伏尾美紀のレビュー一覧
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博士号を持ちながら、警察官となったユニークな沢村依里子が主人公のシリーズ第2弾。
依里子は道警本部警務部へ異動になっていたが、新設大学院での爆破事件が起こり、警務部付ながら刑事部捜査一課に出向となる。
戸惑いながら班の責任者となった依里子は、相棒の松山とともに捜査を始める。
が、事件にテロの疑いがあるのか、彼らの前に公安が立ち塞がる。しかも、依里子の班の中に公安のスパイが?・・・
お馴染みの公安対刑事の諍いに、さらに底流にあるのはジェンダー問題。
依里子の属する警察と、犯行に関係があると疑われる三島教授の研究室で。
題名から事件の結末が推測されてしまうのは、仕方ないか。 -
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伏尾美紀『数学の女王 道警・沢村依理子』講談社文庫。
江戸川乱歩賞受賞作『北緯43度のコールドケース』シリーズの第2弾。
骨太の警察ミステリーというよりも非常に硬い硬質の警察ミステリーといった方が良いかも知れない。それが長所であると同時に余りの遊びの無さにエンターテイメント性が感じられないことが短所となっているようだ。
本作の根底にあるのは流行りのジェンダー問題であり、女性であることで、男性よりも不利な処遇を受ける苦悩が描かれている。しかし、世の中の全ての女性が同様の苦悩を味わっているのだろうか。自分の周りを見渡すと男性の後ろに居て、前に出て来ようとしない女性の方がまだまだ多いように感じ -
Posted by ブクログ
10歳のときに姉を殺された潮崎は、当時犯罪被害者支援室の広中にお世話になっていた。
広中は被害者遺族に寄り添い過ぎて心身を病み早くに亡くなってしまう。
広中一家は、代々警察官一家で父親亡き後、長兄も警察官に次兄は検察官、そして長女もまた花園警察署の刑事課強行犯係に所属していたが、捜査一課への異動を命じられ、「犯罪被害者家族心理分析班」で潮崎刑事と動くことになる。
潮崎の少年の頃を知っていた広中は、苦い思いをしながらも花園団地で起こる奇妙な事件や子どもの不審死などを違う角度で捜査する。
最悪な相棒とは潮崎と広中のことだが、さまざまな事件を探っていくうちに単純ではなく、奥深く人を観察しな