S・A・コスビーのレビュー一覧

  • 頬に哀しみを刻め

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     昨年のこのミス海外部門で1位だった本作をかねてより読んでみたいと思っていた。犯罪小説だけあって、スピード感、凶暴性に事欠かない読みやすい内容だった。息子たちを殺された父親同士がバディというのも、新感覚。
     しかしながら、何か物足りない、もう一捻りほしいというのが正直な気持ちである。展開や心理面に深みがあると、より楽しめたと思う。

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    2025年11月24日
  • 頬に哀しみを刻め

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    ⭐️5.0

    コスビーを初めて読んだのがこの作品で、大ファンに。
    中年のダメパパ2人が、殺された息子たちのために立ち上がる復讐もの。
    まず、パパたちがスネに傷ありまくり、偏見ありまくりという設定からして、これまでのハードボイルドものとは少々毛色が違う。とにかくヒーロー感もダンディ感も皆無。それなのに最後は、めちゃくちゃカッコいいパパたちに泣けてくる。
    ストーリーはシンプルながら、人種差別やLGBTという今日的なテーマを下敷きにしつつ、アクションシーンは血で血を洗うようなえげつなさもあり、手に汗握るシーンが続き、読ませる筆致に唸らせられながら、一気読みしてしまった。
    次の作品が楽しみな作家さんに

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    2025年11月09日
  • 頬に哀しみを刻め

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    白人男性と黒人男性という同性カップルが殺され、2人の父親が復讐のために力を合わせて犯人を探して追い詰めていくというストーリー。
    物語の舞台はアメリカで、アメリカで黒人や性的マイノリティはどのような扱いを受けているのか、主人公である2人の父親コンビがそれぞれ自分の息子の性的マイノリティにどれほど理解を示せずに過ごしてきたのか、という苦悩を交えながら速い展開で話は進んでいく。
    暴力の場面もあるが、犯人をやっつけてスッキリ爽快・溜飲を下げるのではなく、タイトル通り哀しい物語でした。

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    2025年09月20日
  • 頬に哀しみを刻め

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    「なんだか最近心に元気ないな...。なんでだろう...。」と思いつつ、そういえば最近ブクロブを見てなかったなと思い開いたら、なんと年初から記録をつけてなかったことに気づいたズボラ読書家です。やっぱり本を読まないとダメですね、語彙力も感情も乏しくなりがちです。

    まずは何か1冊読まねばと、久々の読書に手に取ったのはこちら「頬に哀しみを刻め」

    舞台はThe現代のアメリカ!

    ジャンルとしてはサスペンスでとある殺人事件を中心に話が進みます。その進んでいく過程で、現代アメリカが直面する、人種だったり属性だったりという問題がハイライトされていくような形です。

    私は海外に長く住んでいたような経験は無い

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    2025年08月26日
  • すべての罪は血を流す

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    「姿無き連続殺人犯を、主人公の刑事(今作では保安官)が追い詰める」話もですが、昔から沢山書かれてきたストーリーにどのようなアレンジを加えて、オリジナリティを出すか??
    この作者は本当に上手くアレンジをして新しい作品に仕上げています

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    2025年05月29日
  • すべての罪は血を流す

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     黒人差別が色濃く残る南部アメリカの高校で起きた銃殺事件を元FBI捜査官の黒人保安官タイタスが捜査を経て何度も凄惨な現場を目にし、人種差別による住人たちの対立に頭を悩ませながら自分の信念を曲げずに真犯人を暴こうとする姿がカッコよく、重厚な雰囲気が漂う犯罪小説としての面も面白かった。

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    2025年03月19日
  • すべての罪は血を流す

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    ネタバレ

    いやあ面白かった。血の鷲はトゥルー・ディテクティブを思い出した
    ゲイブリエルの父親は結局誰だったのか気になってる。ジーンかな?作中にヒントが出てただろうか

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    2025年01月03日
  • すべての罪は血を流す

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    ネタバレ

    S.A.コスビー邦訳3作目。月並みな言い方やけど、裏切らない作家だなぁ。残酷描写の好みは分かれるが(俺は正直苦手)そこを差し引いてもすごいサスペンス警察小説。

    良くも悪くも典型的なアメリカ南部の小さな町チャロンで、人望篤い白人教師が黒人の卒業生に殺害される事件が起こる。現場に居合わせた黒人保安官タイタスは事件の陰に大きな事件の糸を引く黒幕の存在をかぎつけ捜査を始める。

    残酷描写もエゲつないが、根強く残る差別と旧態依然(伝統的ともいう)な信仰心が同居する人間の矛盾描写がまぁエゲツない。保安官タイタスの正義は分かりやすいが、差別主義者たちも自分たちの信じる正義をもって行動しているという皮肉。ス

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    2024年12月11日
  • すべての罪は血を流す

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    著者の過去作はアウトローが主人公だったけれど今回は真逆の保安官が主人公。
    今回の主人公は苦いを通り越して惨い経験をしているせいでかなり自罰的。
    舞台も人種差別が未だに残る土地なので爽快感や疾走感はないけれど主人公の交友関係や心理描写が丁寧で読み応えがある。
    主人公の性格や思考に共感できる部分が多かったのでラストはとても良かった。

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    2024年09月21日
  • 黒き荒野の果て

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    これは面白かった。
    S・A・コスビーはどの作品も面白く、作品を重ねる毎に描かれている物語的にも描いている社会背景的にも作品的にも深度が深まってる印象がある。
    だが、個人的には一番好みのタイプなのが本作。
    かつて裏稼業で生活していた男が、愛する者と出会い足を洗う。だが、表の世界での生活が苦しくなり、再び裏稼業に手を出す。簡単だと思っていた仕事が、実はギャングの金で……というどこかで観たことあるようなシンプルな物語ではある。
    だが、これがS・A・コスビーが描くと見事なクライムノベルに仕上がっている。
    これは映画化したら絶対最高だろう、というシーンがいくつもある。
    クライマックス、ダスターという愛車

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    2024年09月11日
  • 頬に哀しみを刻め

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    めちゃくちゃ面白かった。読ませる、ハードボイルドでかっこいい、セクシュアリティとアメリカのマスキュリニティ(というか同性愛嫌悪)が肌触りをもって描かれてる。
    泣いたわ。泣くわこんな。他のも読んでみたい。

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    2024年07月31日
  • 頬に哀しみを刻め

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    息子を殺された父親達が犯人と、その裏にある真相を探る物語。兎に角、父親達は強くて容赦がない。本作のテーマには、マイノリティが関わっているが、本筋とはそこまで関係はない。クライムアクションは普段読まないが面白かった。

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    2024年06月29日
  • すべての罪は血を流す

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    ネタバレ

    S.A.コスビーの3作目。
    今作は前2作のノワールから変わり、ゴリゴリの警察小説。

    舞台はアメリカ南部の街。拳銃を所持した黒人の高校生を、保安官たちが射殺する。高校生は殺される直前、先生の携帯を見ろと言い残す。教室では教師が殺されていた。この街初の黒人の保安官タイタスは殺された教師の携帯を調べるが、中には目を背けたくなるような残虐な映像が残されており。。。

    いくらなんでも前作「頬に哀しみを刻め」より面白いことはないだろうと読み始めたが、すみません、軽々と超えてきました。
    正直物語のまとまり方は前作の方が上だけど、今作の警察小説としての手堅さ、完成度は圧倒されるほど良かった。

    アメリカ南部

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    2024年06月23日
  • すべての罪は血を流す

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    どうやらS.A.コスビーは傑作しか書かないらしい

    すでにご存知のことかと思われるが、今年は2024年だ
    つまりイエス・キリストが生まれてから2024年(あるいは2028年)たっているということだ

    そろそろ神はこの世界に無関心だということに気付いてもいい頃合いではないだろうか

    どんなに祈っても戦争は終わらないし、どんなに祈っても差別はなくならないし、どんなに祈っても大切な人は奪われていく

    そしてどんなに祈っても天使たちは助けに現れてくれそうにない

    それともまだそれも神の計画の一部だと信じろというのだろうか

    S.A.コスビーが描いた主人公タイタスを突き動かすのは神の教えではなく、公平な

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    2024年06月14日
  • すべての罪は血を流す

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    アメリカ南部で保安官として働く黒人のタイタス。町の学校で銃撃事件が起き、人気のあった教師が殺害される。犯人は射殺されるが首謀者が他にいるのではと捜査が始まっていく。これをきっかけに連続殺人へと発展していく。ひとつの町で起きた凄惨な事件とともに描かれていくのが黒人への差別。その根深い問題が町の人々や事件の中に大きな影響を与えていく。常に緊張感があって犯罪小説としての面白さが存分に詰まった作品。

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    2024年06月02日
  • すべての罪は血を流す

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    S・A・コスビー『すべての罪は血を流す』ハーパーBOOKS。

    『黒き荒野の果て』『頬に悲しみを刻め』に続くS・A・コスビーの3作目。海外ミステリーの場合、邦訳タイトルは大切だ。S・A・コスビーは、興味がそそられる格好良いタイトルで非常に得をしているように思う。

    白人保安官補による黒人被疑者の射殺というデリケートな問題と人種差別の狭間で、黒人コミュニティからは白人のようにふるまう黒人の蔑称の『オレオ』呼ばれながら、連続殺人事件に挑む黒人保安官タイタス・クラウンが奮闘する姿を描く。

    今年になってから読んだ海外ミステリーではベスト1であることは間違い無い。


    ヴァージニア州チャロン郡のジェフ

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    2024年05月27日
  • すべての罪は血を流す

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    超★5 黒人保安官が凶悪事件に挑む… 重厚な人種問題を描いた社会派警察小説 #すべての罪は血を流す

    ■あらすじ
    アメリカ南部ヴァージニア州チャロン郡、元FBIタイタスは黒人ながら選挙で選ばれた保安官であった。彼は日々街の治安を守っていたが、ある日学校で銃撃事件が発生してしまう。殺害されたのは人気のあった先生で、犯人は先生の携帯電話を調べろと言い残して自害してしまう。先生の携帯電話からは、思いもよらなかった写真が保存されており…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    超★5 今回も鬼エグな傑作、人種差別の問題をリアルに切り取った警察小説です。

    これまでS・Aコスビーは、街のギャングなど悪者目線での

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    2024年05月26日
  • 黒き荒野の果て

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    あなたにとって大切な守りたいものは何だ!

    自動車修理工場を営むボーレガードにとってそれは家族、友、仕事、工場、父から引き継いだ愛車ダスターだ

    彼は大切なものを守るために過去に足を洗った犯罪に再び手を染めてしまう

    大切なものを守るための最後の犯罪になるはずだった…

    しかし、そこで歯車が狂い出す!

    彼の大切なもの…
    守ることができたもの…
    守ることができなかったもの…


    本作の魅了のひとつは登場人物
    特に主人公のボーレガードはカッコイイ!
    彼を取り巻く妻のキアやいとこで友のケルヴィンも魅力的だ

    もうひとはアメ車
    ビュイック、カマロ、ノヴァ、キャデラック…
    しびれるアメ車が次々に登場

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    2023年05月04日
  • 黒き荒野の果て

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    ネタバレ

    初のSAコスビー。
    二月に2作目が発売されるため、まずは去年出た今作を。

    ヤバい仕事から手を洗った男が、止むに止まれず再び手を染める。そこから転がり落ちていき、大切な家族にまで危機が。

    アメリカンノワールのお手本のような作品。シンプルなストーリーだけどここまで読ませるのは、主人公のバグや敵のキャラがものすごく立っているからだと思う。かっこいい台詞回しも多い。
    カーチェイスのシーンが本当に良くて、映像が目に浮かぶ。正直昔のアメ車は全部同じに見えるけど、ダスターのかっこよさはわかった笑

    2作目も楽しみ。

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    2023年02月04日
  • 黒き荒野の果て

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    ネタバレ

    裏家業の運び屋から足を洗って、真面目に自動車整備工場を営んでいる主人公ボーレカード(バグ)。しかし、同じ町に大きな同業者の工場ができ、経営難に陥り、裏家業にもう一度足を突っ込まざるを得なくなる。

    貧困と犯罪、家族のしがらみ。抜け出せない過去、黒人と白人それぞれの格差社会と交錯する差別…。前世紀から続くアメリカのやるせない社会問題を背景に、ぶっとびカーチェイスシーンを織り交ぜて描くアクションノアール小説。

    スピード感といぶし銀的渋さの両立。古い器に新しい酒を入れる手法の模範例ともいえる傑作。

    日本もここまで貧困化し、都市圏と圏外の生活や文化がかけなはれている現状、よそ事と笑えない小説だと思

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    2022年06月26日