賀十つばさのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何歳になっても新しいことを知るのは楽しい。本作で初めて知ったことが二つ。
一つ目はかの有名なドリトル先生が実は「DoLittle」で'あまりやらない'='ヤブ医者'という意味だということ。だから本書のタイトルは「ドゥリトル先生」なんですね。
二つ目は「歴史」は英語で「history」だが、それは「his story」男性視点の起源だということ。ヴァージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』には「her story」と書いてあるそうで、すぐにでも現物を見てみたいと思った。
本筋から逸れた書評になってしまったが、本作はほのぼのとした作品ながらハッピーエンドかというとそうとも言えない。しかし、美味しそうなスコーンと温かく洒落た店内の雰囲気が十分に感じられ、更に上記のような新しい知識も得られたのでそれで満足だ。こういう店が近所にあれば楽しいだろうなぁ。 -
Posted by ブクログ
妻が隠れて通っていたブックカフェに、夫も妻に隠れて常連になってしまうお話
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妻の様子がなんだかおかしい。毎週金曜日に仕事と偽って、近所のカフェに通っているのだ。常連客は、不登校の小学生に、定年退職した男性、憧れの日本で暮らす外国人、そして僕!?自分の居場所が見つからないお客たちに、店主は美味しいコーヒーと焼きたてのスコーンと共に、本を処方するが……。心もお腹も満たされるブックカフェ、営業中!
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小説家の田中道也(みちや)
家の幼児で妻の歌奈(かな)に電話したが繋がらない
妻の勤め先である、税理士の義父に電話をすると「金曜日は仕事に来ない日」だと言われる
妻が金曜日にどこに行っているのか気になった道也は翌週の金曜日に尾行する
妻が行った先は、「カフェB&Y」というブックカフェ
後日、自分もそこに入店すると、そこは洋書ばかりが置いてある、外国人男性の店主が営む、コーヒーと焼きたてのスコーンの美味しいお店
そして常連客は、髪を紫に染めたおばあちゃん、定年退職した男性、不登校の女子小学生
そんな居心地のよいカフェのお話
各話に実在の本が登場する
第一話 ちょっとやる先生-「ドリトル先生航海記」
第二話 大人が持っていないもの-「長くつ下のピッピ」
第三話 見つめなおすとき-「ちいさいおうち」
第四話 自分の居場所-「あおい目のこねこ」
第五話 賢い夫婦-「賢者の贈り物」
児童書はどれも有名だけど、読んだことがない
読んだことあるのは、「賢者の贈り物」と、表題には出てないけど「ふたりはともだち」
ドゥリトル先生は、本を通じて物事のアドヴァイスをする
読む処方箋というのはあると思う
私自身、「当時にこれを読めばもっと響いただろうな」と思う本との出会いがある
まぁ、そんな経験をしたからこそ、その本を読んだときに響くのだろうけど
バイリンガルで、動物とも話せるような行動から、ドリトル先生と呼ばれている店長
ドリトル先生は元々「Do little」で
「少ししかやらない」ので、「ヤブ医者」という意味合いらしい
ただ、裏を返せば「少しだけはやる」とも言える
よりふさわしい訳は「さぼり先生」だろうか
この本には他にも単語の語源の話題が出てきてる
「HISTORY」は「His story」とか
ただ、この説は誤りのようだけどね
結局、この物語は自分の「居場所」についての話なのだろうな
物理的な場所でもあるし、アイデンティティという気持ちの拠り所としても
不登校でいいのか?という問い
仕事に打ち込んできた自分の今の姿
夫と長く暮らした場所
きいろい目のねこ達に混じったあおい目をしたねこという自分
友人と同じく、自分の立場について
ただ、歌奈が自分の居場所とか言い出すのは唐突過ぎた
それまでにそんな伏線あったか?
行き先や自分を構成する要素にしても、伏線の張りようはあったと思うんだけど?
それにしても、父から押し付けられたコンプレックスもあるのだろうな
もしかしたら、それに類する言葉も投げつけられていたのかもしれないなぁ
だとすると、自分の居場所はここではないという思いに駆られても仕方がないでしょうね
疑問なのが、ドゥリトル先生や歌奈の気持ち
明確に「恋心」や「浮気心」と名付けられない感情はあると思う
好意ではあるけれども、男女の関係ではないものとかね
ドゥリトル先生は、ご主人にも好意を抱いているわけだし
歌奈にしても、ドゥリトル先生が感じている馴染めなさに共感という気持ちがあってもおかしくない
程度の差こそあれ、同類という認識なのかもね
だからこその留学だったのかもな
ものすごく暖かくていい物語だった
だけど、ラストの展開に納得できるような伏線があったらもっと良かったと思う -
Posted by ブクログ
読者の私にとって、懐かしい本と再会した気分も味わえる1冊でした。
作家の夫は仕事へ行っているはずの妻が、毎週金曜日に内緒でブックカフェに通っていることを知ります。その理由を探るつもりが、いつの間にか妻に内緒でブックカフェの常連になっていました。
店主ドゥリトル先生のブックカフェには、洋書がずらり。英国風スコーンがとてもおいしそうでした。ここでお茶をしながら1日読書なんて、最高の環境に思えました。
ここではドゥリトル先生が、常連さんにさりげなく本も処方してくれます。
自称佐藤さんには『ドリトル先生航海記』
フリースクールに通うさくらちゃんには『長くつ下のピッピ』
70歳前後の男性、吉野さんには『ちいさいおうち』
カフェで以前バイトをしていたヘンリーには『あおい目のこねこ』
小暮さんには『ふたりはともだち』
作家の夫と妻の歌奈さんには『賢者の贈り物』
これらの本を通して、それぞれが自分を見つめ直すことが出来ていました。
読み終わっても、ドゥリトル先生のこのカフェのこれからが、ますます楽しみな感じがしてくる物語でした。
〈目次〉
プロローグ
第一話 ちょっとやる先生―『ドリトル先生航海記』
第二話 大人が持っていないもの―『長くつ下のピッピ』
第三話 見つめなおすとき―『ちいさいおうち』
第四話 自分の居場所―『あおい目のこねこ』
第五話 賢い夫婦―『賢者の贈り物』
エピローグ