【感想・ネタバレ】憲法の涙  リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2のレビュー

あらすじ

改憲派も、護憲派も、ウソばっかり! 立憲主義とは何か。民主主義とは何か。日本を代表する法哲学者が吼える。読書界震撼の「リベ・リベ」、第2弾! [目次]第1章 護憲派は何を守りたいのか第2章 改憲とフェアプレー第3章 憲法学を疑う第4章 愚行の権利・民主主義の冒険[本書の内容から]【カルト化した憲法学】学問の中立性を捨て去り、特定政治勢力の広告塔となった憲法学。著名護憲派学者たちを徹底批判! 【愚かな安倍政権】集団的自衛権行使で米国にご奉仕する見返りはあるのか? 日米安保・沖縄問題など安全保障のあるべき姿を直言する。【九条削除論再説】なぜ九条は削除すべきか。なぜ徴兵制か。著者の持論「九条削除論」への批判・疑問に応える。【これこそが民主主義】反権力の独善に酔うな。クールな知性で考えよ。参院選を前に、立憲主義と批判的民主主義の真髄を語る。[「あとがき」より]本書は、前著『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください――井上達夫の法哲学入門』(毎日新聞出版、二〇一五年六月刊行)の続編である。(中略)このたび、前著の続編を刊行することになったのは、特に反響の大きかった憲法・安全保障問題に関する私見について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護するためである。また前著で触れられなかった重要な論点について敷衍することも目的としている。前著刊行後、安保法制反対派による大規模な国会前デモなど、護憲派の巻き返しともいうべき政治状況も見られたので、この状況への応答として、私見を再擁護し敷衍する必要を感じたことも動機になっている。本書の書名「憲法の涙」は、前著と同様、インタビューアーたる編集者、志摩和生氏の提案による。第1章の題辞に掲げた次のメッセージに相応しい書名だと思う。「日本国憲法は、今、泣いています」「憲法は、なぜ泣いているのでしょうか。改憲派の九六条改変の試みや、九条解釈改憲によって、いじめられているからですか」「そうですね、それも辛いですね。でも、もっと辛いわけがあります」「それは何でしょうか」「憲法を守ると誓っているはずの護憲派によって、無残に裏切られているからです」(後略)

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Posted by ブクログ

憲法系の本としては中々腹落ちする内容でした。
日本国民である子供や知識のあまりなき人に対しても「日本とはどんな国?」にという問いに自分の言葉で答えをできるようになるべきだと思ってます。
そういう意味だと9条は欺瞞に満ちた、大人による都合の良い解釈をされているのだと思います。
子供が9条を読むと自衛隊は明らかに違憲と思います。護憲派が何も変えずに保持するのは欺瞞以外の保身と自己都合でしかないと思います。
9条廃止や徴兵制といったラディカルな意見は耳を閉ざしたくなりますが、今の平和が何によって保たれていたのか、今後の平和を保つには何が必要なのかを考えると、このような意見は正しいのではないかと考えます。
日本の未来を担う子供たちにも分かりやすい言葉で憲法を見直すべきではないですかね?

リベラルも保守も自己都合のためのフレームワークであって、それにとらわれない議論が必要で、国民は分かりやすさと、想像力をもって、日本という国を安全保障の観点でどうしたいかを考えないといけないですね。

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2018年11月22日

Posted by ブクログ

#毎日新聞出版 #井上達夫 #憲法の涙


憲法学者の解釈改憲を批判した九条論の本。著者の主張は「九条を削除して、安全保障政策を憲法改正発議により国民投票にかける」というもの


9条2項削除論は聞いたことあるが、9条削除論は初めて聞いた。安全保障戦略の柔軟性、憲法の固定性、非武装中立の合憲性担保という観点から 2項削除では足りず、9条そのものの削除を提言。最初のイメージと異なり、暴論とは思わなかった


「日本は9条のおかげで平和だったのではない。9条があるにもかかわらず、違憲の自衛隊と日米安保が存在したから平和だった」は その通りだと思う


「私は、反米でなく警米だ〜日本が米国の善意を信じすぎて、自国の国益を守るためのガードをゆるめること(随米)を警戒している〜もちろん 警露、警中、警欧でもある」 は 当然に思う

9条削除の意図
*安全保障の戦略を憲法に入れて、固定化すべきでない
*2項削除のみでは、1項が非武装中立を違憲とする可能性がある


「自衛隊の抑止力は〜反撃能力の保有の証示によって支えられる〜彼らの訓練死は、日本を防衛するための戦死である」

「絶対平和主義は尊敬に値する生き方だとしても、普通の人には担えない」



日米安保を破棄した場合のアメリカのデメリット
*アメリカの海外における最大にして代替不能な戦略拠点を失う
*日本が核武装する可能性が高まる〜従順な旧敵国を再び危険な存在にする





















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2025年06月02日

Posted by ブクログ

評判になった著者の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください―井上達夫の法哲学入門』の続編で、前著で反響のあった憲法・安全保障問題に関する著者の考え方について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護することを目的としている。
憲法第九条は文言上絶対平和主義を採用しており自衛隊は違憲な存在であるという認識のもと、現在の日本の護憲派は、憲法を尊重するふりをしつつ、九条を裏切る自衛隊と日米安保の存在にこっそり便乗する、ないし、それを容認しさえする、憲法論的欺瞞を抱えており、改憲派よりも憲法に対する罪は重いとする。そして、憲法第九条の今後のあり方について、「最善」は、九条削除であり、具体的には、安全保障戦略の基本は憲法で凍結すべきではないが、「どのような戦略が選ばれようと、それが乱用されないための戦力統制規範は憲法に入れろ」という意見だとし、国民が無責任な好戦感情にあおられないための歯止めとして「徴兵制+良心的兵役拒否」も組み込むべきだと主張している。「次善」は、護憲的改憲、「三善」は、保守的改憲発議、「最悪」は何も変わらないことだとしている。
自分は、憲法解釈としては、著者の考えは基本的に間違っていないと思う。ただ、「修正主義的護憲派」と本書で言われている従来の内閣法制局的な解釈も成り立つ余地はあり、そうであるならば、確かに限定的な集団的自衛権容認も違憲ではないという結論になるだろう。そして、今後の憲法第九条のあり方としては、著者は「次善」としている護憲的改憲が望ましいと考える。自衛隊がこれだけ定着している以上、憲法第九条第一項の趣旨は維持しつつ、自衛隊を憲法にきちんと位置付けることが、立憲主義の精神からも必要だと考えるからである。

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2016年11月12日

Posted by ブクログ

前作に引き続き、憲法を巡る諸問題を論じています。
前作よりも9条の問題にフォーカスしているので、その主張が明確に感じられるなっていますね。
9条があるから侵略されない、というような主張の間違いが明確に理解できます。
護憲派こそ改憲を主張すべきという主張がしっくりきます。

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2016年10月18日

Posted by ブクログ

前作「リベラルを嫌いになっても……」の続編。平易ながらもより論議が深まり、井上さんが考える輪郭が見えてきた。参院選を前に必読だと。

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2016年07月05日

Posted by ブクログ

安倍政権は立憲主義を破壊している!!
集団的自衛権の行使は憲法違反!!
9条守れ!!
と叫んでる護憲派の方々・・・
ちょっと待って・・・
護憲派の方々が言うのも何だかおかしいでしょ?
憲法守れ?いやいやいや・・・
護憲派の皆様も随分欺瞞があるでしょ・・・
9条守るんだったら専守防衛どころじゃなく、自衛隊解体で日米同盟破棄だし・・・
専守防衛を守るんだったら憲法(明文)改正するべきだし・・・

著者は護憲派を「原理主義的護憲派」と「修正主義的護憲派」の2グループに分けてその欺瞞を突く・・・
原理主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保が存在するのは違憲だ、と言いながら・・・
自衛隊&日米同盟の廃止!とか現実を変える努力も、逆に現実に合わせて9条削除!とか憲法を変える努力もせず、自衛隊と日米同盟の便益のみ享受して居座っている、と・・・
修正主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保を容認するという従来の内閣法制局見解と同じ【解釈改憲】を採用しながら・・・
安倍政権の集団的自衛権行使OKという【解釈改憲】は批判する、ご都合主義じゃないか、と・・・
どちらにも共通しているのは・・・
憲法を尊重するフリをしつつ、9条を裏切る自衛隊や日米同盟の存在にコッソリと便乗はするし、容認もしてたりする・・・
そして自分たちの政治的ご都合主義を、【憲法を利用して】隠蔽しようとしている点・・・
著者はこの点をもって憲法が泣いている、と書いているわけですね・・・
憲法守るって言ってる方々も憲法を裏切っているじゃんか、と・・・
著者は別に安倍内閣、自民党の解釈改憲や改憲案を良しとしてない・・・
けれども、護憲派学者さんや似非リベラル勢に対してもフェアに切り込んで行っている・・・
その辺がとても学者さまとして誠実に思われます・・・
確かにそれ(上記)が道理だよなぁと考えさせられる・・・

その他、長谷部恭男さん等からの反論への反論や・・・
9条削除論・・・
徴兵制論・・・
なども、なかなか面白く、参考になるのでオススメでございます・・・
スグ読めるし・・・

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2016年05月10日

Posted by ブクログ

法学に精通する著者が世論を賑わせている日本国憲法の第9条と集団的自衛権との関係について自身の見解を述べた一冊。

法学に精通している著者の憲法の見解は非常に勉強になりました。
安倍政権が行おうとしている改憲についてや集団的自衛権について批判的に捉えている人々の考え方が一概に反戦の方向に向いていないことや国民投票にかけて全国民が憲法について向き合うことへの提唱は共感するものもありました。

近年、安保法案の成立くらいから安倍政権での改憲の話題がよく出ていますが、真意とするところがいまいち分からなかったのですが、本書を読んで9条の意義や日本がこれまで平和であったことや他国の防衛などを理解することができました。

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2017年12月06日

Posted by ブクログ

前著に続いてこちらも読んだ。前著は正義論についてだったが、今回は法哲学を中心とした憲法論。前著でも憲法についていくらか扱っていたが、その幅を広げてより深めた内容になっている。そんで今の日本の置かれている政治的状況からするとタイムリーな内容。

井上達夫の立場はよくわかった。ロジカルで非常に筋が通っているし、バランスもとれていて、これがリベラルかと学ばされるところ多い。ただ、護憲派、改憲派ともに井上に滅多切りにされているが、どこに人生としての価値を置くかで、どちらの立場も理解できてしまうところはある。私たちは個人は、自分が考える前から社会におかれており、個の連帯の中で生きることを必定とされている以上、正義に基づく判断基準が優先されるべきだというのは疑うことができないが。

様々な方向に思考を飛ばされる一冊だった。いつも以上に新聞が気になりだした笑


17.5.7

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2017年05月07日

Posted by ブクログ

自衛隊と憲法9条の整合性に焦点当てた本。いわゆる改憲派と護憲派の双方の主張の矛盾点を列挙し、9条をまるごと削除すべき、という持論を展開している。国の安全保障に関わるイシューを憲法に書き込むべきではない、というのがその主張の背景。

"現在の9条は 、安全保障の基本を 「非武装中立 」に凍結してしまっている 。それが容易に変えられないから 、右も左も解釈改憲で対応し 、結果として九条を死文化させている"

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2017年01月17日

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