村上雅郁のレビュー一覧

  • りぼんちゃん

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    ネタバレ

    題名からは意外なほど、根が深い問題が書かれている。
    理緒ちゃんのように、身体への暴力とは違うかたちで虐待されている場合のほか、実際に体罰を受けて命を落とした子供の報道も後を絶たない。
    助けて、と声を上げられない子。
    悪いのは自分だと思い込んでしまう子。
    そしてその場にいるはずの、被害者でもあり加害者でもある別の大人の声が届けられる方法はないのだろうか。
    朱理にとってのおばあちゃん、理緒にとっての朱理みたいな存在が、当たり前にあればいいのに。

    VDやストーカーが、相手やその家族を殺してしまう事件を見るにつけ、人間の心の弱さや難しさを実感する。

    暴力が虐待の連鎖であるなら、個人の問題ではなく、

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    2022年03月15日
  • りぼんちゃん

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    村上雅郁さんの作品は、どれも私の心に響きます。

    この作品も、主人公の想像の物語が挿入されていたりして、普通なら私は苦手な方ですが、主となるストーリーのおかげか今までの2作品と同じく一気に読みました。

    これは児童書だけど、大人に読んでほしいと思います。

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    2022年03月12日
  • りぼんちゃん

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    早川世詩男さんのかわいい表紙のイラスト、そして『りぼんちゃん』というかわいいタイトル。りぼんのかわいい女の子のお話と思っていたが裏切られた。良い意味で。少女たちの一人称がうち、というところにはひっかかりがあったが、(うちってそもそも関西の方言な気がするので)内容はすごく、社会派。背が低くて赤ちゃん扱いされる主人公の朱理と転校生理緒の友情の物語。朱理は物語を書いていて、自分を赤ずきんちゃん、理緒をりぼんちゃんとして登場させている。ある日、朱理が物語を書いていることを理緒に話したところ、理緒が「りぼんちゃんはオオカミと暮らしている」と言ったところで、りぼんちゃんこと理緒の抱える闇が少しずつ明らかに

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    2024年10月22日
  • りぼんちゃん

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    ネタバレ

    可愛らしい表紙からは想像がつかない、
    「わざわい」という「自分ではどうしようもできない悪いもの」をオオカミになぞらえて語られる物語。

    終盤の怒涛の展開には涙が止まりませんでした。
    いや、、すごかった。
    すごくて言葉にならん。

    前半の赤ちゃん扱いされる主人公のくだりが、
    いやというほど効いてくるんですよ、、後半。
    いやほんと、ものすごいです。

    大人の不在が気になるお話が多いなか、
    最終的にはきちんとまわりの大人が機能します。
    はあ、安心。ほっとした。

    現実もこうでありますように、
    公的機関で公的な支援がうけられますように、
    まわりの大人が、困っている誰かをきちんと助けてあげられますように

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    2021年08月12日
  • かなたのif

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    第1回未来屋アオハル文学賞、大賞受賞おめでとうございます!
    仕事柄、こういった賞の作品はちゃんと読まないとね。と、芥川賞直木賞がなかったおかげで謎の余裕が生まれている(積んでる本は多いくせにね!)。

    本作はif(イフ)がキーワード。いくつもの意味が込められたタイトルになっていた。
    主人公はカナタとココの二人で、それぞれが交互に語り手となる構成。最初の方からあれ?これは?と気になる矛盾が出てきて引き込まれる。
    読書慣れしていない人でも、それぞれの語りが短くまとめられているので読みやすいと思う。何も考えずに読んでいると、中盤でびっくりするかも。そんな構成のうまさがあった。

    読後感もすごくよくて

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    2025年07月30日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    中学生の日常を深く、でも爽やかに書いている。
    読んで、私もこうすれば良かったと、今更ながら感動しました。

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    2025年07月19日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    2024年度中学受験で出題された小説ランキング1位とのこと。でも、文体はシンプルで非常に読みやすい。令和六年度埼玉県推薦図書。
    村上雅郁さんは、りぼんちゃんに続き、読むのは二作目。中学生の思春期の複雑で繊細な心をとてもうまく表現していると思います。エピソードごとに主人公は変わっていく物語であるが、最後に大きなストーリーとして完成していく。
    この村上雅郁さんという人は小学生や中学生を主人公とした児童文学を書くためにまさに生まれてきた人だと思う。思春期にどっぷりの中学生におすすめかな。

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    2025年06月22日
  • かなたのif

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    希望があっていいお話。
    いなくなってかなしいと感じるのは、一緒にいられたことが幸せだったから。だからそのかなしいのはその人が最後にくれたプレゼント、大切にしないといけないもの。
    この考え方はずっと私のなかに残ると思う。

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    2025年05月26日
  • りぼんちゃん

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    必死に生きようとしている子どもたちを喰い殺そうとするオオカミたち。しかし知識をつけて子どもたちは戦う。言葉の魔法で友人を助けた朱里はすごい。周りから赤ちゃんとバカにされ、話も聞いてもらえない、それでも友人の命を繋ぎ止めたのは朱里の魔法だった。魔法、なんて書くと安っぽく聞こえるけどまさに魔法の物語だった。題名からは予想もつかない展開でした。

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    2025年01月14日
  • ショコラ・アソート あの子からの贈りもの

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    え、めちゃくちゃ良い!スピンオフらしいので、元の作品読みたくなりました。児童文学らしく素晴らしい言葉が散りばめられていて、大人の私でもハッとさせられる。あかずきんちゃん、バカナタの話あたりのリアルな心理描写がすごいね。

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    2025年01月06日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    多感な中学生
    多様な中学生
    でも過ごす場所は選べない
    児童書に並んでいたけど深すぎて
    描かれている人物のそこかしこにはるか昔中学生だった自分が重なる

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    2025年01月03日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    中学生の揺れる心がいろいろな登場人物から語られる。なんだか皆それぞれに成長して変化していって読後感はとても良い。

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    2024年11月14日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    中学生日記のような連作短編集。
    当時の自分たちは彼ら彼女らのように目の前の友達の一挙手一投足に悩んで喜んで不安になって幸せになってを永遠にぐるぐる回っている感じだったのを思い出しました。
    誰かの悩みはその人自身にしか分からないんだな。ただ話を聞いて寄り添うだけ、大人になるとそれがとても難しい。
    くろノラくんお疲れさまでした。

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    2024年11月02日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    人にはそれぞれ悩みがあって、悩みの渦中にいる当人にとっては大問題だけど、他人にはよく分からないことも多い。悩んでいる人の話をただ聞くこと、自分が悩んでるときには人に聞いてもらうことが大切だ、とは、よく言われることだ。悩んでいる人に寄り添うとはどんなことか、この本を読むと疑似体験できる。中学生に読んでほしい本。

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    2024年08月06日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    まさに群像劇。すごく優しい物語。登場人物たちにちょっとしたヒントや手助けをくれる、不思議な存在もそれはそれで良いんだけれど、黒野くんはそうじゃない。みんなと同じように悩んで感じて、考えている一人の中学生なんだ。
    三澄先生と黒野くんの会話、助けてやろうと思ってるんじゃなくて、ただ好きだからいっしょにいるって良いな。黒野くんの飄々としたキャラも、タイトルの「聞かせてくれよ」も良い。

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    2024年02月05日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    7つの短編が連作に。
    何気なく言っていた言葉、
    この人はこうだろうという決めつけが
    誰かを傷つけ苦しめてるのかもしれない

    誰かに話を聞いてもらうだけで
    楽になるよね
    それをこの物語では黒野良輔がしている
    かつていたくろノラみたいに

    テセウスの船
    ヘラクレイトスの川

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    2023年06月09日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    多感な中学生の短編連作集。
    主人公それぞれの悩みや葛藤がなかなかリアルに描かれていた。
    話を聞かせてと言ってくれる誰かがいるって、すごくありがたいこと。
    そして心の内を話す時って、まとまった文章でなくても、もやもやしたそのままの気持ちを伝えればいいんだよな。
    黒野君みたいな子がいてくれたら、自分の進むべき道が自然と見えてきそうだなと思った。

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    2023年06月02日
  • りぼんちゃん

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    大人の事情、それに対する子どもの気持ちが、わかる気がした。この本を読んだことがある子も考えさせられたと言っていたので、良い本だと思う。子どもの考えや気持ちをきちんと聞いて、具体的に対応できる大人になりたいと思った。

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    2023年05月20日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    10代の頃はちょっとした言動に傷付き、心が折れてしまう。なのに、相手の気持ちを深く読み取れずについつい軽い気持ちで心無いことを言ってしまい、傷つかせてしまう。
    そんな描写がリアルに感じられる1冊。

    最後、みんなの傷が癒やされていく様にホッとして、その中心に常にいる黒野くんの存在が大きい。

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    2023年05月12日
  • きみの話を聞かせてくれよ

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    とある中学校の生徒たちの友情を描いた短編集。人間だから、喧嘩もするし、嫉妬もする。些細なことですれ違い、それが長い間解消されなくて、ぎこちないままになってしまう。そんな風にもつれた糸を、外から解きほぐしてくれる人がいたら…。
    各話に共通して登場する黒野くんが、その役割を果たす。他人のいざこざに突然首を突っ込んでくるお節介かと思いきや、話を聞くだけ、ちょっと背中を押してみるだけ、というつかずはなれずの微妙な距離感を保つ黒野くん。
    「安心していい。困ったことは起こらない。」
    根拠がどこにあるのか分からないけど、そんな無責任な言葉でも、誰かの大きな支えになる。みんな、黒野くんの存在に助けられている。

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    2023年03月20日