログ
アメリカでミステリー賞を数多く獲得し、日本でも話題のS・Aコスビーの最新作である。
結婚して夫婦になった二人のLGBTの息子達が突然銃撃され惨殺される。
黒人と白人の彼らの父親が衝撃と絶望のなかで、事件を解明し犯人を探し報復する話である。二人は息子達への生前の暴挙やLGBTへの無理解や差別を後悔し罪滅ぼしで命懸けの復讐をする。
息子はかつての恋人(女性)が大物政治家の二代目と付き合い、性癖と異常な権力欲を知り別れさせようとするが、二代目は大事な選挙中のため露見を恐れて、凶悪な犯罪組織を使って関係者を抹殺すべく夫婦を殺害した。
冷酷な組織の暴力や殺人の描写はフィクションとはいえどぎつく、LGBTや差別という現代社会の切実な課題を底流に据えたハードボイルド・ミステリーである。
LGBTはアメリカ社会では既に慣れたことと思っていたが登場人物達の対応は偏見に満ちていて意外であった。白人の父親は覚悟の死を遂げる。
臨場感のある表現で切迫した速い展開に、始めから引き込まれ一気に読む、読み終わってホッとする。
男親の息子達への強い贖罪意識に余韻が残る。