あらすじ
「悔しいです。助けてください」。人権調査官の著者が見た、差別や冤罪、性暴力、拷問事件の裏側。 心揺さぶるノンフィクション。
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Posted by ブクログ
日本にはこういう組織、仕組があるのだろうか。デモの過剰鎮圧などで人権が不当に損なわれていないかを監視するためにデモの現場に行ったり、平時に電話などで苦情を受け付けて調査する。自分たちは最後の良心であり、責任を感じる重圧の中でも努めて明るく、誇り高く。慢性的な人手不足で、対応を後回しにして陳情人が自殺した悲しさ。拷問、えん罪、手抜き捜査、外国人労働者への偏見と人権軽視な逮捕、スポーツ選手とコーチ、、、起こっている事象は日本と同じ。そこの裏側、隠ぺい、泣き寝入り、開き直り、、全体を一貫して、事実を書く姿勢、迫力、率直な感情の描写にとても好感。
Posted by ブクログ
人権を守る立場でありながら実効的な力を持てない調査官の視点で語られる事例たち。
特に印象に残るのは「人権感受性」と「人類の枠だけではない人権」への考察。
前者は、例えば自分以外の他者の共通言語が「手話」だった場合。
常識となるマジョリティが逆転することでそこで配慮される人権の形が変わるような表現がありました。
要はそこの感受性の向上も必要だという課題提起。
後者は人種、男女、ジェンダーなど様々な壁を越えてきた(越えつつある)人権という意識。
作者が感じた飼い猫への憐憫、他方映画撮影での動物虐待。
家族パートナーと同じくらい大切にされる命がある一方、何の意味もなく使い捨てるかのように消費される動物たち。
人類だけが人権を叫ぶ時代からさらに声なき者たちの「人権」もすくい上げることが求められているという示唆はとても共感できるものでした。
他のエピソードでももどかしさ、やるせなさ、焦燥感や無力感などはよく伝わりました。
学者やお偉方の視点でなく時折入る一般市民的な描写が読者の視点に近づけてくれています。
ただ基本的には韓国の話なので組織や制度の面でピンと来ない部分もありますがそれはやむ無しですね。