井上達夫のレビュー一覧
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ネタバレ田原総一朗・井上達夫・伊勢崎賢治
鼎談という形で憲法改正がなぜ必要かを明らかにする。
まず、本書の立場。
ーーー9条は全面的に日本の戦力保持を禁止しており、
そのため自衛隊は軍隊ではないことになっている。
それゆえ、自衛隊が当然備えているべき法的整備がされていない。
自衛隊の戦闘行為を支える法律・自衛隊を正しく律する法律両方が不備であり、国際的に見ると違法な集団である。
現行では、自衛隊の戦力行使は自衛官の自己責任になってしまう。
だから、日本は全然使えない戦力を持つ軍事大国である。
このような、いびつな事態を正すため9条は削除か改正しなくてはいけない。
だいたい こんなところか。正確な記述で -
Posted by ブクログ
メディアに頻繁に登場するワード、「リベラル」、分かってるようで 掴めていないリベラルの意味を 井上さんの哲学をもって 解明しようとする鋭さ満載で、リベラリズムとは正義であると言い切っているのが気持ちいい
反転可能性で矛盾を問うて正義たらしめるスタンス、これ正論でしょう
啓蒙(理性)と寛容の下りが面白く、今の自称リベラルの胡散臭さを 看破するロジックに成り得ている
自分以外は愚かとする啓蒙
不平等に干渉しない自閉的態度の寛容
まるで、
現在のマスメディアとリベラルにおける あるあるネタのよう
私生児に対して 認知はしないけど お前は俺を守れと迫る父親〜の例えは強烈!!
自衛隊の不憫さと平和 -
Posted by ブクログ
初めての井上達夫。本来はかなり固いものを書く法哲学者らしいが、本著はインタビュー形式でわかりやすく、著者が抱く問題意識と、現代の「正義」をめぐる法や政治の論点、観点がよく見渡せたと思う。これ一冊で達観するのは傲慢だと思うが、正義論入門としてよい一冊であった。
しかしこの井上達夫という人物がなかなか強者だと感じた。真理を見捨てた現代において、正義原理という真理を訴えている姿は純粋に力強くかっこいい。まだ私にはこの人の主張にどのような幅があるのかはわからないが、この内容を種にもう少し学びを進めていきたいと思う。
「正義論」というとマイケル・サンデルを思い出す人も多いと思うが、サンデルが自著で語 -
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元旦に放送された「朝まで生テレビ!」で井上達夫さんが出演されていて、話していた内容、そのときは天皇制だったり、日米関係のことだったりしたのだけれど、どれもとても説得力を感じ、それをきっかけに本書を手に取りました。
内容は2章立て。第1章は、この本が発売した2015年前半、安保関連法案のさなかのころの、いわゆるリベラル勢にたいして徹底して批判しながら、天皇制や憲法9条、安全保障などの政治問題を語っています。第2章は、井上さんが自分の専門分野である法哲学に、どう志したのかと云うところから始まって、みずからの思想の変遷と、世界のリベラリズム思想家たち――とりわけロールズ――を批判していくような内容 -
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評判になった著者の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください―井上達夫の法哲学入門』の続編で、前著で反響のあった憲法・安全保障問題に関する著者の考え方について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護することを目的としている。
憲法第九条は文言上絶対平和主義を採用しており自衛隊は違憲な存在であるという認識のもと、現在の日本の護憲派は、憲法を尊重するふりをしつつ、九条を裏切る自衛隊と日米安保の存在にこっそり便乗する、ないし、それを容認しさえする、憲法論的欺瞞を抱えており、改憲派よりも憲法に対する罪は重いとする。そして、憲法第九条の今後のあり方 -
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前半は、いわゆるリベラリストと呼ばれる人達の欺瞞を明快に暴いていて、彼らが信用できない理由が良く分かりました。
社会正義の実現を目標とし、それを主張する人間には、ダブルスタンダードとタダ乗りは許されないという事ですが、
彼らの独善性は周知のとおりです。
憲法9条を巡る問題も、法理論を突き詰めて考えると明らかに自衛隊は違憲であり、その存在に対する賛否を明確にしない以上、安保法案に対して違憲だ合憲だと言っても解釈論をしているに過ぎず、意味がない。ならばいっそ9条を削除して民主的な議論の下で国民的な合意を作り上げていった方が良いのではないか、という主張も理解できます。
後半は、自分の理解力の欠如 -
Posted by ブクログ
安倍政権は立憲主義を破壊している!!
集団的自衛権の行使は憲法違反!!
9条守れ!!
と叫んでる護憲派の方々・・・
ちょっと待って・・・
護憲派の方々が言うのも何だかおかしいでしょ?
憲法守れ?いやいやいや・・・
護憲派の皆様も随分欺瞞があるでしょ・・・
9条守るんだったら専守防衛どころじゃなく、自衛隊解体で日米同盟破棄だし・・・
専守防衛を守るんだったら憲法(明文)改正するべきだし・・・
著者は護憲派を「原理主義的護憲派」と「修正主義的護憲派」の2グループに分けてその欺瞞を突く・・・
原理主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保が存在するのは違憲だ、と言いながら・・・
自衛隊&日米同盟 -
Posted by ブクログ
●アメリカはもとより国際的に見ても、アジア女性基金のように、法的責任ではなく道義的責任として、戦争責任の問題に踏み込んで「他国民」に賠償・謝罪した例はないはず
●価値相対主義は自己の価値判断に対する他者の批判の可能性を閉ざす点で、独断的絶対主義と変わりない。われわれの価値判断の可謬性を認めるなら、価値相対主義も斥けられなければならい
●中世は多様な諸勢力の相互制約で成り立っていた、それが主権によって崩されていく中で、その制約として人権が生まれた。主権と人権が対立するのではなくて、人権が主権に内在する制約としてとらえられる。
●国家主権にあって他の主体(グローバル企業、NPO)に無いもの→答責性 -
Posted by ブクログ
まず、リベラリズムが自由主義ではないということに驚いた。リベラルは、本来は「正義主義」とでも訳すべきでると。公正、公平を最も重んずる思想であると。その中で、グローバルジャスティス、世界正義という概念が現れる。僕も正義とは胡散臭いと思っていた。どの陣営も正義を謳うが、その正義が争いを引き起こすと。しかし、それは本来の正義ではない。実は、正義というものは厳然と存在するが、どの正義も、それらの解釈に過ぎず、その解釈の差異で争いがおこる。しかし、世界正義というものを構築していくことは無駄ではなく、必要なことだと本書から感じた。価値を相対化するだけでは後ろ向きだ。様々な価値を受け入れつつ、それでもなお、