伏尾美紀のレビュー一覧
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前作よりも読みやすく、動機もまた理解できる部分もあり面白かった。ジェンダーバイアスねぇ、昨今は女性の社会進出が謳われ、社会の至る所で女性の活躍推進がテーマになっていて私みたいな若者(?)にはそれが当たり前として生きてきたから男性だから〜女性だから〜に理解できない部分は確かに存在するし、そういう差別か区別かも分からないような視線に辟易することもしばしば。でも、果たして自分はどうだろうかと考えた時に、そういう性別を職種や学歴、経歴と様々な点で排除して考えられるだろうか。それがその人の決定的な瞬間を作り出すことにならないだろうか。私は自信がないなぁ…と。沢村も同じ失敗を繰り返しているように、気をつけなきゃと思っていても抜け出せない、それがもう私の価値観としても養われてしまっているんだろうなぁ。
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Posted by ブクログ
※作品の構成に少し触れています(軽いネタバレあり)。
北海道で5年前に起きた少女誘拐事件。未解決のまま時が流れたある日、少女の遺体が発見される。異色の経歴を持つ女性警察官・沢村依理子は、組織の思惑や過去の因縁に翻弄されながら、事件の真相に迫っていく。
私は完全に作者に読まされていた。
博士号を持つ異色の女性警察官。私は、その経歴を武器に難事件を鮮やかに解決していく、カタルシスのある警察ミステリーを想像していた。しかし、その期待は序盤から何度も裏切られる。事件が動き出したかと思えば、物語は思いもよらない方向へ進み、正直「思っていた作品と違う」と感じた。
ところが、その違和感こそが作者の仕掛けだった。
依理子は特別な才能で周囲を圧倒する主人公ではない。警察という独特な組織の中で、本当にこの仕事を続けていけるのか悩み、迷い、自分の居場所を探し続ける一人の女性だった。気づけば、事件の行方よりも、私は彼女自身を応援していた。
依理子が色眼鏡で見られることに憤りを覚えながら読み進めていた。しかし最後に気づく。色眼鏡で彼女を見ていたのは警察組織だけではない。私自身も、その一人だった。
ある出来事を境に覚悟を決めた依理子は、事件に関わる人々との出会いを通して、自分なりの警察官としての在り方を見つけていく。その姿を見届けたとき、この作品は事件を解くミステリーというより、一人の警察官が覚悟を定める物語だったのだと腑に落ちた。
本作でひっくり返されるのは、事件の真相だけではない。読者が抱く期待や先入観、その思考そのものだ。
真相のどんでん返しではなく、思考のどんでん返し。
私は、その読書体験に心から唸らされた。 -
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デビュー作「北緯43度のゴールドケース」では
渾身の!という作品過ぎてちょっと盛り込みすぎ感を感じた。
まぁわたしだけかもしれないけど…
それがこの第二弾で早くも進化してた〜!!
爆破事件によって特別捜査に加わることになった
依理子だが、自信のなさはそのまま。
前作で登場した上司や上層部の他、公安や警視庁
警察庁などの関わりはストーリー上最小限にとどめたスマートな内容で非常に読みやすかった。
ラストに向けてのスピード感もあり、犯人は途中で分かったものの派手なドンデン返しで白ける事もないく面白く読めた〜‹‹\(´ω` )/››
ぜひ一作目から読んで欲しい♡
シリーズ続いて欲しい作品になりました♪
ちなみに最近つくづく思うのは…
え?真犯人ってこんな急に出てきたヤツ?
そんなくだらない動機?
なんて警察小説が一番嫌いです笑笑
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「百年の時効」が読ませる作品だった伏尾さん
デビュー作であり江戸川乱歩賞の今作はいかに…?
ちょっと気合い入ってます!
あれもこれも盛り込んでみました♪
それぞれのキャラも立たせてみたんですけど?
読み始めはそんな感想♪︎~(・ε・。)
でもね…まぁ読ませますよ!
だって誘拐されて5年後に遺体で発見されたんだけど、ちゃんと育ててもらってた形跡があるのよ?
でも何故今更殺されることに?
この誘拐当時と発見された時の捜査
どちらもゴールドケース(未解決)なんです。
これは大好物な設定だ〜♡
ん?新しい所属で別の事件?
誘拐事件はどこいった⁇
刑事さん達多すぎて名前覚えてられませんけど笑
この新しい事件必要か?
主人公の過去も色々あったんだ…
ちょっと盛り込みすぎか?
なんて思ってるうちに何か自然に繋がった感が…
ノンキャリ聡明美人刑事な主人公・依理子
その全てがわかるこのデビュー作だった。
彼女の刑事としての成長物語か(꒪⌓︎꒪)
こりゃ第二弾が楽しみじゃないか!
もう買ってきたし!
すぐ読も〜:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎
警務の管理官・片桐がめちゃくちゃ好き♡
次も絶対出てくるはず!!
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Posted by ブクログ
もう我が家のすぐ近所で事件が続々と起きており、あ!このキャンパスはあそこがモデルかな?
とか、宮の森の高級住宅街の感じもありありと想像できて、楽しすぎた!!!
サンピアザ水族館って、わたしと同い年だったんだ!!!!
とかね。そんな昔からあったんだ!
おたる水族館はすごい昔っからあるのは知ってたけど、、、そうか、ディズニーランドができた頃くらいにできたのかあの水族館!!
44年!!!
わたし的には耐震構造イケてる?!
って心配になるけど、鉄筋コンクリートは100年くらいはイケるっしょ。
って周りのベテラン建築士メンバーたちが言ってるからそうなんだろうなぁ。
同じくらいにできた、青少年科学館のほうが一新されたけど、変わったのは中身かなぁ?
こっちは鉄骨っぽいんだよなぁ。
と、建築に頭持っていかれますが、面白かった!
前回と続いて、女性の立場が弱い環境で戦う主人公を陰ながら応援しとります!
半沢直樹みたいに、一発逆転とかはなく、静かに争い静かに終わる話ばかりだけども、なんか読ませてくれる、引き込まれる。
手紙の内容が、本の中では女の人が書いたと思わなかった!って本の中の人たちは言ってたけど、わたしは女だから、女目線でしか読めず、女だとしか認識してなかった。
逆になんで男だと思ったんだろう。
これも認知バイアスなんかなー
そんなとこも楽しめました!
また、札幌舞台のミステリー是非読みたい!!!!
#札幌
#ミステリー
#伏尾美紀 -
Posted by ブクログ
ネタバレデビュー作『北緯43度のコールドケース』の続編であり、爆発事件の謎を追う社会派ミステリである。前作同様、単なる犯人探しに収まる作品ではない。
舞台は、新設された大学院大学。知性と理性の象徴のような場所で爆発事件が起こる。事件はテロなのか。物語には、爆弾魔を追うサスペンスとしての軸と、警察内部の対立を描く組織ドラマとしての軸がある。爆弾魔を追いながら、五係内部に潜む公安のスパイも追うことになる。
読んでいると、かなり早い段階で「犯人はこの人だな」と分かる。ジェンダーバイアスという補助線も見えてくる。けれど、この作品はそこに安直には着地しない。むしろ、実際にはジェンダーバイアスが存在しなかったことが、かえって犯人を苦しめたように私には思えた。
犯人である涼子は、外側の偏見に苦しめられただけではない。自分自身の中にある解釈、自分を苦しめる物語にも囚われていたのではないか。これは、公安のスパイだった花城にも重なる。二人に共通しているのは、誤った自己認識に閉じこもってしまったことの不幸だ。
けれど、彼らは最初から誰にも手を差し伸べられなかったわけではない。もし「人の話を聞く」という素直さがあれば、道を踏み外すことはなかったのではないか。涼子の頑なさは、作中でもはっきり描かれている。
> 「涼子はこだわりが強すぎるところがありました。例えばある証明を行う際、一つのやり方に固執しました。そうなると他人のアドバイスは決して聞かなくなるんです。五味教授はその点を批判しました。問題の解決に行き詰まった時は、広く他の人の意見も聞いた方がいいと。しかし涼子は凡人の意見など聞いても役に立たない、と五味教授の助言を拒絶しました。そしてとうとう、一人で未解決問題に手を出すようになりました」(p.338)
一方で、花城の方は少し違う。表面上はコミュニケーション能力が高く、人当たりもよい。だからこそ、内側にある頑固さや思い込みは見えにくい。
会話ができることと、他者の言葉を本当に受け取れることは違う。この作品は、その違いを静かに突きつけてくる。
> 花城は自ら耳を塞いでしまった。その結果最悪な選択をしてしまったのだ。(p.355)
ここで少し居心地が悪くなった。
天才ゆえに凡人の言葉を拒絶した涼子と、人当たりの良さの裏で自ら耳を塞いだ花城。アプローチは違っても、二人の行き着いた先は同じ「対話の拒絶」だった。
涼子や花城の考え方は、物語の中では極端なものとして描かれている。だから最初は、自分とは違う世界の人間として距離を置いて読んでいた。けれど読み進めるうちに、二人の頑なさの一部は、私を含め多くの人の中にもあるのではないかと思えてきた。
自分の考えに固執し、人の言葉を受け取れなくなること。その結果、自分の可能性を自分で狭めてしまうこと。涼子の、あるいは花城の姿は、決してそのまま自分と重なるわけではない。それでも、他人事として切り離すには少し近すぎる。
人の話を聞くということは、単に相手に譲ることではない。それは、自分の考えを一度外に開き、自分がまだ知らない可能性を残しておくことなのだと思う。
涼子がいたたまれないのは、彼女が感じていた理不尽さが、まったく根拠のないものではなかったからだ。社会の中には確かに不公平さがあり、彼女はそれに傷つけられていた。
ただ、この作品には、同じような理不尽さの中にいながら、それをどうにか乗りこなし、自分の求めるものを掴んでいく女性も描かれている。その配置によって、涼子の悲劇はより複雑になる。
彼女は、ただ理不尽な社会の被害者だったのではない。理不尽さを前にしたとき、それをどう受け取り、どう行動に変えるか。その分岐の一方に、彼女は自ら進んでしまったのだと思う。
涼子は家族(というか息子)を愛していたし、幸福も確かに手にしていた。けれどその幸福は、彼女自身が数学者として生きることの代わりにはならなかった。数学への未練が、彼女の核に深く食い込んでいて、どうしても消えなかったのだ。
人生には、両方を手に入れられる人もいれば、片方しか手に入れられない人もいる。その差は、本人の努力だけでは説明できない。だからこそ、この作品が苦く突きつけてくるのは、理不尽さそのもの以上に、その欠落とどう折り合いをつけるかという問題だった。
未練を抱えながらも、どうにか人生を続けていくのか。それとも、欠落を怒りに変えてしまうのか。その選び方によって、人は少しずつ違う場所へ運ばれていく。
だから、自分が今信じている物語を疑う必要がある。
自分は本当に社会から拒まれているのか。自分の可能性は本当に閉じているのか。今見えている世界は、現実そのものなのか。それとも、自分の痛みを通して組み立てた解釈なのか。
私たちは往々にして、悲劇の主人公という役どころをノーギャラで演じたがる。しかも厄介なことに、その演技に入り込んでいる間は、自分ではなかなか気づけない。
だからこそ、他者の言葉を受け取る余白が必要になる。人の話を聞くとは、自分を曲げることではない。自分の物語を、少しだけ開いておくことなのだと思う。
それにしても、伏尾美紀、好きだなぁ。『百年の時効』から入ったから、デビュー作の『北緯43度のコールドケース』はそれほどってなっちゃうのかな、って恐る恐る手に取ったけど、杞憂も杞憂。今のところハズレなし。 -
Posted by ブクログ
皆さんのレビューでお見かけする「百年の時効」が気になっているのだが、そちらは文庫化を待つとして、こちらも時折見かける、その作者さんのデビュー作に行ってみる。
これがとても面白く読めた。
未解決だった5年前の少女誘拐事件の被害者が遺体で見つかるところからスタート。
この事件の解決に突き進むのかと思ったら、そこからは、ある派出所での警官の拳銃自殺を挟んで、誘拐&遺体遺棄事件の捜査本部は解散し、いつの間にやら捜査本部を外されていた主人公は別の所轄の生安に異動となって…と、一体どうなるのという展開に。
主人子の沢村依理子はドクター持ちのノンキャリア。30歳で警官になったという異色の経歴。
話の流れの中で、彼女が警官になる前やなった後の出来事に加えて、院生時代に起きた事件によるトラウマ、実父や妹が抱える家庭の事情などが小出しに語られ、彼女の人となりが分かってくる。
『このまま幹部コースを歩むのも悪くない』と思ったことがあったり、『持て余されてるのかもね』とつぶやいたり、自意識過剰なところが私はちょっと苦手だが、自分の力で渡り合っていくしかない組織の中での立ち位置やそれゆえの焦りや悩みが細かく描かれているのは良い。
そうこうしている内に、今度はくだんの誘拐事件の捜査資料が漏洩し、沢村が漏洩犯としての疑いをかけられる…。
ぎゅうぎゅうとてんこ盛りに詰め込まれたネタに、過去と現在が行き来もするので、読み易いとは言えないが、なんかお話は面白くて、ズンズンと読める。
警察内部の派閥や上下関係の中での人間模様やその中で浮いている主人公の仕事に対する揺らぎなどもよく描かれていて、終章明かされる誘拐の構図もよく出来ていた。
今まで未解決だった事件が彼女一人で解決されるのはちょっと出来過ぎだったり、天狗岳事件が置いてきぼりになったり、後になれば気になるところもあったりするが、読んでいる途中はそこらを気にさせないくらいに読ませるお話だった。 -
Posted by ブクログ
「百年の時効」が気になり、著者について調べていたところ、「北緯43度のコールドケース」がデビュー作とのこと。
それならば、まずはデビュー作から読んでみようと思い、手に取りました。
結果、満足感の高い読書時間となりました。
この作品は、主人公・沢村のキャラクターがかなり個性的なので、彼女に寄り添えるかどうかが、物語に入り込めるかどうかの肝になりそうな気がします。
沢村は博士号を持つ女性刑事。
学生上がりの院卒……というだけで、個人的には少し偏見を持って見てしまうところがあります。
常識に欠けていそう、空気を読むのが上手くなさそう、プライドが高そう、集団行動が苦手そう、でも集中力は高そう……など、勝手にネガティブ寄りのイメージを抱いてしまうのです。
そして、そのイメージは沢村の言動にも結構表れています。
突飛な性格の人物を主人公にすると、物語そのものが浮世離れしてしまうこともあると思うのですが、この小説はそうではありませんでした。
沢村が組織の中で大多数から白い目で見られている一方で、数少ない理解ある上司に守られている。
そうした人間関係が、読者の持つイメージから大きく離れていないからこそ、リアリティを持って読めたのだと思います。
そして、沢村の暗い過去。
これもまた、彼女の正義感を描くうえで有効に働いていました。
一人一人の登場人物が地に足のついた存在として描かれているので、物語全体にも現実味があり、自然とストーリーに入り込むことができました。
それにしても、事件というものは、犯人ですら予期しない形で起きてしまうものなのだなと感じました。
ほんの出来心。
けれど、それが自分の意図しない方向へ進んでしまい、出来心では済まされない事態に発展していく。
そして、カミングアウトするタイミングを逃し続けたまま、数年が経過する。
その結果、新たな事件を引き起こしてしまう。
一度狂った歯車は、時間が経てば経つほど大きく狂っていく。
自分ではもう歯止めが利かなくなったとき、ようやく事件として明るみに出てくるのかもしれません。
出来心と背徳心。
そこに偶然が掛け合わさると、最悪な結果しか生まれないのかもしれない。
この小説でも、偶然がいくつか重なります。
けれど、そのどれもが「さもありなん」と思える偶然なのです。
だからこそ、ある意味では同情してしまう。
その感情が、読者の心を複雑にさせます。
また、この小説では警察の縦社会や内部事情もよく描かれていました。
その描写によって、沢村の置かれた立場がどれほど異常なものなのかが、より浮き彫りになっています。
学生時代の人脈が、社会に出てからも影響を持ち続ける。
警察って、そういう世界なのですね……。
とはいえ、これは警察に限った話ではないのかもしれません。
組織が大きければ大きいほど、そうした力はより強く働くのかもしれない、とも思いました。
事件の真相だけでなく、主人公の立場、組織の構造、人間の弱さや後悔まで。
様々な角度から考えさせられるミステリでした。 -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。1作目の『北緯43度のコールドケース』も良かったけれど今作はこなれてきていて格段に読みやすかった。
今回の舞台は北日本科学大学大学院。
新設されたばかりのキャンパス内で爆発が起き1名の死者を含む多数の重軽傷者が出た。
そしてその事件に沢村も捜査一課へ出向というかたちで捜査に加わることになった。
女性で博士号持ちの沢村の微妙な立場は相変わらずで 今回配属された5係の面々とも腹を探りあいながらまた新たに信頼関係を築いていくことになる。
今回は公安がらみ。
アカデミア。ジェンダーバイアス。
今度の事件は沢村にこそ相応しい。
“ジェンダーバイアスに晒されている側でさえもジェンダーバイアスに陥ってしまっている” という感覚は沢村だから得られたものだろうと思う。
今作も面白かった。
沢村の今後が気になる。
奈良さんが作中で言ったように沢村は心根がいい。そして沢村が上に立った時、それは必ず武器になる。心根のいい上司に部下は絶対についてくる。(これは最高の褒め言葉だと思う)
管理職もいいけれど やっぱり現場の沢村をずっとみていたい。