賀十つばさのレビュー一覧
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シリーズ3作目。
今回も美味しそうなものがたくさん。
ブレッドプディング
ビューニュ
プティフール
シュトレン
物語は主人公・白井葵がお店を閉めてフランスへ勉強のために旅立つシーンから始まります。
そこへ、佐渡谷さんの旅先で豪雨災害が起こったと連絡があります。佐渡谷さんと連絡がつかないと。
そこから色んな事があります。
葵と秋山静との関係の変化もあります。今作はお菓子のことはもちろんですが、この2人の関係を主に描かれているように思いました。
NHKでのドラマを観ていたので、読みながら頭の中で葵は蓮佛美沙子さん、佐渡谷さんは永作博美さんになって活躍をしていました。 -
Posted by ブクログ
【金曜日、妻の様子がおかしかった件】
物語の掴みからして、もう最高に気になる。
毎週金曜日、仕事と偽って出かける妻。
夫の視点からしたら、もう脳内はバグりまくり!「もしや浮気か不倫か修羅場か!?」でハラハラモヤモヤが止まらない。気になりすぎて意を決して尾行した夫が辿り着いた先は、美味しい珈琲と焼きたてスコーンの香りが漂う最高の癒やし空間、
ブックカフェ「B&Y」。
でもそこで見た妻の姿に……。
そしてこのカフェ、悩める客に絵本を「処方箋」として手渡してくれるという本好きが歓喜する神設定。
作中には『長くつ下のピッピ』や『ちいさいおうち』などの名作がずらりと並ぶ。
残念ながら私はタイトルは知っているけれど未読のものばかりで恥ずかしい。
でも、通称ドゥリトル先生が丁寧に解説してくれるので、未読でも全然無問題で楽しめた!
ただ、問題はラストだ!
あの2人の決断には「本当にそれでいいのか……?」という、猛烈なモヤモヤ感が襲ってきた。
でも、作中にも登場する『賢者の贈り物』のように、お互いの大切なものを犠牲にしたのだから、彼らの未来はきっと大丈夫、いや絶対に大丈夫だと思いたい。
かわいい表紙の皮を被った、ちょっぴりビターで愛おしい余韻の残る一冊だった。
絵本好き、カフェ好きにおすすめの一冊。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本作は、お菓子屋さんを営む店主が店を閉めて、生活のためにバイトを始めるところから始まる。そして、そんな経緯をもつ主人公である白井は、常連客であった佐渡谷とバイト先で再会する。佐渡谷は料理研究家であり、白井の作るお菓子のファンでもあった。佐渡谷の勢いにおされた白井は、閉店が決まった自身の店で、佐渡谷の料理教室らしきものを開くことになる。
ここまでの流れからは、料理やお菓子作りを軸に、人生の問題や人間関係のあれこれを解決していく、というありふれたものだが、やはり本作はどこか頭ひとつ抜けた作品だと感じている。突拍子もなく大げさな出来事や人物が立て続けに現れたり、セリフだけでページが埋まったりするものの、あくまでその進み方は現実的だ。
競合他社のお菓子の単価や品質のバランスに唸ったり、客の都合の良い言動にもやもやしたり、閉店してバイトを始めるも、バイト先に店舗経営者だとバレてからの展開などは、かなり現実的かつ世知辛い。お菓子の見た目や味や甘さは、商品として計算されつくされた存在であり、世の中にごまんとあり、それを作る生産者と経営者でもある主人公や佐渡谷が、いかに努力を重ねているのかを垣間見ることが出来る。
しかし、本作はそれを前提におきながら、そんな主人公たちと、お菓子作りとは程遠い人との交流を描いている。特に最初のエピソードでは、閉店した主人公がその先に悩む姿と、名だたる企業や国家機関で働く女性が仕事を辞めたくても辞められない姿が対比して描かれる。どちらも当然一筋縄ではいかずに、ほぼ現状維持ながらも、しかし、流されることなく自身の意思で、少しずつ自分の人生を歩もうとする。このストーリーも、お菓子作りを絡めて描かれるのだが、華やかなお菓子ほど初心者には向いていないことが分かる。しかし、それでもベテランの主人公と佐渡谷がクライアントとお菓子の思いと向き合い、工夫を凝らせば、それなりのお菓子をみんなで苦戦しながらも作り上げることができる。
その後のエピソードも同様に、一足飛びにすべてが解決することは少なく、希望するお菓子を作るのは難しいが、これぐらいまでのお菓子ならば作ることが出来る、というエピソードが多い。白井と佐渡谷を頼る人は、思ったよりもお菓子作りは大変で、思っていたのとは違う仕上がりだけど、自分で作ったものを食べるのも楽しい、という感想を述べている。お菓子や食事を作る楽しさと食べる楽しさ、そのために先生や誰かとつながり協力する楽しさを、苦労しながらも感じる様子は、読んでいるこちらが微笑ましくなる。お菓子や調理方法の名前や由来を学びながら、お菓子を四苦八苦しながら作り上げて、ほっとしながら食べる。すると、これからの生活も同様にどうにかがんばれる気がする。そんなエピソードを読むと、頑張って疲れたら、好きなお菓子を作って食べるくらいの一休みと、その大事さを感じる。
本作はドラマにもなり、続編である"バニラなバカンス"に続いて、さらに3作目も近々発売する模様。文庫版や電子書籍で手軽に読めるのもありがたい。楽しくて甘いお菓子作りのストーリーであり、同じく人生のほろ苦さもしっかりと描いたシリーズとして、ぜひ続いてほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとなんとー
予想していた内容とは全然違うストーリーでびっくり。
ドゥリトル先生に 私も本を処方してもらうようなつもりで気楽な気持ちで読み始めたにもかかわらず、重大な夫婦の問題が明るみになっていく。
夫も妻も相手のことを思いやっているけど
妻は自分の居場所を模索し、作家の夫は自分の仕事を淡々と進めていく日々。
なんだかこんなふうに書くと、心が塞がってしまうような気もするけれど、ブックカフェという素敵な場所があって、そこで出会ういろんな癖を持ったお客さんたちの、それぞれの事情。それらを読み進みながら美味しいスコーンやコーヒーを頂いている気分。本に囲まれている素敵な環境を想像しながらだと、なんだか深刻さが薄れていく。
作家である夫の客観的で俯瞰的な目線のせいかもしれない。
どんなときでも、美味しいコーヒーのあるカフェ、本があって、そこに来る人たちとの軽いおしゃべりがあれば、それだけで色々なことを乗り越えられるのかも、とも思う。
それにしても、カナダ留学はうらやましいぞ。