岡田悠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ラノベっぽいタイトルに若干引いたけど、新しく入った本なので手に取ってみた。
読み始めたらすごく面白くてびっくりした。
膨大なデータを地道に集める丁寧さ、そこから読み解く意外な世界、
そこを踏まえてさらにフィクションへと昇華する。
思いつきだけでは到達できない、データを集めるだけではどうにもならない、
文体が馴染めなかったらそもそも読めない。
静かなテンションで追いかけていく、日常の中に隠された深い味わい。
ひとつの章を完結させるまでに、近道のない時間の積み重ねがある。
この圧倒的な作業量が説得力を支えてる。
午後の紅茶との関係、トリセツ内のドコモ太郎の日々、
花言葉でたどる愛の軌跡、入浴剤バブのポテンシャル。
ネタと見せかけて、ガチなドキュメントだよ。
この人の書くものをもっと読みたい。
けどそれなりの時間(ひと夏でもあり1年でもあり10年を超えるものもある)がかかるものだけに
簡単に言うのも気が引ける。
ウエブメディアの記事を加筆修正+書き下ろしでできている。
「オモコロ」というウェブを見たら、まあいろいろな書き手がいること。
ネットの中にある膨大な情報・ライターの中から、
よくこの書き手を見つけ、本にしようと思ったなと感心してしまう。 -
Posted by ブクログ
まさに「一人遊びの極み」。
知的好奇心と実験的思考と、それらを元にしたフィールドワークは、今回もずいぶん遠くまで僕を連れて行ってくれた。心が豊かってこういうことなんだろうな。
「旅」というずっと岡田さんが大切にしてきてものと、時間というテーマが交錯する一冊。
予定を決めない海外への旅が、最大の趣味だった岡田さん。しかし「子供が産まれたことで当面難しくなった」「川の近くに住みたくなって多摩川沿いの街へ引っ越し、散歩が日課になった」という近況が綴られるところから始まる。
この散歩が岡田さんの心に火をつける。橋を渡って神奈川へ行ってみたり、整った芝生を見つけたり、堤防の建設現場に遭遇したり、草がボーボーだったり——色々な多摩川を見ているうちにその表情の豊かさに気がつき、さらなる多摩川の顔が見てみたいと、端から端まで歩くことを思いつく。
河口から始めた川歩き。1日に数km歩き、帰宅し、また中断地点に戻って歩くことを繰り返す日々。その中でのエピソードや気づきをまとめた一冊。
全長138kmをいう数字を目にした時、岡田さんは地球の誕生が138億年前だったことを思い出す。ビッグバンが起きて星が誕生し、地球に生命が誕生して現代に至るまでを重ね合わせながら、川を歩き、時間というものを考える。便利になりすぎている現代、心豊かに過ごすには時間とどのように向き合えば良いか、色々な思考を授けてくれる哲学書のようでもあった。
本は現代の川歩きを綴る「川歩記」、時間との向き合い方を考えるコラム、「過去や未来を旅する」をテーマに書かれたエッセイと三つのパートに分かれている。
特に好きだったエッセイは、『古いカーナビの案内で歩く』。古いカーナビを集めるのが趣味の岡田さんが、十数年前のカーナビの案内に従って新宿から上野まで歩いた記録。充電のすぐ切れるカーナビ2台と、充電のためのバッテリーをベビーカーに乗せて闊歩するのだけど、うまくいかないことだらけで笑った。
『17年前に2秒見えた海を探す』も最高だった。大学進学のために上京する新幹線で一瞬だけ見えた海z——その心の記憶を頼りに、あまりにも鮮やかに見えた2秒を探し求める。思いついてもなかなか出来ないことばかり。
果てなき好奇心が、場所と時間を飛び越えていく一冊だった。「自分だけの旅」をすることの大切さに気が付かされる。旅とは距離を移動することではなく、心が日常から離れることというのをまさに体現していた。近所を歩くだけでも、過去にも未来にも旅ができる。 -
Posted by ブクログ
「旅は距離じゃない、深さと切り口だ!」と思わせてくれた。旅行エッセイはときにうらやましさから来る嫉妬が混ざることがあるんだけど、岡田さんの本は、誰も思いつかないような思考やテーマで敢行するもんだから、タイパのタの字もない。だからとんでもなくおもしろいんだけど。
それに岡田さんの筆致で哲学的なことを織り交ぜてくるもんだから、ときに読んでて切ない気持ちになったりもした。
川日記だけじゃなく、エッセイやコラムも収録されていて、岡田さんの思考の詰め合わせだった。
なんでも机上でわかる時代だからこそ、岡田さんのように試してみる、行動してみることが日常に彩りをもたらしてくれるなと感じた。 -
Posted by ブクログ
父である著者から子への手紙…と題して、お子さまの妊娠から1歳になるまでのパパ目線の記録。たまたまaudibleで見つけた本だけど、ほんっとうに素敵な内容で幸せな読後感。こんなお父さんに見てもらえるお子さんは幸せだなと思う。
この本は、著者の感性とその文章表現が素敵で、心に響いたものを大量にブックマーク。母親ではなく父親だからこそある視点や、社会人が育休を取ること、悩み苦労した場面、ユーモアやおもわずグッとくるところなど、一緒に育児を歩み、感情を揺さぶられながら楽しむことができた。
現在、自分自身もパパ育休中でまもなく3ヶ月の乳児の子育て真っ盛りである。本書に出てくる妊娠からのこれまでの内容では、共感できる場面がたくさんあった。妻との親になる自覚やその取り組み姿勢のギャップや、「シナぷしゅ」、いいよね!親の自分がハマっちゃってるなあみたいなことまで。
また、自分もしばらく育休を続けることもあり、これからの幼児期に向けても、コミュニケーションが取れるようになったり、身体の成長が見られたり、たくさん成長に立ち会うことになる。一方で、病気や家族関係などたくさんの心配事を乗り越えてながら歩んでいくんだろうなと勉強、心構えさせられる内容もあった。
妊娠期から3ヶ月目の子育て中で、すでに消化しきれないほどの幸せも苦労も多い育児だが、こんなふうに記録しておかないとただの日常で過ぎ去ってしまいそう。1分1秒を子どもと向き合い、しっかり自分の気持ちを残しておきたいと思った(メモ:日記の形でぴよろぐに全てを記録しよう)
この本で感じた感覚は今まさに我が子に感じるものと似た感覚と思う。とはいえ、いつかは忘れてしまうのかと思うとすでに寂しい。我が子が成長した時に改めて読み返して追体験をしたいと思った。そういう点でも、今読んでおいてよかったと思える1冊だった。また、これから子どもを迎える人への自分からの自分からのメッセージとして、出産祝いとかに押し付け(プレゼント)したいな…! -
Posted by ブクログ
ネタバレ16350000メートルから、0メートルの旅まで!
幅広すぎる!それがとても魅力なのです。
そう、
いきなり南極の旅から始まり、最後まで予想できない展開ばかりで、とても楽しかったです。
臨場感あふれる文章で、私もいろいろなところを旅してきた気分になりました。
ときにひやひやしながら、
なんでこんなにうまくオチがあるのだろう、と
感心してしまいます。
後でネタにすると楽しいけれど、
海外の場面ではお話を読んでいるだけでも、命がけの場面が多々見受けられる中、
ここにいていいのか、とか、この人を信じていいのか、とか、
そんな状況を人一倍経て来ての判断力や勘がかなり培われているのだろうな、と思ったりしながら、
時に1人で笑いながら部屋で平和に読んでいました。