井上達夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
憲法系の本としては中々腹落ちする内容でした。
日本国民である子供や知識のあまりなき人に対しても「日本とはどんな国?」にという問いに自分の言葉で答えをできるようになるべきだと思ってます。
そういう意味だと9条は欺瞞に満ちた、大人による都合の良い解釈をされているのだと思います。
子供が9条を読むと自衛隊は明らかに違憲と思います。護憲派が何も変えずに保持するのは欺瞞以外の保身と自己都合でしかないと思います。
9条廃止や徴兵制といったラディカルな意見は耳を閉ざしたくなりますが、今の平和が何によって保たれていたのか、今後の平和を保つには何が必要なのかを考えると、このような意見は正しいのではないかと考えま -
Posted by ブクログ
『憲法の涙』を読んで面白かったので読んでみる。
第3部の憲法9条の話は『憲法の涙』とかぶるので第1部天皇制、第2部歴史認識での井上論が興味深かった。
議論、究極対決というほどでなく、井上論に小林さんがなるほどって感じ。
法哲学者って難しいこと言い出したら理解できないな、みたいなところがチラホラ。
井上案憲法改正ー9条削除して戦力を持ち得ることを認める。
シビリアンコントロール、国会事前承認、軍法会議を憲法に盛る。{+徴兵、(良心的兵役拒否+代替役務)}
非武装中立~集団的自衛権まで民主的立法過程での討議にゆだねる(憲法で縛らない。)
最善(井上案)ー9条削除+戦力統制規定追加
次善 -
Posted by ブクログ
戦争の正義
諦観的平和主義
平和が一番。戦争になるくらいなら不正のある平和な方がいい。
これは批判されている。一度有利な状況を作って仕舞えば有利なので、逆に武力を使っての現状変更のインセンティブが高まる
9条議論はどちらも憲法解釈のロジックなので相手を批判できない。原理的戦力放棄はクソ。
我ら愚民の民主主義。愚民政治になるからエリートがコントロールするのも同様に危険。原子力とか。
軍隊持つなら徴兵制も入れないと暴走する。戦争したがる人と戦争する人が違うと暴走。
天皇制は天皇が国民の象徴のために奴隷化させられている。
相対主義は相互不干渉の独善になる。客観的真理を意識す -
Posted by ブクログ
#毎日新聞出版 #井上達夫 #憲法の涙
憲法学者の解釈改憲を批判した九条論の本。著者の主張は「九条を削除して、安全保障政策を憲法改正発議により国民投票にかける」というもの
9条2項削除論は聞いたことあるが、9条削除論は初めて聞いた。安全保障戦略の柔軟性、憲法の固定性、非武装中立の合憲性担保という観点から 2項削除では足りず、9条そのものの削除を提言。最初のイメージと異なり、暴論とは思わなかった
「日本は9条のおかげで平和だったのではない。9条があるにもかかわらず、違憲の自衛隊と日米安保が存在したから平和だった」は その通りだと思う
「私は、反米でなく警米だ〜日本が米国の善意を信 -
Posted by ブクログ
格差を減らす、社会保障を充実させる、福祉の部分では「リベラル」は支持を失っていない。しかしエリート主義的で偽善的な部分は支持を失っている。▼米はベトナムに謝罪をしない。南ベトナム政府に貸した金を返せと要求する始末。米下院がイアンプ問題で日本への非難決議をしたのは厚顔無恥。▼「リベラル」による過度な自己批判(自虐史観)が、かえって過度な自己肯定を招いてしまう。▼憲法9条は削除すべき。安全保障は民主的なプロセスで討議されるべき。ある特定の安全保障観を憲法に固定化すべきでない。▼生前のリー・クワンユーが聞いたら喜びそうなことを、欧米のリベラルな哲学者たちが言い始めている。リベラリズムが受入れられるの
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Posted by ブクログ
日本法哲学界のドン、井上達夫による独自の法哲学入門。自説バリバリの本ゆえの長所と短所が。
いい点としては、分かりやすく簡潔で、バラエティに富んだ内容で飽きが来ない。200ページほどの分量ながら、第1部ではリベラリズムの概説と現代的な論点への言及、第2部では井上の研究生活に沿ってこれまでの法哲学の流れを通覧と、さまざまな話が展開される。
ロールズやサンデルなど大家の理論でも、井上が誤りだと思うものは容赦なく切って捨てている。そのため中立的な入門書にありがちな、どの説もそれなりに正しく聞こえて結局何が言いたいのか分からない、ということが起こらず論旨が明快。説明の巧みさもあり、これ以上分かりやすい