金みんじょんのレビュー一覧
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男子校に勤める韓国の高校教師の男性のフェミニズムとの出会いや、学校現場でどう伝えているかの話。
フェミニズム以外にも、政治や人権の問題などでも同様に、あまり課題感を感じていない人に正論を叩きつけても心を閉ざしてしまう。そのあたりの伝え方や導入の仕方はさすが授業のプロ。
このあたりは「真のダイバーシティをめざして」にも多く記載があったが、より具体的にイメージできた。
女性を取り巻く問題に対して男性がどういう立場に立って動くことができるのか、とても参考になりそう。
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★時間とお金のムダ
★★普通〜微妙
★★★まあよかった
★★★★心が動いた(感動した、意表をつかれた、ショックだった)
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Posted by ブクログ
ネタバレ「男だからよくわからないんです。学ばないと」
この言葉、本当に素敵。本質。
著者のフェミニズムをなぜ男が学ぶのかという問いに対し、後輩はこう答えた。
韓国では朱子学の影響か、女性が家庭の仕事をするという文化が日本よりも強く残っているようだ。著者も辛そうな母を見て育ち、フェミニズムを考えるときは母親を思い出せと言っている。
韓国の男子進学校で国語教師として教鞭をとり、日々囲まれる数百人以上の若い男子に、男女が平等ではない事、それを放置してはいけないことを伝えている。
狩猟時代は安定的に食料を得られる草摘みや貝拾いを担う女性の方が、たまにしか成功しない狩をする男性よりも地位が高く、母系社会であ -
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さらりと読んだんだけれど何箇所か、すごく刺さる文章があった。子どもが生まれてずっと一緒にいて毎日を必死ですごして、そういう生活が終わって復職するときに感じた寂しさをはっきりさせてくれた文章だった。必死で気がつかなかったけど、ここは私の人生でたぶんものすごく重要な部分だった。それがどこかで分かっていたから、写真を撮ってアルバムを作って何とか保存しようともがいた。
「同時代性を信用しない」と言っていたのは、山田詠美だったか。今なら分かる。それは本当だ。今がどんなに大切な時か、自分で分かっているつもりの時は本当には分かっていなかったんだと、その時間が終わってからやっと分かる。 -
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ネタバレ人権を守る立場でありながら実効的な力を持てない調査官の視点で語られる事例たち。
特に印象に残るのは「人権感受性」と「人類の枠だけではない人権」への考察。
前者は、例えば自分以外の他者の共通言語が「手話」だった場合。
常識となるマジョリティが逆転することでそこで配慮される人権の形が変わるような表現がありました。
要はそこの感受性の向上も必要だという課題提起。
後者は人種、男女、ジェンダーなど様々な壁を越えてきた(越えつつある)人権という意識。
作者が感じた飼い猫への憐憫、他方映画撮影での動物虐待。
家族パートナーと同じくらい大切にされる命がある一方、何の意味もなく使い捨てるかのように消費さ -
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kbookフェスティバルにて、この本と作者ソ・ユミさんについて、共訳された金みんじょんさんと斎藤真理子さんの対談を聞くことができた。
サインをもらいたかったのもあるが、二人のお話を聞いて、この作家の作品を読んでみたいと思い、対談終了後即売場にて購入した。
6遍からなる短編集。20代から50代の主人公の、ある一日を描いている。
決して幸せとは言えない日々をなんとか生きている人たち。どうにか今の現実から抜け出そうとも、どうしたら抜け出せるのか見出せない。もしくは、変わらなければと思いながらも、甘んじてしまう日々。
一番最初にある「エートル」は、デパートのパン屋さんでアルバイトしながら妹とソウル -
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韓国の地方で男子校の教師をしていてフェミニストを自称する男性のエッセイ。やっぱりという感じだが、フェミニストへの入り口は自身の母の生き方を思ってのことだとか。
書いてあることは「ふーん」って感じで、自分としては目からウロコとか認識が変わったってほどじゃないんだけど、こういう本が日本にあるかなと思うとどうだろう。あるのかもしれないけど、ここまで知られていないだろうな。この本だって、韓国の本だからちょっと話題になっているけど、日本人が書いていたら話題になったかと思うとどうだろう。
巻末にけっこうな数の本が紹介されていたけど、韓国以外の本でも未邦訳の本がけっこうあった。韓国も男尊女卑の社会だといわれ